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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第二章 学院生活
24/395

武術大会

 学院生の入場が許可され、私達も会場入りした。


「それじゃ、頑張りなさいよ」

「応援してます!」


 ステラとニコルは私達に声援を送って客席へと移動していった。

 残った私達四人も出場者控え室へと移動した。この控え室は試合場所の横にあって、客席よりも近くで試合を観戦できる。観客席も見渡せる。ただし実況席と特別席は控え室の真上にあって見る事が出来ない。





 開会式が始まり、学院長の話と出場者代表の開会宣言で大会が開始された。

 試合開始前から実況と解説の王子殿下とリィンのトークで会場は盛り上がりを見せる。

 まずは一学年の部。私たちは順番が来るまで他の試合を観戦する。そんな中ある試合で問題が発生した。


「おいおい、あいつやりすぎだろ」

「度が過ぎますね」

「気分が悪いですわ」

「確かにあれは、ね」


 三人の発言に私も同意する。その試合は片方の選手の一方的な攻撃で試合が進んだ。それだけなら問題ないんだけど、その選手は相手がギブアップしているにも関わらず攻撃を続けた。しかも相手を見下すように。

 その選手は後で先生から厳重注意を受けてたけど、反省している様子は見られなかった。私の記憶にはない顔だったから、同じクラスではないのは確か。何なのコイツ。


 そのすぐ後、レイジが一回戦に臨み、難なく勝利した。

 そしていよいよ私の番がやってきた、と思ったと同時にシャロルから情報が入った。


「お嬢様、対戦相手ですが本日高熱によりお休みしているらしく、大会不参加だそうです」

「てことは私、不戦勝?」

「そのようですね」


 ということで戦わずに二回戦進出しました。対戦相手だった方お大事に~。

 その後ティナとホウも軽々一回戦突破。私達四人はみんな二回戦へ進んだ。






 二回戦目。レイジが激戦を制し準決勝進出。次に今度こそ私の番だったのだけど…。


「お嬢様。次の対戦相手ですが、一回戦で負った怪我の影響で棄権するそうです」

「……」


 というわけで再び不戦勝しました。ラッキーなのか…、アンラッキーなのか…。…試合がしたい。


 ティナの次の対戦相手は、一回戦後に厳重注意を受けていたやりすぎ野郎だったけど、ティナにあっさりぶっ飛ばされていた。結果ティナが勝利して準決勝進出した。

 負けたやりすぎ野郎は戻ってきた後、小声で何かぶつぶつ言っていたけど、私の中では気にする価値すらなかったので放っておいた。

 でもってホウも二回戦を勝ち上がり、これによって準決勝が私、ティナ、ホウ、レイジという、いつも一緒にいる顔ぶれとなった。






 準決勝。まずは私対レイジの試合。やっと試合出来る~!退屈だった~。


「悪いが勝たせてもらうぞ」

「こっちのセリフよ」


 私とレイジは握手を交わし、開始位置に着く。


「始め!」

「はあぁぁぁぁ!!」


 審判の開始の合図と同時に、レイジが気合いの入った声を上げて私に向かってきた。

 私も同じタイミングでレイジに突っ込む。で、レイジから少し距離のある所で急ブレーキ。レイジに動きを読まれないよう、バク天を取り入れたトリッキーな動きでレイジに迫る。

 レイジは私の動きが予想外だったのか、止まったまま剣を振ろうとしない。私はその隙を突いてレイジが剣を握っている右手めがけて蹴りを入れる。

 蹴りはうまくヒット。レイジは剣を離し、剣は宙を舞う。結果レイジの右半身は無防備となる。


「くっ!しまった!」


 私は蹴りの体勢から瞬時に殴る体勢へと切り替え、拳に力を入れる。

 レイシの胴体は鎧に包まれているため、私はあえて顔面を狙って拳を振った。


「歯、くいしばりなさい!はあぁぁぁぁ!!」

「ごはあぁぁぁ!!」


 私の拳を顔面、細かく言うと鼻の辺りにくらったレイジは、軽く飛ばされて地面に倒れた。


「そこまで!勝者、アイラ・リースタイン!」


 審判が試合終了を宣言すると、客席から歓声が上がった。試合開始から決着まで僅か十数秒。武術大会歴代全試合の中で最速の決着となった。

 これで私は決勝進出となった。一回試合しただけで決勝とか、変な感じ。





 準決勝二組目はティナ対ホウ。私とレイジは控え室から観戦する。

 ティナとホウはそれぞれ集中を高めて試合準備をしている。


 私に殴られたレイジだけど、鼻血程度で済んだ。神力制御の訓練しておいて良かったよ。本当。


「レイジ、鼻血大丈夫?」

「そのうち止まるだろ。しかし動きに翻弄されたのは確かだが、まさか顔面殴られるとは思わなかった」

「顔面殴るなっていう決まりは無いでしょ?それにレイジは全身鎧じゃない?となると弱点が顔面しか思い付かなかったのよ」

「なるほどそういうことか。でもまさか、こんなにもあっさり負けるとは…。もっと鍛錬が必要だな。俺も」

「よかったら相手してあげようか?何度でも殴ってあげるよ?」

「アイラ、微笑みが怖いぞ…」


 ちなみにこうして話している間、会場内では王子殿下とリィンが実況と尺を埋めている。


「しかし、先程のアイラ選手対レイジ選手の試合。アイラ選手の動きはお見事でしたね。こちらで調べました記録によると、試合終了時間は過去全試合の中で最速記録だそうです。

