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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第八章 次の道へ進む時
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医療保険制度導入案

「それじゃあ、会議を始めるよ。まずノワールの伯爵位を渡す日だけど、サッサとしたいから明日で」

<<<異議あり>>>

「まず領地の視察を先に行って、その後に式典を行うという方針でいかがでしょうか?」

<<<異議なし>>>


 会議が始まり、まずはノワールの伯爵位賜り日の話になった。

 セリアは明日とか急な事言ってきたけど、それを聞いた閣僚達全員が一斉に拒否。代わりに私が領地視察後を提案すると、セリア以外全員賛成した。


「ではノワールの伯爵位と領地の正式な賜りは、領地を視察した後という事で。ノワール、構わないわね?」

「はい、異論ありません」


 私が決定確認を行い、ノワール本人も承諾。正式な時期が決定した。


「…ねぇ、私もしかして今日このままずっとアウェーなの?」

「あんたが勝手にアウェーになってるだけだけどね」


 セリアは今日の会議にアウェー感を感じたらしい。まぁ、自業自得でしょ。


「む~…。じゃあ次に、医療問題について。ヴァン」

「はい。現在我が国において病院の数は未だ減少傾向。医師、看師、薬師の数の減少も歯止めが効きません」


 セリアは不満そうな表情をしつつも、話を次へ進める。

 次の議題として職労大臣のヴァンが話した問題が、医療現場と従事者の減少問題。この問題は事前にセリアから聞いていた。

 ちなみに看師とは看護師の事。薬師は薬剤師。


 前世でも医療従事者や病院の減少は問題になっていた。でもこの国、いや、この世界では前世の世界とは違う問題が起きている。

 実は医師免許を始め、医療に携われる免許を持っている人はたくさんいる。しかし平民も貴族も相当な事がない限り病院に行かないのだ。これは世界各国同じ悩みを抱えていて、この国でも、アストラントでもそうだった。

 この問題の原因は簡単な事。医療費が高すぎるという事だ。平民の稼ぎだと、一か月の収入の半分は持ってかれる。これはキツイ。

 この世界には健康保険等の医療制度がない。なので患者は医療費を全額負担しなければならない。これが病院に行かない理由だ。

 結果病院は稼ぎがなくて次々破綻。医師も収入がないから他の仕事に就いてしまう。


「なんとか歯止めをかけんとな…」

「しかしこれ以上の対策は…」

「思いつかないっスよねぇ~」


 クラナッハ大臣は腕を組んで考え込み、リナリアさんも険しい表情。フリマンは相変わらずチャラい。


 私はアストラントにいた時から、こういった問題は耳にしている。そして対策も思い付いている。

 原因解決策は単純。医療保険制度を作れば良い。だって既に税金を徴収する制度はあるんだから。むしろなんでみんなそこにたどり着かないんだろう?セリアはこういうのメッチャ疎いから解るけど。

 というわけで、私は発案する事にした。


「私から良いですか?」

「はいよ。アイラ何か意見?」

「その医療問題ですが」

「ですが?」

「私から、医療保険制度の導入を発案させていただきます」









<<<医療保険制度?>>>

「あー…、なんとなく言わんとしてる事が分かった。なるほど、その手があったか…」


 私の案に閣僚達は首を傾げ、セリアだけ小声で呟いて納得してる。


「簡単に説明しますと、まず国民から徴収している税金の額を少しだけ引き上げます。その引き上げた分の税金を、医療保険として国で保管および管理します。

 そして病気や怪我等で病院で治療を必要とする患者が出ましたら、その患者の治療費等の一部を医療保険から国が出します。

 そうすれば国民は医療費を全額払う必要がなくなって、家計が圧迫される事はなくなります。そして医療従事者は安定した収入を得る事が出来ますし、病院の維持も可能となります。

 また、費用負担だけでなく、医療技術向上に繋がる取り組みにも使用すれば、医療の発展も出来るでしょう。そうなれば解明されていない病気の発見や、新たな治療法の確立、新薬の開発も出来るはずです。

 医療問題は結局医療費が高いというのが原因なわけですから、国民の生活に支障がない程度にお金を集め、いざという時に備える状態でいれば、これほど助かる事はないと思います」


 塵も積もれば山となる。備えあれば患いなしってね。

 僅かな徴収でも大勢から集めれば大金になるし、それを保管して備えておけば、誰かが病気や怪我に悩まされた時に助かるし、病院も関係者も潤う。

 とまぁ、前世の記憶を参考に発案してみた。さすがにこの世界だと色々細かい仕組みを新規に考えないといけないだろうけどね。


 私が説明し終わると、セリア以外の面々は皆ポカーンとしていた。


「な、なんて画期的な制度…」

「どれだけ考えても非の打ち所がありません…」

「た、確かに医療関係者も潤います!」

「そのような考えが出てくるとは…」

「はっはっは。なんとなく女王陛下がグレイシアへアイラ殿を誘った理由が解ったような気がしましたぞ」

「解ってくれた?やっぱアイラスゴイでしょ?」


 ミランダはポツリと一言。

 リナリアさんも非の打ち所がないと言ってくれてる。

 エーデルも納得していて、ヴァンは固まっている。

 クラナッハさんはセリアが私をここへ誘った理由を察したようで、セリアは何故か得意げ。


「それでどうする?アイラの案、可決する?」

<<<異議なし!>>>


 セリアの最終確認で満場一致となり、私の医療保険制度導入案は可決された。


「可決したこの案の細かい所は後で詰めるとして、話す予定だった他の議題を先に片付けよう」


 可決が確認されたところで、セリアは次の議題へ話を持って行った。

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