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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第八章 次の道へ進む時
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報告終了

「…え?」


 突然セリアに指差されて名前を言われたノワールは、驚きの表情のまま固まった。

 私はというと、セリアがノワールを指差した時点で納得していた。

 ノワールは元アストラント王国ヘルモルト伯爵家令嬢。後継者はパーマ子息だったが、ノワールが家督を継ぐ可能性も少なからずあったのだ。

 しかも現在彼女は半精霊という特殊な存在になっている。その力は場を支配するには十分すぎる。

 ましてや彼女は学院会で特殊調査部部長を務めていた。リーダーシップは持っている。


「わ、私が領地を持つのですか…?」

「うん。このグレイシア王国で貴族に返り咲き、一つの領地を持つ貴族当主として土地を治めてほしい」


 戸惑うノワールに対し、セリアはしっかりとした口調で貴族入りを懇願する。

 セリアの表情は真剣で、普段のグウタラな感じはない。完全に女王としての顔だった。


「ちなみに場所ですが、アイラさんにお渡しする領地から内陸側に隣で、隣国のアストラント王国の国境に接します」

「「え!?」」


 オルシズさんの説明に、今度はノワールと同時に私も驚く。

 ノワールはアストラントに苦い思い出を持っている。そんな所と接する場所なんて…。


「ちょっとセリア?あんたノワールの過去解ってて言ってんの?」

「解ってるよ。理解した上でお願いしてる」

「……」


 私はセリアに問いかけるが、セリアは真剣なまま。ノワールは完全に黙ってしまった。


「アイラ様…」

「なに?」


 ちょっと沈黙が続いたら、ノワールが急に私を呼んできた。


「アイラ様は、どう思われますか…?私が領地を持つ事は、相応しいと思いますか?」


 ノワールは私に意見を求めてきた。この子は今完全に困り切った結果、あろうことか私に判断を仰ごうとしている。ここは弾き返さないと…。


「私は賛成でも反対でもないわ。それを決めるのは私じゃない。あなた自身が考えて決める事よ。ハルク様の装備を継承する事を決めた時のようにね」

「……」


 私が弾き返すと、ノワールは再び黙ってしまった。


「返答はすぐじゃなくて良い。急にとんでもない事言ったのは承知してる。時間をかけて考えてほしい」

「…すいません、しばらく時間をください…」


 セリアは返答を急がないみたい。そりゃそうか。


「これにて政府からのご報告は以上となります」

「じゃあこれで報告会終了~!誰か他に何か言う事ないよね?なければ解散~」


 オルシズさんが報告を締め括ったところで、普段のモードに戻っていたセリアがお開きを宣言した。


「私はそろそろ職務に戻ります。お邪魔致しました。あぁ、そうそう。アイラさん。最近妹にあなたの事を話しましたら、あなたに興味を持った様子でして、いずれ会うかもしれませんのでそのつもりで」

「オルシズさんって妹さんいたんですか!?」

「言ってませんでしたっけ?」

「初耳です!」


 私ずっと一人っ子だと思ってた…。セリアもなんで教えてくれなかったの?


「女王陛下はこちらにおられますか?」

「うん。今日はその予定」

「分かりました。では私は鍛錬に向かいますので、何かあればお呼びください」


 アリスは鍛錬しに行くらしい。シャロルに負けた事まだ引きずってるのかな?


「私も失礼します。アイラさん、女王陛下へのお仕置き、お願いしますね」

「任せといて!徹底的に矯正しとくから!」


 リリアちゃんには、セリアのサボり癖の矯正を約束しておいた。セリアは苦い顔してる。


「私も失礼します。自室に戻りますので…」

「ノワール…」


 ノワールもリビングから出て行った。けど表情が険しかった。


「アイラさん、ノワールさんの事は我々精霊が様子を見ておきます。きっとちゃんと結論を出しますよ」

「すいません、お願いします」


 オリジン様はノワールの様子見を約束してくれた。ノワールの事気にしてくれてるみたい。


「私達も失礼するわ」

「ごきげんよう」

「バイバイ」

「じゃあな~」


 精霊達もみんな消えて行った。


「私とアルテは自室に戻ります」

「何かありましたらお呼びください」

「ええ、お疲れ」


 アテーナとアルテは理由は言わないが自室へ戻って行った。もしかして特訓メニューの制作だったり?


「わたくしめは他の神獣達と交信をしてきますので、一旦失礼させていただきます」

「うん、分かった」


 爺やは他の神獣達に現状報告してくれるらしい。そういえば神獣達と全然会えてない…。


 こうしてみんな解散していき、別館リビングに残ったのは私とセリア、シャロルとキリカだけとなった。


「あ、キリカの荷物返さないと。あと部屋の用意と、別館案内と…」

「そういえばまだだったね。何からやるか…」

「私、空き部屋の掃除をして参ります」

「あの、そう急がなくても大丈夫ですから…」


 私とセリアとシャロルは急にワタワタし始め、キリカに落ち着くよう促された。

 その後私とセリアで別館について説明を行い、その間シャロルがキリカに用意する部屋の掃除と準備をしてくれた。


 にしてもみんな色々動いてたみたい。そしてこれからもいろんな事が起きる。

 今はきっと、次のステップへ進む道へ歩むための準備期間だと思う。

 その準備の最初は、…セリアのサボり癖を矯正させる事かな?

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