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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第二章 学院生活
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神様再び。そして、神力特訓

 服装を変え、武術大会の話をしたその日の夜。普段通り眠りについていると、目の前が明るくなった気がした。

 目を開けると、以前に神様と会話した『天神界』の景色が広がっていた。そしてそこには神様もいた。


「ちょっとだけ久しぶり。アイラ」


 神様は前と会った時同様、微笑んで声をかけてくる。しかし私がいたのは聖堂ではなく自宅の自室。光も発生せず寝てただけ。にも関わらず私は天神界にいる事に疑問を覚えた。


「あの、水晶無しで聖堂じゃなくても私の意識飛ばせるんですか?」

「いつでもどこでもどんな時もウェルカムよ!」


 どこでも無条件で呼べるんかい。しかもウェルカムの使い方間違ってるし。


「じゃあ、どうして聖堂であんな派手な事したんですか?」

「ああやって公衆の面前めんぜんで派手な演出して意識持ってきた方が、現実味あるし神様感あるでしょ?」

「……」


 完全に神様の自己満足じゃん。こっちは誤魔化すの大変なのに。


「で、今回はどうしたんですか?」

「あなた、今日学院から帰る頃からずっと神力の事考えてたでしょ?」

「なんで知ってるんですか!?」

「時間があれば常にあなたの事をここから見てるし、時々あなたの心の中も覗いてるから」


 平然と言い切った!恐いよこの神!マジストーカーじゃん!


「今、ストーカーって思ったでしょ?」

「オモッテマセン」


 またのぞかれたぁ!ホント怖いよぉ!


「で、神力のイメージがかなくて不安なんでしょ?」

「はい。発動もさせた事ありませんし、何かの攻撃を受けた事もないので、何も分からない状態で…」

「解決方法は簡単よ。トレーニングをすれば良いの。あなた朝いつも特訓してるでしょ?」

「はい、してますけど…」

「今度から物を使ってやってみなさい。何でも良いわ。誰かにそれを投げてもらえば、勝手に神力が発動して避けたり防いだりするでしょう。そしたら今後のイメージも付くはずよ」


 あぁ、そっか。何か道具を使えば良かったんだ。どうして今までそれに気付かなかったんだろう?


「ありがとうございます!明日から早速やってみます!」

「ええ。あともう一つ良いかしら?」

「はい、なんでしょう?」

「あなたは気付いていないようだけど、最近あなた新しい神力が発動し始めたわよ」

「え?ええ!?」


 新しい神力!?いつから?一体どんな?


「あなたは腕や足を使って戦うわよね?例えば拳を使った場合、手先に神力が流れ始めて通常より威力が倍以上増すわ」

「はい?」

「さっき言った事と同様、物を使って殴ったり蹴ったりしていきなさい。そしてそれを繰り返して力の制御が出来るようにしなさい。でないともしそのまま人を殴ったら大変な事になるわよ」


 ええー…。なにそれ。そんな危険な力なの?


「えっと…、制御出来ないとまずいんですか?」

「ええ、神力全開で大木を殴ったら簡単にへし折れるわよ。数トン級の魔物だって飛んでいくわよ」


 めっちゃヤバいやつじゃないですか、やだー!


「…わかりました。全力で特訓します」

「それが良いわ。頑張りなさい」


 そう言って神様が手を振ると、私の意識は遠くなっていった。


「もっと強くなってね。私のかわいい眷属」


 意識が消えきる直前、神様のそんな発言が聞こえた。






 目を覚ますと既に朝になっていた。

 私は身体を起こすと、寝起きの状態のままぼんやりする。


(神様と話してたから、あんまり寝た気がしないや。それにしても眷属か~。確かに神様の言う通り、私の身体が神様に近いんだったら眷属だよね~。神様は私に力注いじゃったわけだし)


 ぼんやりしながら別れ際に聞こえた神様の発言。眷属なんだと認識すると、やっぱり私は普通じゃないんだなぁ。


(それにしても新しい神力か~。気が付かなかったな)


 こういう風にして新しい力が目覚めていくのだろう。前世の記憶に関してはいずれ全て思い出すだろうけど、神力に関しては一体どこまでいくんだろう?

