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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第七章 それぞれの行動と進歩
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それぞれの役職と、ランの決心報告

視点がアイラへ戻ります。

 ランに「首相になってほしい」とお願いしてから、なんだかんだで一週間が経過した。

 私も龍帝国政府もランがオッケーサインを出す時を待っている。もう既にお迎え準備は万端。


 私はこうして待っている間に、私の傍で働いてくれた人達の新たな役職を決めていた。

 例えばニースさんには『首相補佐』を任命。本来は首相が決める事なんだけど、ランが首相になった場合まだ誰が誰だか分からないだろうからと思い、私がニースさんを任命しておいた。

 ニースさんは役人としてそれなりのキャリアはあるし、物事をハッキリ言うタイプなので、首相をサポートするに適するだろう。

 今までただの役人だったニースさんが首相補佐官になることは、間のいろんな役職を飛び越えて着任するという大出世であり、龍帝国の歴史でも前例がないらしい。

 なので任命した時は号泣された。家族も大喜びらしく、近所でも有名な話になってるとか。


 また同時に、サララを『副首相』に任命。副首相は首相のサポートや首相代行、首相の仕事の手伝い全般等の仕事を行う。

 本来副首相を設けるかどうかは首相の任意だけど、ここも私の気遣いで設けておいた。ちなみにコアトルの時はいなかったんだそうな。

 サララは普段一歩引いて微笑んでるイメージだけど、オリガから聞いた話だと、実はかなりの指導力を持つんだそうな。普段は人を立てる事に徹し、自ら前に出る事はないらしいんだけど、いざという時に指導者がいないと、周囲に有無を言わせない程の力を発揮するんだそう。

 ということで、私はオリガのその話を信じてサララを任命した。ダーナだと自由奔放だから…。


 オリガは役職をそのままに、ルルと一緒に龍帝居住区の管理を任せた。ルル一人だと大変だし、他に使用人が手伝っても、時には役人の判断が必要な事態もあるかもしれないと思って、しっかり者のオリガに任せた。

 オリガに頼んだ時に私は新しい役職を与えられなかったことを謝罪したけど、オリガは「役職が変わらなくても、龍帝居住区を管理できる事は龍帝国では名誉な事です。責任持ってお受け致します」と言ってくれた。


 ダーナには私が新たに新設した『龍帝国情報収集担当任務官』に着任してもらった。

 この役職はダーナのために作ったようなもので、主にヤマタさんとは違うルートで情報を収集し、首相や副首相のサララ、龍帝の私等に報告する役割である。これならダーナは時間を気にせず自由奔放に動けるだろうし…。

 また、民から政府の事で聞かれた場合も、制限はあるものの多少であれば話して良いと伝えておいた。

 自由奔放なダーナだけど、判断力はあるし頭も良いから、国家機密級の事をうっかり話す事はまずないだろう。


 龍帝補佐官であるキリカは、今後私と行動をともにすると本人から聞いた。彼女も私と一緒に国を出て、私と生活するという事だ。

 以前にハルク様が「龍帝の傍には必ず幹部の姿があった」て言ってたけど、本当にその通りだ。


 私の専属使用人のルルは、私が不在の間は首相や今まで私の傍にいた面々に奉仕を行うとの事。この子にはいつかシャロルと会わせたい。


 コアトルが首相だった当時に政府に不満を持って声をあげていた者達は、コアトルの失脚と私が行った政府の一新、族長のヤマタさんの呼びかけが効いたおかげで、批判の声はなんとか治まった。

