表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第八章 次の道へ進む時
214/395

道路整備計画案

「次は道路整備に関して。フリマン、計画はどこまで進んでる?」


 次にセリアが議題に上げた道路整備の件。これは文字通り、国中の道路をきちんと整備して、なおかつ舗装しようというセリアが自ら立ち上げたプロジェクトだ。

 この計画を管轄するのは道路省。指揮は大臣のフリマンが務める。


「報告しまぁ~ス。陛下が言ってた資材の調達は~、とりあえずある程度完了したっス。状態としては~、いつでも工事着工できるっス~。

 でもぉ~、マジで道路整備が必要なのか~とか~、なんか説明少なくね?とか言ってる奴も出てきてて~、俺も個人的にもうちょい説明が欲しいと思ってる最近の俺だぁ~」


 セリアからの質問に対し真面目なのかふざけてるのか分からないチャラい態度のフリマン。しかも最終的に個人的意見に変わってる。


「…陛下。とても今更ですが、何故彼を大臣にしたんですか?」

「…私も分かんない。なんかゴメン」


 フリマンの態度に呆れた様子でセリアに任命理由を問うオルシズさん。セリアも何故か謝っている。


 私は事前に内容を聞いてるけど、整備が必要なのか疑問視する声があるのはおかしくない。

 この計画でセリアが考えているのは、国中の道を『コベト』という物で舗装してしまおうという事。

 実はコベトは、前世の頃の世界で当たり前に使われていた『コンクリート』と同じ物。

 前世の頃の世界では、道のみならず橋やトンネル、建物等幅広く使われていたコンクリート。しかしこの世界におけるコベトの使用幅は、主に要塞や城等の大型施設のみ。橋は主に木製だし、トンネルは天然の洞窟か手掘りの採掘場しかない。

 つまりどこの国も普通の道にコベトを使おうなどという概念は存在しない。これが疑問視される理由だ。

 事前に聞いた話から解釈すると、どうもセリアはこの計画の説明をうまく伝える事が出来てないみたい。今まで計画を進める事が出来たのは、セリアが放っていた圧力のおかげらしい。てリリアちゃんが言ってた。

 でも私が見る限り、セリアの圧力で物事を進めるのはもう限界のはず。このままセリアが説得できなければ私が割って入るつもりなんだけど…。


「道の舗装なんて当たり前じゃないか!いつまでも獣道ばっかにしとくわけにいかないだろ!」

「お言葉ですが陛下。整備や舗装が当たり前なのであれば、土や砂利等を用いての整備も可能なはずです。陛下は以前それとは違うとおっしゃいましたが、我々や末端の者達にはそれが理解致しかねます」

「なーんーでーさー!いい加減分かれよー!だから道を…」

「セリア」


 リナリアさんの意見に対し、セリアはイライラを抑えずに言い返す。もうこれは割って入るしかない。

 だから私は、感情的になってるセリアを呼び止めた。代わりに説明するために。


「なにさ?アイラ」

「そうやって感情的になっても気持ちも考えも伝わらないわ。あんただってそのくらい解ってるでしょう?自分の意見ばかり言うんじゃなくて、疑問視してる人達の意見をきっちり細かく聞いて、そこから返答内容を考える。それも会議において必要な事であり、王ならば当たり前に持っていなければいけないはずの能力よ。今のあんたはそれらを全部すっ飛ばしてる。だからみんな解ってくれないの」


 私がセリアに言葉を並べると、閣僚達はみんなして何度も頷いていた。


「そんな事解ってるよ~。でも言ってもみんな解ってくんなかったもん」

「まぁー、あんた説明ヘタだからね」

「それは否定しない」

「自身満々に言わないでよ…」


 結局反省せずにふんぞり返るセリア。…仕方ない。ここは私が説得しますか。


「皆さん、道路整備に関してのお話は彼女から直接聞いています。私は計画に関して理解をしていますので、女王の代わりにご説明します。

 先程フリマン大臣から、計画の必要性を疑問視している者がいるという発言がありました。その疑問視している方々は皆、何故わざわざコベトを用いて舗装するのか?という点に対しての疑問視ですよね?」

