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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第二章 学院生活
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武術大会 決勝戦

 いよいよ決勝戦の時がやってきた。対戦相手はティナ。


(拳と拳のぶつかり合いってね。ワクワクするわ)


 私は拳や足技、寝技等を使うスタイルで、ティナは拳一本のスタイル。

 若干の違いはあるけど、お互いに速さと威力を売りにしている。近距離での高速戦闘が出来ると思うと、私は楽しみで仕方なかった。


「頑張れよ、二人とも」

「応援していますわ」

「お嬢様、ティナ様。どうかお気を付けて」


 審判のもとへ向かう際、レイジとホウとシャロルが声援を送ってくれた。


「お互いに悔いのないようにしましょう。アイラ」

「うん。ところでまさかとは思うけど、私もホウみたいに脱がそうとか思ってないよね?」

「いいえ、あれはホウ限定なのでご安心ください」


 私もホウのように脱がそうとされるのではないかと心配したけど、あれはホウのみにやる事らしい。


 握手を交わして、お互いの開始位置に着く。会場内は静まり返っていた。


「………、始め!!」


 審判の開始の合図と同時に、会場内が大歓声に包まれた。同時に私はティナへと突っ込む。ティナも私に向かってきた。

 最初にお互いに立っていた位置からちょうど中心で、私とティナは攻撃を繰り出す。そのまま私もティナも拳技を繰り出し続け、連撃のオンパレードになる。

 ティナの攻撃速度は出場選手の中でもトップクラスだけど、私は神の力のおかげで防御も避ける事も簡単に出来ている。

 私は神力を発揮しすぎないように注意しつつ、確実に重い攻撃をティナに食らわしてる。ティナがいくら防御しても、ジワジワと私の攻撃が効いてくるはず。

 さらに拳技と並行して足技も繰り出しているので、私は広い攻撃範囲を持ち、対するティナは防御範囲を広く持たなくてはならないという負担がある。つまり連撃のぶつかり合いが続く程、ティナは体力の消耗と疲労で追いやられる。

 これが私の考えた作戦。ホウとの戦いを見て思いついていた。


 しばらく激しいぶつかり合いをして、お互いの拳がぶつかったところで互いに距離をとった。


「はぁ…、はぁ…、さすがアイラ…。簡単には…、はぁ…、いきませんね…」


 ティナは強気な笑みを浮かべてるけど、息が切れてるし疲労も見える。ふふ、作戦通り。

 私はというと、神力による自動回避と自動防御のおかげで、移動と攻撃以外の体力はほとんど使っていない。

 それどころか、神力特訓でほとんど力を入れずとも神力によってカバーし、強力な技を出す事に成功していた私は、今のぶつかり合いも全くと言う程力を入れずにティナに攻撃を食らわしていた。

 ようするに私はずっと脱力状態に近い状態でティナと張り合っていたというわけ。結果全く疲れてない。というか開始直後と変わってない。


「なに~?ティナ、疲れちゃった?息切れてるよ?」

「なにを。まだですよ」


 強がるティナだけど、疲労は全く隠せてない。汗もだいぶかいてる。私はチートで楽ちん!