 キリカが言うには、今後はそうそう反乱が起きそうになることはないだろうとの事だ。安心安心。


 コアトルとその一味は未だ牢屋に押し込みっぱなし。キリカいわく、コアトルに不満を抱いていた者達総出でコアトルを拷問しているんだそうな。

 さらに聞いた話だと、私が負わせた怪我の治療もロクにせず、食事もロクに与えていないらしい。

 あんまヒドイと死んじゃうよ?まぁ、多分死刑だろうけど。

 どんな拷問をしているのか私は気になり見に行こうと思ったのだけど、キリカに止められた。

 見るに堪えられない、というのがキリカが止めた理由。それ言われるともっと気になるんだけど…。


 神龍は最近出てきたりはしない。特に用がないらしく、日々スルトと一緒に私の身体の中から景色を楽しんでいるんだそうな。

 神力や魔力の流れ等も見張ってくれているらしく、今のところ特に問題はないとのこと。


 という感じで頭の中で回想していた私に、キリカが何か持ち込んできた。


「陛下、こちらをお受け取りください」

「これは…、靴ね。こっちは…、何かの飾り?」


 一つは靴。一見するとハイヒールのように思えたけど、底がつま先からかかとまで繋がっていて、ヒールっぽいけどヒールでもないような靴だ。色は白色。

 これはいわゆる『ウェッジヒール』のような物かしら?中間部に穴をあけた感じ。

 それにしてもかかとが高い…。これ履いたら完全につま先立ちだ。


 もう一つは不思議な形の物。炎のような形の物の下に装飾が三本ぶら下がってる。裏側を見る限り、形状的に髪飾りだと思われるが、かなり大きい。


「まずこちらは靴です。陛下の龍帝就任記念として我ら竜族からの贈り物です。そちらは髪飾りでして、歴代の龍帝は皆その髪飾りを身に着けたと伝え聞いております。

 本当はもっと早くお渡しする予定でしたが、政府混乱の事もありまして渡しそびれていました」

「そうなの。解った。ありがたく貰っておくわね」

「はい。せっかくですから、試しに身に着けてみては?」

「良いわね。そうしましょう。ルル~、ちょっと手伝って~」


 私はキリカの案に乗り、ルルに手伝ってもらうかたちで靴を履いて飾りを着けた。


「お似合いです。陛下」

「さすが~。絵になりますね~」

「そう?私としては違和感がスゴイんだけど…」


 キリカとルルは称賛してくれてるけど、私としては頭の横に着けた髪飾りが大き過ぎて違和感だし、靴もやっぱりつま先立ち状態で、ぶっちゃけ立ってるのシンドイ…。

 前世でもここまでかかとの高いの履いた事ないし、これは慣れないとキツイな…。


 そんな日の夜、久々に神龍が出てきた。


「アイラよ。髪飾りだが、あれはお主が精霊や神獣と契約した際に受け取った物と連動しておる物だ。詳しい事は後々ハルクリーゼかオリジンから説明があるであろう。大切にするが良い」

「あぁ、伝説絡みの物だったのね。なら大切にしなきゃね」

「それと靴の方だが、我はその靴の製法を知っている。ある物を接合して作られておるのだが、原料がなんなのか分かるか?」


 神龍は突然クイズを出してきた。えぇ~、原料とか分かんないよ~。


「う~ん…、石とか、それに近い物?」

「残念、ハズレだ。それは竜族の骨で出来ている」

「はぁ!?骨!?誰のをどうやって!?」

「詳しくは我も知らん。だが竜の骨は他の種族のよりも強固でな。魔力も通せる。強化しておけば足技の武器にもなろう」

「こりゃまたエライ物渡してきたわね…」


 でも貰い物だし、黙って使っとこ。







 翌日。ついにランがやってきた。ヤマタさんも一緒だ。

 私は謁見の間で二人を迎えた。あー…、髪飾りが違和感…。


「今回は私は付き添いでございまして、娘よりお話がございます。ほら、ラン」

「……」


 ヤマタさんはすぐにランへ話をまわす。ランは最初は俯いてたけど、話を振られると決意に満ちたような真剣な表情で、玉座にいる私をしっかりと見てきた。


「アイラ様…、いえ、龍帝陛下。以前お誘いいただきました、首相就任の件ですが…」

「……」


 私はランが続けるのを待つ。


「お受けさせていただきます。陛下のご期待に応えられますよう、粉骨砕身務めさせていただきます」


 ランは言い切った。首相になる事を受け入れてくれた。

 私はあえて何も言わずにランへ近づく。まだヒールが慣れない…。


「陛下?」


 ランは何も言わない私に戸惑っている。そんなランの前に私は立つ。


「ラン、今の言葉は首相になるという事で良いわね?」

「は、はい!」

「その決意に迷いはない?」

「ありません。やり遂げて見せます」


 ランはハッキリ答える。もう私は嬉しさを隠しきれなかった。


「ラン!」


 私は笑みを見せてランに抱き着いた。


「わぁ!ちょ、ちょっと!?アイラ様!?」

「ありがとう!ありがとう、ラン!よく決心してくれたわ!ホントにありがとう!」

「い、いえ…、どういたしまして…」


 私はランに感謝しながら、お礼のハグを続ける。


「陛下、そろそろ離してあげてください。ランが苦しそうです」

「あ、ごめん…」


 キリカに言われて私はハグをやめた。

 そして身体の向きをヤマタさんに向ける。


「ヤマタさん。私の勝手な判断で娘さんをとんでもない地位に置いてしまいますが、どうかご理解ください」

「何をおっしゃいますか。命を救ってくださったご恩もあります。私も妻も賛成でございました。むしろこんな娘をここまで気にかけ期待してくださった事、このような地位にまで立たせていただいた事は、夫婦ともども感謝しております」


 ランへの首相就任のお願いは、いくら周囲に話したとはいえ私の独断。だから念のため保護者であるヤマタさんに理解を求めたけど、ネバダさんも揃って気にしてないらしい。


 首相も本当は宮殿に住むんだけど、今日は報告だけということでランとヤマタさんは帰って行った。明日また荷物を持って来るそうだ。

 ぶっちゃけ家と宮殿が目と鼻の先だから同じようなもんだけど。


 やっとこれで私はそろそろグレイシアに帰れるかな?

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