「そうですね。ほとんどの方々はその疑問かと」


 私が代役に名乗り、疑問の内容を予想すると、リナリアさんが頷いてくれた。


「現在グレイシア王国中にある道は、主要道路から山道までほとんどの地面が土で舗装されております。道によっては獣道同然の道もあるようですが。

 女王陛下が打ち出している今回の計画は、主要道路や使用頻度の高い道をコベトで真っ平、もしくは地形に沿った上で安定性を高めようとするための計画です。

 例えば街中の主要道路。土の道の状態で強風が吹いたら、リナリア大臣、どうなりますか?」

「それは、土が舞い上がって砂ぼこりになって…」

「そうですね。では雨が降ったら?フリマン大臣、どうなります?」

「水たまりとか出来て~、道がベッチャベチャになってハンパねぇ状態~」

「はい、そうですね。しかしそこにコベトで舗装したとします。とすると土ではないので風で舞い上がる事はありませんし、道がぬかるむ事もありません。仮に水たまりが出来ても小さなものでしょう。常に安定しますよ。

 道が安定していれば歩きやすくなって往来もしやすくなります。兵士にとっても緊急時に動きやすくなるでしょう。街以外の場所でも道がどこなのか視覚的に分かりやすくなりますし」


 私の説明を黙って聞き続ける閣僚達。私はさらにとある説得材料を出す。


「さらにコベト舗装しておけば、馬車の動きも安定するかと。ぬかるみに馬がはまったり、突き出た石に車輪が乗り上げて横転する事もないですし、走った後の土埃も発生しません」


 私が放った馬車の問題。これもこの世界全ての国共通で抱えている問題で、馬車が通った後に土埃が発生して歩行者に迷惑がかかったり、地面から突き出ている石に車輪が乗り上げて横転事故に繋がったり、雨の日に深い水たまりやぬかるみの影響で馬が転倒し、脚の骨を折ってしまった馬が死んでしまったり。等々、馬車を走らせるにもいろんなリスクを伴う。コベトで舗装してしまえば、これらは一気に解消される。


「総合的に言いますと、コベト舗装をしておけば、今まで発生していた問題のいくつかを解消できますし、人々の往来も楽になって天候に対する影響も減るということです。

 とまぁ、こんな感じですかね。セリア、これで良い?」

「文句ないよ!さっすがアイラ!」


 ある程度説明し終えたのでセリアに確認を取ると、セリアは親指を立ててグーサインをした。

 話を聞いていた閣僚達は、みんな黙ってしまっている。


「あの、アイラさん。女王陛下から事前に話を伺っていたと言っておりましたが、話を聞いただけでそこまで理解していたのですか?」

「そうですけど?」

「女王陛下の話をここまで解釈できるとは…」


 リナリアさんは若干戸惑い気味に質問してきて、ルーフェスさんも呆気にとられてる。


「それから私なりの補足ですが、道が通っている場所やその周囲の環境次第では、コベト舗装しない方が良い道もある可能性がありますので、その点も確認しつつ計画を進める事を推奨致します。

 また、馬はコベト舗装した道でも歩けますが、どちらかと言うと土の上の方が負担が少ないです。なので馬車の交通量が多く歩行者が少ない道は、突き出た石等がないか確認した上でコベト舗装しないか、一部のみ舗装というかたちをとる事をお薦めします。

 もしコベト舗装した事で街や周囲の景観が壊れると感じた場合は、コベトの代わりに平らに削った石を敷くのも一つの手です」

「だってさ。全員解った?」

「これ本来はあんたが言わなきゃいけない事なんだからね?あんま偉そうにするなら今度から何も言ってあげないからね?」


 私が補足を入れると、隣でセリアがエラそうにしていたので注意しといた。


「いや~、アイラが代わりに言ってくれたどころか補足まで付けてくれたおかげで助かっちゃった。私満足。てことでフリマン、今の話を疑問視してるっていう連中に話してね」

「あ、途中から聞いてませんでした~。サーセン」


 聞いてなかったんかーい。一番聞いてなきゃいけない道路省大臣のあんたがなんで聞いてないのよ。


「…何故彼を大臣に?」

「…正直すまんかった」


 オルシズさんはセリアにさっきと同じ質問をし、セリアも同じような返答をしていた。


 結局私はフリマンにもう一度同じ話を聞かせ、強制的にメモらせた。

 その後他にもいろんな議題で話をしたけど、医療問題や道路整備計画程大きな議題ではなかった。

 最後はセリアが総まとめし、今後の動き等の調整が行われた。私はある程度喋ったし、後は大臣や各領地の貴族達がそれぞれ決めて行ってくれるだろう。








 そんで会議が終わって会議室を出た後。


「さすがは龍帝陛下。お見事でございました」

「まるで学院会の頃のアイラ様を見ているようでした。いえ、輝き方は当時以上ですね」


 なんかキリカとノワールに賞賛された。恥ずかしい…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