 最終的に私はどんな存在になっていくんだろう?そもそも、神様はどこまで先が見えているんだろう?こうして考えてみると分からない事だらけ。




 しばらくして、いつものように部屋に入ってきたシャロルに、再び神様に会った事と新しい神力の事を説明した。


「平然とお嬢様の睡眠意識にも出てくるとは…。念のためお聞きしますが、その神様はお嬢様をずっと監視しているわけではないですよね?」

「監視ってわけじゃないけど、よく私の事見てるみたい。それとあまり悪く言わない方が良いわよ。この会話すら聞いてる可能性が高いから。心の中平然と見てくるし」

「そ、そうですか…。それにしても特訓に使えそうな道具ですか…。壊しても良い物が無いか、メイド長に聞いてみます」

「ええ、お願い」


 いつもの準備を済ませた後、私はしばらく部屋で待機する。今日は学院がお休みで特に予定もない為、時間が自由に使える。

 少し経ってシャロルが部屋に戻ってきた。


「お嬢様、お待たせ致しました」

「使えそうな物はあったの?」

「はい。既に庭にご用意してあります」





 庭へとやってくると、そこには古びた家具や何かの木箱、手のひらサイズの木片やガラス片が用意されていた。しかも割と多い。まるで粗大ゴミの集積場のように見える。いや、そうにしか見えない。というか、うちの屋敷のどこにこんな量の粗大ゴミがあったの?


「それで、何からどう始めましょうか?」

「うーん…。シャロル、これを私に思いっきり投げてみて」

「え!?これをですか?無理ですよ!危険です!」

「力を確かめるためなの!お願い!」


 私がシャロルに渡したのはガラス片。これを私に投げてほしいとシャロルにお願いした。

 一方的にお願いしてシャロルから距離をとる。シャロルも渋々受け入れてくれたようで、投げの姿勢に入っていた。

 シャロルがガラス片を一枚投げた瞬間、私は思いっきり脱力する。あえて避けずにいた場合、神力がどのようにして働きを見せるのか確かめたかったのだ。


 飛んできたガラス片が当たりそうになった瞬間、私は一切意識しても力を入れたわけでもないのに、身体が勝手に動いてガラス片を避けた。……なんだか不思議な感覚。


「シャロルー!今度は連続でお願い!」

「連続ですかー!?本当に危ないですよー!?」


 危ないと言っていたシャロルだけど、私が再びお願いすると渋々受け入れてくれた。やっぱりシャロルは解ってくれてる。


 今度は連続でガラス片と木片が飛んでくる。しかもあまり隙なく。

 私はさっきと同様に脱力していたんだけど、やっぱり身体が動いて避けていく。まるで本能的に飛んでくる位置が分かっているかのよう。

 そして最後に私は驚いた。一番最後のガラス片を、私は無意識のままに手で掴んでいた。これは、神力の防御能力が働いた事になる。


「……」

「お嬢様!大丈夫ですか?」


 黙ったままの私にシャロルが駆け寄ってきた。


「うん。全然大丈夫。全くの無傷よ。でも何だか想像以上と言うか…、なんというか…」


 とりあえず、結果をシャロルに説明する。


「私にはお嬢様が普通に避けているとしか見えませんでした。最後にガラス片を掴んだ時はお見事と思いましたが…」


 どうやらシャロルには、私が普通に動いていたように見えていたらしい。






 次は攻撃の力の方へ移る。木箱を持ってきて、まずは殴ってみる事にした。シャロルも距離をおいて見ている。

 力加減が分からないので、思うがまま殴ってみた。



 バキャン!!!バラバラ…。



 木箱はすごい音とともに、木端微塵こっぱみじんになり様々な方向へ飛び散っていった。ただ殴っただけなのに…。


「「……」」


 私もシャロルもノーコメント。まぁ、神様も大木すら折れるって言ってたし、ある意味納得かな?


 次に古びた木製の机を蹴ってみる。さっきは粉砕ふんさいしたので、自分なりに力を抜いて蹴ってみた。予想としては大きく割れるか、一部が砕けるか程度に思っていたのだけれど…。



 バキョン!!ガラガラ…。




 結果は見事に完全粉砕でした。あれー?おかしいなー?

 ちなみにシャロルは無言。


 もう一度確認のため、私はブロックを二つ地面に置いて、その上に瓦を五枚のせた。いざ!瓦割り!一度やってみたかったんだよね~。


 やってみたところ、瓦は全てきれいに割れた。粉砕とかもせず、うまくいったと思った。んだけど、割れた瓦をどかした瞬間、私は固まった。

 私の力は瓦だけでは吸収しきれていなかったようで、地面まで到達していたらしい。瓦の真下の地面が深くえぐれていた。


「もー!!制御難しすぎるよー!」


 粉砕だの貫通かんつうだのばかりしている自分にいら立ちを隠せなくなる私。そこに黙ったままえぐれた地面を見ていたシャロルが言葉を発した。


「お嬢様、このままでは本当にまずいですよ。このまま大会に出れば、確実に対戦相手を即死させますよ」

「分かってるわよ…、もう…」


 結局この日は、日没まで特訓に励んだのだった。おかげでヘロヘロ…。

 他の使用人や兵士には、大会に向けた特訓だと説明しておいた。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

今回の投稿が、平成最後の投稿となります。

今後ともよろしくお願い致します。

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