不良達と両親
本日より投稿を再開させていただきます。
投稿をお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。
視点がランから外れます。
ランが両親に連れられて帰って行った後、ランを慕う不良達は全員そのまま残って話し合いをしていた。
「にしても龍帝陛下を見れるなんて思わなかったぜ。マジでビビったわ」
「しかもランの姉貴を首相に任命とか…」
「なんかスゲー瞬間見た気がしたな…」
「姉貴、呆然としてたな」
「そりゃそうだろ。急にあんな事言われたら…」
少しの間、沈黙が流れる。
「姉貴、どう返答するつもりなんだろうな」
「断れないでしょ。いくら姉さんでも」
「じゃあ、姉貴が首相になるのか?そうなると俺達はどうなるんだ?」
「どうって…」
再び少しの間沈黙が流れる。
「完全解散…、になるだろうな…」
<<<……>>>
今度は長い時間沈黙が流れる。
「なぁ、俺達ってさ、このままで良いのか?俺は違うと思うんだが…」
「…俺達は姉貴を応援するべきなのかもな」
「確かに私達だってこのままこうやって居続けることができるわけじゃないもんね」
「このまま姉貴の世話になり続けるのも気が引けるな…」
「…そうだな。もしかするとこの集まりもそろそろ潮時なのかもしれねえな」
「新しい龍帝陛下が来て、ランの姉貴が首相になって。そしたらきっとこの国に新しい時代が始まるのかもな。だったら俺達も新しい道に進まなきゃならねえ」
「その新しい時代に最初に乗っかるのが龍帝陛下と姉貴なんだろうな」
不良達はお互いを見合い、頷き合った。そして一人の少年が勢い良く立ち上がる。
「うし!だったらこの集まりで最後の大仕事だ!姉貴を全力で後押しして、笑顔で宮殿に送り出そうぜ!」
<<<オウッ!>>>
ランが迷いを見せる一方で彼女の仲間達は自身の将来を考え、ランを首相の道へと進ませる決心をし、自分達を導いてくれたリーダーを送り出す事を最後の大仕事として一致団結したのだった。
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所変わってクラッセン家。
「ラン、どうでした?」
「かなり悩んでいる様子だったな。険しい表情だった。まぁ、無理もない。いきなりあのような事を言われてはな…」
ヤマタはランの部屋を出た後、ネバダとランの事で会話をしていた。
「それにしても驚きました。龍帝陛下がまさかうちの子を首相にしたいなんて言い出すなんて…」
「まったくだ。キリカ殿やダーナちゃんの様子も見るに、おそらく宮殿内では既に可決されているだろう。ましてや龍帝陛下相手では反対も出来まい。
おそらく龍帝陛下は自分が独裁に持ち込める事を分かっている。しかし完全な独裁にはせず、周囲に自由の権限を与えて自然な流れで思惑通りに動くようにしている。グレイシア王国では貴族の一人だと聞いているが、相当な切れ者だろうな」
政治権限を掌握しておきながら役職が確定すれば権限を手放し、ランに対しても命令ではなくお願いというかたちで話を持ち出した。
一見すると独裁ではないが、的にした者が思い通りに動くよう手をまわした上で行動する。まさに自由と独裁のグレーゾーンを作り出している。それがヤマタから見たアイラだった。
「ランに頼み込む前に役人に話を廻している時点で、それを知ったランは断れなくなる。陛下はそれを計算して来たはずだ。おそらくランが首相になった後の事も計算済みだろうな」
「話している感じは、そのような印象はなかったんですけどね…。にしてもあの雰囲気と言いますか…、放っている感覚はすごいものがありましたね。非常に神々しいと言いますか。やはり神龍様と契約なされたからでしょうか?」
「…いや、直感だがそれだけではない気がする。あの方には他に何かある。私は陛下を見た時からそう思えてならない」
「これは私の勘なのですが、実は神龍様以外とも契約されているなんて考えられないでしょうか?例えば、神獣様とか…」
「他の伝説との契約か…。ありえない話ではないな。あの異質さを見てしまうと…」
ネバダは勘が鋭い。ヤマタもそれを当然分かっていて、アイラの雰囲気から推測するとあながち間違いではないように感じていた。
「…ランは、どうするのでしょうか?」
「受け入れる、と私は思う。私からも一応後押ししておいた。あいつも龍帝陛下から命を救われた恩義を持っている。それ故に期待に応えようとするだろう」
「あの子自身の負担にならなければ良いのですけど…」
「あの子は強い子だ。きっと大丈夫だろう」
我が子を心配しながらも首相になる事には反対しないランの両親。
リーダーを首相へ送り出そうと団結する不良達。
ランの周囲を取り巻いていた者達は、皆ランが首相になる事を望んでいた。
改めまして、投稿をお休みしてしまった事をお詫び申し上げます。
活動報告にお詫び文を掲載しましたので、ご面倒でなければご覧くださいませ。