 ちなみに実況もちゃんと聞いている。それだけの余裕が私にはある。


「開始直後に激しいぶつかり合いが起きたと思いきや、両者睨み合いとなっています!お互いに体力を消耗したということでしょうか!?」

「連撃は全く見えなかったね。あの間にお互いがどういう動きをしていたか…」

「ティナはだいぶ疲労が見えるな。不自然なのがアイラだ。あの打ち合いじゃあ、攻撃でも防御でも回避でも相当体力を失うはずだ。

 なのにアイラは息を切らしてる様子が全くない。まだまだ力を残してる感じだ。どういうことなのか…」


 まぁ、そうだよね。あれだけ動いて疲れてないんじゃあ不自然だよね。でも私は気にしない。


「ティナ!もう一回よ!」


 私は笑顔でティナにそう言って再び突撃。でもティナは体力の限界が近いのか、向かって来ようとはしない。

 今度は私が一方的に攻撃を展開。ティナは防戦一方となっている。


「くぅ!こうなったら…」


 ティナは受けきれないと判断したのか、防御しながら距離をとってきた。そしてそのまま逃げた。


「何?今度は逃げ?じゃあ、追いかけっこね!」


 私はティナへ突撃する。ティナは打開策をとりたいのか、私が距離を詰めようとすると逃げる。

 走って逃げるティナだけど、私は神力のおかげでティナより速く走れるのですぐに追いつける。

 結果ティナが逃げて、私がすぐ追いついて攻撃して、ティナが防御してまた逃げる、という展開を繰り返していた。


「これは同じ展開が繰り返されています!ティナ選手は何か考えがあるのでしょうか?」

「ティナはおそらくアイラの疲労と苛立ちによる集中力の低下を狙っているね」

「でも見る限り効果ないっぽいぞ。アイラ走りながら笑顔浮かべてるし、走る速度衰える様子ないし。てか、アイラの持久力スゲーな」


 しばらく追いかけっこを続けてたら、ティナが途中で若干よろけた。打ち合いした後に追いかけっこじゃあ、そうなるっての。

 私は当然その隙を逃さず、ティナに詰め寄って攻撃態勢をとる。


「くっ!」

「ティナ!覚悟!」


 私はティナの腹部へ拳を食らわそうとしたが、なんとティナはそれを防御して反撃してきた。当然反撃したところで、私には無効だけど。

 そのまま互いに距離をとった。


「はぁ!はぁ!はぁ!」


 ティナの息はさっきよりも荒く、気力のみで立っているように見えた。

 相当体力は消耗してるはず。だからこそ何か予想外の事をやってくる可能性があるんだけど。


「ティナ?そろそろ限界じゃない?なんか心配」

「見くびらないでください。まだ平気です。そういうあなたはどうなっているのですか!?どうして息を切らさず、汗すらかいていないのです!?」

「ふふ~、身体の動かし方が違うんだよ~。今日のためにたくさん特訓したんだからね!まだ楽しませてよ、ティナ!」


 私はティナへ突撃。攻撃を仕掛けたと同時にティナも攻撃してきた。

 再び激しい打ち合いとなる。でもティナの表情がマジで辛そう。


「両者再び激しい打ち合いとなっています!これは先程よりも激しいです!」

「おそらくティナは作戦無しの真っ向勝負だろうね」

「最後の力っていうかやけくそだな。ありゃ。かなり苦しいはずだぞ」


 連撃を繰り出しているうちに、ティナの防御が崩れた。私はその隙を逃さず攻撃態勢に入る。

 今度は防がれないように、防御の維持に失敗して姿勢が崩れたティナを片手で抱き寄せ、もう片方の手でティナの腹部に拳を入れた。


「ぐはぁ!…っ…!」

「勝負あったわね。あっぱれよ、ティナ」


 私の重いパンチを食らったティナは、私の身体を擦るようなかたちで地面に崩れていった。


「そこまで!試合終了!勝者、アイラ・リースタイン!」


 審判の試合終了の合図と同時に、会場内に大歓声が響いた。


「ようやく手に汗握る戦いに決着が着きました!今年の武術大会一学年の部、優勝者はアイラ・リースタイン選手です!」

「素晴らしい戦いだったよ。ティナもすごい戦いを見せてくれた」

「結局最後までアイラ優勢だったな。ティナも形勢逆転を狙ったけど、アイラの方が上だったみたいだ。でも最後まで諦めなかったティナはスゲーぜ。息切らしてねえアイラもスゲーけど」


 私は歓声を上げる客席に軽く手を振り、足元で倒れたままのティナを介抱する。


「ティナ、大丈夫?ごめんね、痛かった?」

「大丈夫です。はぁ、私の完全敗北ですね」

「そう?ティナの攻撃すごかったと思うよ?」

「それでもここまで体力差がついてしまっては意味がありません。アイラも努力したのですね」

「うん、まぁね。ずっと屋敷の庭で動きまくってた」


 神力制御のためだけどね。


「そうですか。屋敷で優雅にお茶をしながらホウをお説教している場合ではありませんでした。もっと技を磨いて体力を付けなくてはですね」


 なんでお茶しながらホウを説教してんの?いつそんな事してんの?そもそもホウは何したの?

 気になったけど、なんか怖くて聞けなかった。


 とりあえずティナを抱えて控え室へ戻ろうと思った時、私の視界にあのやりすぎ野郎が見えた。そして奴がこっちに何か投げた。何か黒い物?……まさか!


「ティナ!つかまって!」

「え?」


 私はティナを強く抱きしめて、慌ててジャンプするかたちで黒い物体から距離をとった。

 その直後。




 ドオオォォォォォン!!!



 黒い物体が地面に落ちた瞬間に爆発した。あと数秒動きが遅れていたら直撃だった。

 私が再びやりすぎ野郎を見ると、奴は笑っていた。嫌な笑い。


「ははははは…、ふははははは!」


 明らかに狂った笑い方。何かヤバい事が発生した事だけは、本能的に感じられた。

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