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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第九章 領地視察へ
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豪雨

前半はアイラ視点、後半は視点が外れます。

 領地視察三日目。

 昨日と一昨日を新しい技や能力の習得に費やし、今日で領地にやって来てから三日目になった。

 いろんな能力を覚えまくった結果、もの凄い数の技や能力、そしてオリジナルの技まで作る事が出来た。でも覚えた数が多すぎて、今思い出すだけでも頭痛い。


 本来の予定では、今日から領地視察を本格的に開始する予定。だったんだけど…。


「ヤバ…。メッチャ降ってるじゃん」

「これでは視察は無理ですね。状況が悪すぎます」

「今日は一日洞窟で待機ですかね」


 私の言葉にシャロルとアテーナが続く。

 現在私がいる地域は雨。しかもバケツをひっくり返したような豪雨。とても視察どころじゃない。風はあまり吹いてないから、台風ではないことは確かみたいだけど。


「あ、だったら私、昨日覚えた能力使おうかな?雨雲消すやつ」

「すいませんが、今回はお控えいただきますようお願いします。今回の雨はやや久々なので、土や植物にとっては必要なのです」

「そうなんですか。解りました」


 私は昨日までの習得した能力の中で、雲を消す能力を身に着けた。なので早速実戦しようかと思ったんだけど、オリジン様から止められた。


「では、オリジン様。行って参ります」

「はい、お願いします」


 ネロアさんはオリジン様に声をかけた後、どこかにいなくなった。


「オリジン様、ネロアさんはどこへ?」

「グリセリアさん方がいる方へ。あちらの方もおそらく雨になっていると思いますので、様子見に」


 セリアやノワールの方の視察団の所か。あっちまで雨になってるって事は、この雨雲はかなり広範囲ね。ということは王都も降ってるか…。


「ん?ザッハーク?」


 洞窟の入口で雨を眺めてたら、私の横をザッハークが抜けて行き、豪雨の中で楽しそうにポヨンポヨンし始めた。「わ~い!雨~!」て言ってるのが分かった。


「なるほど、そういうことか」

「何がなるほどなのですか?」


 私はザッハークが何をしたいのか分かったけど、隣にいるシャロルは首を傾げて訊ねてきた。


「あの子、雨を見るのが生まれて初めてなのよ。あの子を産み出した時は晴れだったし、あの時以外は外に出してなかったから」

「そういうことですか。雨で興奮しているのですね」


 私の説明でシャロルも納得したようで、微笑みながらザッハークを見ていた。


「ザッハーク!あんまりはしゃぎすぎて遠くに行っちゃダメよ!私の目に見える範囲に居てちょうだい!」


 私がザッハークにあまり離れないよう声をかけると、ザッハークはポヨーンと跳ねた。「はーい!」て言ってるのが分かった。


 今日は精霊達と一部の神獣も洞窟内で待機し、洞窟にいない神獣達も別の場所で雨宿りしているらしい。

 結局今日は一日待機。これじゃ温泉にも入れないや。


 しばらくの間はしゃぐザッハークをほっこりしながら見守った後、戻って来たザッハークを拭いてあげて、何もせずに一日を過ごした。





*************************************






 同じ頃。グリセリア、ノワール視察団一行。


「雨ヤバ過ぎでしょ!これ動けないじゃん!」

「ここまでの豪雨は久々ですかね?」

「雨が降りそうな空模様ではありましたが、ここまで降るとは…」


 こちらでもアイラ達がいる地域とほぼ同等の降水量の雨が降っており、グリセリア、ノワール一行は森の中の少し開けた場所で立ち往生していた。

 アイラ達がいる場所とは違い、雨を凌げる場所がない彼女達は、雨ざらし状態になっていた。

 何とか馬車のおかげで屋根は確保できている。が、馬車を引く馬は直に雨を受けるため、同行していた兵士達がずぶ濡れになりながら懸命に馬に雨具代わりのシートを被せていた。


