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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第九章 領地視察へ
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帰還後のグリセリア

視点がアイラから外れます。

 アイラが渓谷から洞窟へ戻った頃。王都フェルゼン、ノーバイン城別館。


「んあ~!疲れた…。まさかこんな事になるとはねぇ…。ふああぁぁ…」


 別館リビングのソファに座り、背伸びをしながらあくびをするグリセリア。


 グリセリア、ノワールは視察団一行は、今日の早朝に移動を開始。昼前に無事ノーバイン城へ到着していた。

 伝令を出していたわけではなかったため、突然の帰還をした視察団に城の関係者は大慌て。一時騒然となった。

 そんな中でもグリセリアは周囲に冷静に指示。体調不良に陥っていた兵士はすぐに城専属の医師のもとへ運ばれた。グリセリア、ノワール、アリスの三人と、ジオを含む他の同行兵士達もすぐに体調確認が行われ、異常がないことが確認された上で、疲労面等を考慮し各自しばらく安静という判断がされた。


 徹夜で周囲警戒を覚悟していたグリセリアは、他の者達が眠る中で一睡もせず魔物などの脅威が来ないか警戒し続けていた。魔物との遭遇時の兵士達の様子から、精神面的にも警備は不可能というグリセリアの判断であり、これ以上体調不良者を出させないための彼女なりの女王としての決意と責任感からの行動だった。


「陛下、大丈夫ですか?明らかに疲れ顔ですよ?とりあえず飲み物どうぞ。白湯ですけど」

「今は白湯でも十分だよ。ありがと、リリア。やっぱ疲れてるように見えるか。私」


 別館に来ていたリリアはグリセリアに白湯を差し出す。

 普段はグリセリアの自由奔放っぷりに振り回されっ放しのリリアだが、幼少からの付き合いからグリセリアが時々無理をすることも承知しており、帰って来た時のグリセリアを見て疲労感がある事を察したリリアは、オルシズに仕事を任せてグリセリアを労わろうとしていた。

 特に見返りを目論んでいるわけではなく、リリアなりのグリセリアへの信頼と優しさによる行動である。


「それにしても災難でしたね。王都でもすごい豪雨でしたけど」

「まったくだよ。あそこまでの豪雨になるとは思わなかった。挙句の果てに身体壊す兵士は出てくるわ、魔物に遭遇するわで大変だったよ」

「兵士さん達、だいぶ怯えてたらしいですね。アリスさんが言ってました」

「私から見れば兵士が敵に立ち向かえないとか情けなさすぎるけどね。あんだけ人数いたのに、結局私とアリスとノワールだけで魔物と戦ったんだよ?私は本来守られる立場だっつーの」

「う~ん…、確かに剣すら鞘から抜けなかったのはマズイかもしれませんね。戦闘の術を持たない人がいたらもっと大変な事態だったはずですもんね」

「やっぱそう思うでしょ?今度ドイルに話して訓練もっと厳しくしてもらうか…」

「あ、ドイル将軍閣下でしたらもう訓練内容変えるって言ってたみたいですよ。アリスさんがドイル将軍閣下に話していたみたいで、将軍閣下も『情けない』って言って怒ってたそうです」

「そっか。なら兵士の事はドイルに任せておくか」


 グリセリアは魔物と遭遇した時の兵士達を見て、国軍として危機感を抱いていた。魔物に対し命捨てる覚悟でも立ち向かう事が出来なければ、大勢の命を守らなくてはいけなくなった時に対応出来なくなると。


「アイラさん達の方は大丈夫でしょうか?同じように豪雨に見舞われたかもしれませんよね?」

「アイラ達の事なら時々精霊のネロアさんが来て報告してくれたから知ってるよ。私達が緊急帰還した事も伝えてくれてるし」

「そうなんですか?それで、アイラさん達は…」

「視察続行してるみたい。豪雨に降られたのは同じなんだけど、向こうは精霊達と神獣達が紹介した小さな洞窟で寝泊まりしてるらしくて、フツーに雨風防げるらしい。何の問題もないってさ」

「そうなんですか~。良かった~」


 アイラ達の視察が順調である事を知ったリリアは、ホッと胸を撫で下ろした。


「廃村にいる者達の事と山奥の一軒家の事に関しても一日で解決させたみたい。聞いた話だとどっちとも脅威性はないってアイラは判断したっぽい」

「一日で解決ですか!?さすがアイラさん!仕事が早い!脅威性がないって事は、話が分かる方々だったって事ですか?」

「そーいうことになるね。なんか山奥の一軒家にいた人達とはアイラと面識があったらしくて、そのうちの一人を同行させてるって聞いたよ」

「そうなんですか?じゃあ、その人もアイラさん達が帰ってきたら一緒にここに来るって事ですかね?」

「そーいうことだね。ま、アイラなら何の問題もなく動くでしょ。視察以外に魔法特訓とかまでしてるらしいし。さて…、ノワールの領地の視察再開をいつにするか…」

「今の事態がある程度落ち着くまで止めるか、すぐに視察団を再編成して出発するかですね。ノワールさんに伯爵位を渡す時も含めて日程を組むべきかと」

「ま、そだねー。あー、予定が全部狂ったな~…」

「仕方ないですよ。陛下も休んでください。睡眠不足で睡魔に襲われてまともに思考動いてないでしょ?」

「あはは~…、よく見てるねぇ、リリア。これでも誤魔化してたつもりだったんだけど。アイラの次に察しが良いね」

「伊達に長い事仕えてるわけじゃありませんから。見ていればなんとなく分かりますよ」


 眠気を誤魔化しながら過ごしていた事をリリアに見抜かれていたグリセリアは、頭をかきながら苦笑いした。


 それから間もなくしてリリアは政務室へ戻って行き、一人別館に残ったグリセリアは、眠気に耐え切れず寝室のベッドへ潜り込むのだった。

 普段はアイラ依存症を語り、アイラがいないと眠れなくなるグリセリアだが、この時ばかりはすぐに深い眠りにおちて行った。

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