髪型色常時改変魔法
髪型を自由自在にってどういうこと?
「ついでに髪色も自在にってね」
「なになに~?そんな能力とか存在すんの?」
スンテノさんは髪色まで追加してきて、セリアは興味深々みたい。
「アイラ様、膨大な量の魔力持ってるでしょ?実はこの世界には髪型や髪色を変えられる魔法が存在しててね、アイラ様なら発動条件をクリアしてるんだけど、どうかしら?
その魔法を収得してしまえば、私に髪の事を相談せずとも楽々ヘアチェンジ出来るけど」
「髪型と髪色を自在に変えられる魔法…」
そんな魔法があったんだ…。でも乙女にとって髪型や色をいつでも好きなように変えられるっていうのは魅力的ね。
「是非、教えてください」
「そう言ってくれると思ってたわ。それじゃ、まずは説明をするわね」
こうして、スンテノさんの魔法講座が始まった。ちなみにセリアも参加。
「魔法の名前は『髪型色常時改変魔法』って言ってね、大昔は知られてた魔法なんだけど、膨大な魔力が必要になる事から収得出来る人が少なくて廃れてしまった魔法なのよ」
「へぇ~、そんな魔法があったんですね」
「女性にとって魅力的な魔法だよね~」
スンテノさんの説明に私とセリアは感心する。セリアの言う通り、女性にとってこれほど魅力的な魔法はない。髪は女性の命って言われてるし。
「この魔法はね、一度発動すると二度と止まる事がないわ。髪がいつでも変化する体勢を整えるために、常時発動しっ放しになるの。だから常に膨大な魔力を必要とするのよ。
その点アイラ様なら神獣産み出す程の魔力量と世界最速の魔力回復速度を持ってるじゃない?発動条件ピッタリなのよ」
「アイラの魔力回復速度って世界最速なの?」
「知らない。私自身よく分からん」
スンテノさんが言う回復速度に関してセリアが質問してきた。けど私自身よく分かってない。
「じゃあ説明はここまでにして、早速やりましょうか。この魔法の収得の仕方なんだけど、実は一人じゃ収得不可能なのよ。いくつか方法はあるんだけど、一番簡単な方法は既にこの魔法を収得している者が収得したがっている人に魔法をかける方法ね」
それが一番簡単とか、なんとまあ手順のメンドイ魔法。それじゃあ廃れるのも解るわ。
そもそもどうしてそんな魔法は生まれたのかしら?
その後私達は一旦私の部屋に移動して、私は鏡の前に座り、スンテノさんが後ろに立った。
傍にはセリアとシャロルが立ち、部屋のドア付近には話を聞きつけた面々がいる。荷物整理を終えたキリカ、自室から出てきたアテーナとアルテ、そして何故かエウリアとメリッサもいる。…おい警備兵。警備はどうした。
私は髪飾りや髪留めを全て外し、髪を解いてストレートヘアーにした。
スンテノさんはそっと私の髪に優しく触れる。
「ただ魔法をかけるだけだと実感性がないから、私が一旦髪型を変えるわね。その時点で魔法の収得および発動は完了よ。その後はアイラ様が自由に髪型と色を変えてね」
「解りました。お願いします」
スンテノさんの説明を了承した後、スンテノさんは私の頭に魔法を発動させた。
私の髪の毛が光り始める。透き通るような輝きを放っていく。
それから十秒程で、私の髪型は大きく変わった。
「はい完了。今私が変えた髪型が、初対面の頃からずっと似合うだろうな~って思ってた髪型なんだけど、どうかしら?」
「わぁ…!すごく新鮮…。前世でもこんな髪型したことなかった」
今の私の髪型は、前髪がМ字に下ろされ、横と後ろは髪が途中からクルンクルンになっている。長さは毛先が肩にギリギリ付かない程度。色は黒のまま。
私は前世じゃただのショートヘアーだったし、今世じゃスーパーロングヘアーだったから、こういった髪型は新鮮。
「アイラ…、超カワイイ~!大人っぽい!長いのも良かったけどこれもメッチャ良い!」
「なんだか品が増したように見えます。お似合いです、お嬢様」
「その髪型で竜族の民族衣装着たら似合いそうね…」
「長い髪をなびかせるアイラ様も素敵なんだけどねぇ」
「こっちも魅力的ね」
「メリッサ、警備に戻りましょう」
「ん…」
セリアは興奮気味に私の髪を触ってくる。
シャロルも似合うと笑顔で言ってきた。
キリカは民族衣装がどうとか、一人でブツブツ言ってる。
アテーナとアルテは何やら議論し始めた。
スンテノとメリッサは警備に戻って行った。ホント何しに来たの?
「この髪型、気に入りました!ありがとうございます!」
「喜んでもらえて何よりだわ。後はアイラ様自身で髪型を思い浮かべれば変えられるわよ」
「髪型を思い浮かべる…」
私は試しに、魔法発動直前のスーパーロングストレートヘアーを浮かべてみた。すると再び髪の毛が光って…。
「おお~!戻った!」
元々の長い髪に戻った。髪質も変わっている。
「ついでにそのまま色を変えてみたら?色の変え方も髪型変える時と同じよ」
「解りました。やってみます」
私は試しに金髪をイメージ。すると。
「わ~!明るいっ!」
前世の頃を含めて人生初の金髪になった。
「これ面白~い。私もこの魔法欲しいかも」
セリアも魔法を収得したがりだした。
「残念だけどグリセリア様はまだ収得出来ないわね。まずは力の制御第一優先にして頂戴」
「えぇー…。ここでも制御優先…」
セリアはガックリ肩を落とした。だからアテーナとアルテからの特訓受け取けってのに。
「とにかくこれでアイラ様は今後どんな髪型や色の変化も自由自在!スキンヘッドでも鶏のトサカ風モヒカンでもレインボーアフロでも!」
「チョイスおかしくありません!?」
それじゃあまるで何かの罰ゲームだよ。どこのパーティーでもしないでしょ。