「しかしこの雨が長く続けば色々な面で悪影響が出てくるね…。すぐにやむと良いんだけど」

「視察日程が遅れる事は免れないでしょうね」

「それだけじゃないよ。この雨が原因で兵士や馬が身体を壊してごらんよ。視察どころじゃなくなるよ」


 雨天による悪影響を懸念しているグリセリアに、アリスは視察日程の遅れを気にしたが、グリセリアは日程よりも兵士達や馬の心配をしていた。


「確かに…。どうします?雨がやみ次第、視察を中止しますか?」

「それも考えに入れるべきだね。雨がやんだら考えよう」


 グリセリアの意見に同調したノワールは、視察中止の考えを出してきた。グリセリアもノワールの考えに肯定的で、雨がやみ次第判断する事となった。


「皆さん、ここにおられましたか」

「「「うわぁっ!」」」


 三人が乗る馬車の中に突如現れたのはネロア。アイラ達のいる洞窟から様子を見に来たネロアに、三人は一斉に驚く。


「ネロア様じゃん。なんでここにいんの?」

「もしかして…、アイラ様に何か!」

「皆さんの様子を窺いに来ました。アイラさんは至って健康なのでご安心ください」


 グリセリアはネロアがいる理由を問い、ノワールはアイラに何かあったのではと不安げな表情に変わった。

 ネロアは微笑みながら事情を説明し、アイラが元気である事を伝えた。


「ネロア様~、この雨なんとかなんない?」

「なんとか出来なくもないですが、オリジン様より何もするなと指示がきておりますので何も出来ません」

「え~!そんな~!」


 グリセリアはネロアに豪雨の相談をしたが、ネロアに事情を説明されガックリ肩を落とした。


「雨があとどの程度続くか分かりますか?」

「我々精霊の見立てでは、今日一日は降り続くと予想しております。夜中にはやむかと」

「一日中雨ですか…。今日はやはり動けそうにありませんね」


 降水時間を訊ねたアリスも、一日中雨の予報に肩を落とした。


「全兵士に告ぐ!本日の移動は中止!このまま待機する!各兵士は最低限の行動だけ済ませ、直ちにそれぞれの馬車に入れ!出来る限り身体を冷やさぬように!」

<<<ははっ!>>>


 グリセリアは馬車の窓を開け、未だ外で活動する兵士達に最低限の行動後に馬車に入るよう指示。身体を壊さぬよう注意した。


「なおこの雨ですが、降水地域はここの他に王都とアイラさんがいる地域まで広がっております。アイラさんも今日は動かない予定となりました」

「ふ~ん、アイラも今日は動けずか」

「そういえば、アイラ様の方って馬車すらないんですよね?雨凌げているのでしょうか?」

「あっ!そういえば!」


 アイラも視察中断と聞いて軽い反応だったグリセリアだったが、ノワールの疑問を聞いて慌てだした。


「アイラさん御一行は視察中我々精霊と神獣が紹介した洞窟で過ごす事になっております。現在も洞窟内にいまして、雨風に晒される心配はありません。むしろここにいる皆さんよりも良い環境で過ごしていますよ」

「え~、何それ羨ましい」


 アイラの滞在環境をネロアが説明すると、グリセリアがそれを羨ましがり始めた。


「私達にもどこか紹介してよ~。雨風凌げる場所」

「残念ながらノワールさんが治める予定の領地範囲には、そういった場所が一つもございません」

「ないの!?一つも!?こんだけ自然あんのに!?」

「精霊窟を除いた洞窟等は、全てアイラさんが治める予定の範囲にございます」

「えぇー…」


 グリセリアは再び肩を落とした。


「雨風凌ぐためにも早く領地に建物を建設しなくては…!」


 そしてノワールは変なところに燃えていた。


「では、皆さん無事なようでしたので、私はそろそろ失礼致します」

「え!?留まらないの!?」

「すぐにアイラさんのもとへ帰る予定ですので」

「むぅ~…」

「あぁ、そうそう。グリセリアさん。アイラさんの視察日程は既に大幅に遅れておりますので、すぐに帰る事は現時点では難しいと思っておいてください」

「なんで?」

「実は昨日と一昨日に精霊、神獣、天神界人でアイラさんへ様々な技や能力を伝授しまして、その影響で現在に至るまで一切視察を行っておりません」

「はあぁぁ!?」

「ですので帰還予定日は丸々二日分ずれたと思っていただければ。では」


 ネロアはその場から姿を消し、馬車の中は再び三人だけとなった。


「いやいや…、まだ視察してないとか…。これアイラ依存症確定だわ…」

「それは医学的な根拠がございませんので、陛下の気の持ちようで治ると思います」

「アイラ様…、また強くなられたのですね…!」


 グリセリアは力なくグッタリして、アリスは真面目な表情でグリセリアに真っ当なツッコみをした。

 ノワールは一人、アイラが怖がるキラキラフェイスになって小声で呟いていた。


 結局グリセリア、ノワール視察団は、一日中その場で雨に耐え続けたのだった。

活動報告でご報告しました通り、今回で投稿を一旦休止させていただきます。

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