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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第七章 それぞれの行動と進歩
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別館メンバーと女王側近

 ノーバイン城別館。現在ここにはグリセリア、シャロル、アテーナ、アルテミス、トンジット、オルトロス、ザッハークの別館住まいメンバーと、オルシズ、リリア、アリスの女王側近メンバーが勢揃いしていた。

 特別何か行われるわけではなく、単なる偶然で皆集まっていた。

 なお、エウリアとメリッサは別館入口で警備中。


「アイラとノワールが出発してからもう一か月以上経ってるよ~?まだ帰って来ないのかな~?」

「仕方ありませんよ。それぞれ現地での都合があると思いますから」


 ソファに座らず床に直に座り、テーブルに顎を乗せてグッタリくつろぐグリセリア。その女王とは思えない体勢で、アイラとノワールが帰って来ないことを愚痴る。

 そんな彼女の愚痴にオルシズが返答する。


「神力と魔法の制御訓練していれば、お帰りになるまであっという間ですよ?」

「やだ~。個人的にやることあるもん」

「陛下は今なお制御訓練を嫌がるっと…」


 紅の宝玉を吸収して神力を一気に引き上げ、強力な魔力も手に入れたグリセリア。そんな彼女に制御訓練を推奨し続けるアテーナとアルテミス。

 アテーナが訓練を勧め、アルテミスは何度も首を縦に振る。

 しかしグリセリアは拒否。隣でそのやりとりを見ていたリリアが、アイラ報告用のノートにその様子を書き込んでいた。


「会議で領地の事は決まったし、私も個人的に色々やってるからこれでも忙しいの」

「確かに陛下はここ最近様々な場所に動かれているようですが、一体何をされているので?」

「姉さんと協力して色々ね。まずはアイラに見せてから教えるよ」


 最近は忙しいと語るグリセリアに対しオルシズが疑問を投げるが、グリセリアはアイラ優先と回答した。


 閣僚会議ではアイラ、ノワールが不在の間に、アイラの領地に関することが確定していた。

 無論それ以外の議題もあるが、アイラの領地が決まった事でようやく一つの大きな議題が片付いた状態になった。今は次の議題へ取り組むまでの短い一休み時となっている。


「ザッハークちゃん、おいで~。あははっ!くすぐったい!」


 ノートへ書き込みを終えたリリアは、両腕を広げてザッハークを呼ぶ。呼ばれたザッハークはリリアに寄り付くようにしながらはしゃぐ。

 アイラという生みの親が不在であるザッハークだが、アイラに近い存在であるグリセリア、ザッハークを気に入っているリリア、トンジットやオルトロスといった先輩神獣、別館にいる者達のおかげで寂しさを抱くことなく過ごせていた。

 ちなみにこの時オルトロスはお昼寝中。


「そういえばシャロルは鍛錬してる様子が最近はないけど、もう終わったの?」

「自主鍛錬は軽くしていますが、集中的な鍛錬は既に終えました」


 グリセリアは最近シャロルが鍛錬している様子を見かけず疑問に思ったが、シャロルは簡単な鍛錬のみ行っていると話す。

 自らアテーナ、アルテミス、トンジットに指導を頼み込んだシャロルは、暴走するかのように修行に励んだ。

 その結果、戦闘面においては素早さが格段に上がり、急な状況変化の即時対応にも強くなった。メイドとしても奉仕精度がかなり上がっており、今まで以上に自信を持って動けるようになっていた。


「模擬線では悔しかったです…。鍛え直して再戦したいものです。メイド研修でも他のメイドが驚いてましたよ」

「あはは…、機会があればまた…。城の使用人の方々に称賛されたのは嬉しかったですね。それもこれもアテーナさんとアルテミスさん、トンジットさんのおかげです。ありがとうございました」

「私達はただ付き合っただけです。シャロルさんの努力の賜物ですよ」

「また鍛えたかったら言ってくださいね」

「素晴らしい成長ですぞ。もうわたくしめから言うべき事はないでしょう」


 アリスは悔しそうな表情でシャロルを称え、シャロルは苦笑いで返しつつ、鍛錬に付き合った三人にお礼を述べる。

 お礼を受けたアテーナ、アルテミス、トンジットは、それぞれ笑顔で言葉を返す。


 シャロルがそれなりの期間修行をした頃、アリスはその成長に興味を持ち、シャロルに模擬戦を申し込んでいた。

 日頃から己を鍛え、最近は城の兵士相手に連勝して勢いに乗っていたアリスだが、シャロルとの模擬戦でアリスの勢いは止まった。

 シャロルの素早い移動と攻撃。アリスは目で追うのがやっとで、まともな攻撃すらできない状態に追い込まれた。結局アリスはシャロルに一太刀すら浴びせることも出来ぬまま敗北。シャロルの圧勝となった。

 その翌日に行われた、ノーバイン城で働くメイド達の定期的な研修にシャロルは参加。そこで他のメイド達とは比較にならない出来を見せつけ、指導役だったメイド長すらあ然とさせた。

 女王の護衛を圧倒するという事態に兵士達は驚愕し、メイド長をあ然とさせるという事態に使用人一同驚愕。その話は城中に広まり、関係者の中でシャロルには‘隙なしの完璧最強メイド’という異名が付いた。


「アイラ、龍帝国で何してるかな~?やっぱ玉座に座って竜族統率してるのかな~」

「龍帝ですもんね。これが世界に発信されたら、アイラさん大変な事になりそうですね。陛下もそれに合わせて伝説の事発表するんですよね?」

「そだよ。多分だいぶ先の事にはなるかもしれないけど、私はその時が楽しみでしょうがないよ。特にアストラントとノースがどう動くか…。フフフ…」


 リリアが言った世界に発信とは、アイラが龍帝になったということと、精霊や神獣と契約したことを国外に知れ渡らせることである。

 龍帝の発表は龍帝国が行う。グリセリアはそれと同時にアイラが精霊や神獣と契約した事を発表するつもりでいた。

 まだ発表時期は未定なものの、グリセリアはその時が楽しみで仕方なく、特に二つの国の反応を気にしていた。それが、グレイシアの隣国『アストラント王国』と、ハルク教総本山『ノース聖教国』である。

 グリセリアがこの二か国を上げた理由。

 まずアストラント王国は元々アイラやノワール、シャロルの故郷。そして長い間不仲の国。アイラやノワールの名を聞いて、彼女達の家族や友人はどう思いどう動くか。グリセリアはその点を気にしていた。

 ノース聖教国はハルクリーゼを祀るハルク教の総本山。ハルク教の中では精霊や神獣はハルク神の使い、神龍はハルク神の知人という扱いになっている。

 それら全てと契約し従える立場になったアイラに対し、聖教国がどういった反応を見せるのか。グリセリアは興味を抱いていた。

 ましてや現在のハルク教トップである教皇は、過去に精霊と関わったとされる人物。だからこそグリセリアは興味を強くさせていた。


「アイラとノワールが帰ってくれば、新しい時代の基礎作りが始まる…。あぁ、待ち遠しいなぁ~」

「陛下、何やら悪い表情になっていますが?」

「陛下は顔が悪いっと…」

「ちょっとリリア。今のそれ単に悪口じゃん。ていうか今のは書き込む事じゃないでしょうが」


 何かを企むような表情でほほ笑むグリセリアに対し、オルシズが冷静に疑問視。それを見ていたリリアが、もはや悪口ともとれる内容をノートに書き込み、グリセリアはすかさずツッコむ。


 アイラやノワールが不在の中でも、皆は仲良く笑い合い、アイラとノワールの帰りを待っていた。

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