 お二人はアイラ選手とレイジ選手とは親しい仲と聞きますが、お二人はあの試合をご覧になっていかがでしたか?」

「あの試合はアイラの実力と頭脳がレイジの力を凌駕した試合だったね。レイジに剣をひと振りもさせず、速攻で勝敗を決めたのだからすごいと思うよ。

 アイラはこれまで二つの試合を不戦勝で勝ち上がってきた。あの試合までアイラの戦いを実際に見た人は誰もいなかったんだ。レイジはアイラが素手で戦う事は把握していた。でも動きまでは予想と対処が出来なかったみたいだね」

「アイラの動きは見ててけっこう手ごわいと思った。あんな急減速からのバク天とか、蹴った後にあんなにも間を置かずに殴る体勢になんて、そう簡単に出来るもんじゃない。ティナも拳を使うから似たようなもんかと思ってたけど、アイラの方がいろんな手段を持ってそうだな」

「そうだね。普段のアイラは頭脳派の印象だったから、まさかここまでの戦闘力を有してるとは思わなかったよ。レイジもかなり予想外だったんじゃないかな?」

「生真面目で頭良くて椅子に座ってる事の方が多い印象だったからな。多分あいつを知ってる誰もが驚いてるんじゃねえか?」


 二人とも私話しまくってる…。めっちゃ恥ずかしい…。






 そして、ティナとホウの準備が整った。


「ふふふ、ティナさん。どんな手段を使っても勝たせてもらいますわよ?」

「そうですか。では、私は試合中にホウの服を破らせていただきますね」

「どうして破くんですの!?訳が分かりませんわよ!?」

「ホウがどんな手段でもって言ってきたので、私もホウの服を破って丸裸にして動けなくしてやろうかと…」

「手段にも程がありますわ!ティナさんはわたくしを学院に来させなくするおつもりですか!?」

「大丈夫ですよ。大事な所は見えないようにしますから」

「そういう問題ではありませんわ!」

「まあまあ、普段から露出の多い服装なのですから、問題ありませんよ」

「問題大アリですわ!わたくしは露出好きではありませんわよ!」

「え?」

「え?」

「では、試合開始位置へ行きましょうか」

「ちょっと待ってください!今の間はなんだったのですの!?」


 …試合前でも変わらないなぁ、この二人。きっといつでもどこでもこんな感じなんだろうなぁ。





 二人が開始位置に着く。二人には微笑みが浮かんでいた。お互いに作戦があるのか、それとも長い付き合いで互いの動きや考えを知っているからこそ戦うのが楽しみなのか。


「始め!」


 審判の合図と同時にティナが動いた。かなりの速さでホウに詰め寄り、拳を振る。


「ふふ、甘いですわ」


 ホウはティナの動きを察知していたようで、回りながらアッサリかわす。ホウの回り方は回転すると言うよりも舞うと言った方が近い。

 ティナの攻撃をかわした後、ティナの周りを舞うように動き回るホウだったけど、突如攻撃を仕掛けた。

 見ていた私は今のホウの動きを予想出来なかった。ホウの動きはけっこうトリッキー。


「残念」


 ホウの動きにティナは即座に対応。攻撃をかわしてホウと距離をとる。

 二人は見合ったまま動かず、少し経って再びティナが攻撃を仕掛ける。それをホウはかわして反撃。ティナがそれを避けて、両者再び沈黙。

 この後、同様の動きが幾度も繰り返されていた。

 持ち前の速さと威力で一気に勝敗を決したいティナ。

 トリッキーな動きと大型の扇子という滅多にない武器を使って相手を翻弄し、隙を窺うホウ。

 けど、二人とも戦い方を良く知っているのだろう。決定打を掴めずにいるようだ。こうなると、頭脳と集中力の戦いとなる。


 そしてまたティナが仕掛けた。が、今度は動きが違った。

 攻撃と見せかけて、ホウの片胸を掴んだ。しかも鷲掴み。


「なあ!?」


 これはホウも予想出来ていなかったようで、明らかに対応が遅れた。というか困惑してる。

 ティナは隙を逃さず、もう片方の手でホウの腹部に拳を入れた。


「ぐはっ!がっ…」

「勝負、ありましたね」


 ティナの攻撃をまともにくらったホウは、そのまま崩れるように倒れた。ようやく決着がついた。


「そこまで!勝者、ティナ・アルテミア!」


 試合終了の合図とともに会場が歓声で包まれた。






 二人が控え室へ戻ってきた。私とレイジで二人を迎える。

 ホウは攻撃を受けたダメージが残っているのか、ティナに支えられながら戻ってきた。


「お疲れ様。ティナ、ホウ」

「良い試合だったぞ」

「はい、疲れました」

「むぅ、負けましたわ」


 二人とも疲労が窺える。試合中かなり神経を張っていたみたい。


「負けは素直に認めますわ。でもティナさん、ひとつ言わせてくださいな」

「あら?なんです?」

「わたくしの胸を掴んできた時、何回かわたくしの胸を揉みましたよね?しかも、服を脱がそうとしましたよね!?」

「あら、気付きました?」


 ホウの追及に対し、ウィンクして答えるティナ。破るには至らずともそんな事してたんだ…。そりゃホウも困惑するわ。


「ひどいですわ!本当に脱げるところだったのですよ!」

「あら?脱がすなという決まりはありませんよ?それにホウだってどんな手段を…」

「だから程があると言ったではありませんか!もうやだ、この人!」

「はいはい、拗ねない拗ねない」


 抗議に対し態度を変えないティナに拗ねるホウ。そんなホウにハグをして頭を撫でるティナ。その後もティナの発言にホウがツッコんで、ずっときゃいきゃい騒いでいた。本当、この二人は仲が良い。

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