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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第七章 それぞれの行動と進歩
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精霊窟初日

 魔法陣で精霊窟内へ入ったノワールと精霊一行。

 ノワールは精霊窟内の光景に目を奪われていた。


「こ、ここが…、精霊窟…」


 精霊窟は天然洞窟でなければ、人口洞窟でもない。

 ノワール達が立っている場所やその先に続く道は、岩等を加工して造られたような道が続いている。そこは人口洞窟と何ら変わりはない。

 大きく違うのがその周囲の光景。洞窟と言えば、本来はボコボコの表面のトンネル、またはつららがあったりなどするが、精霊窟は大きく開けており、夕日のようなオレンジ色に雲のような白い物が高速で流れている。その隙間からは僅かに星らしき物も見える。

 そしてそれは左右や上だけでなく、下の方まで筒のようになっており、精霊窟の道はその空間の中に浮かぶようになっていた。

 まさに異世界と表現出来る程の光景なのだ。


「驚きましたか?」

「ええ。すごいですね…。まさに異世界と言ったところでしょうか」

「見た目的には外のような感じに見えますが、風で飛ばされたり下に落ちたりする事はありませんのでご安心ください。では、進みましょうか」


 オリジンは驚くノワールに声をかけ、精霊窟を歩き始めた。


 少し歩いた先で、ノワールと精霊達はそれなりに広く平らな場所に到着した。


「ここが本日泊まる場所となります。ノワールさん、少し休憩した後、あなたが戦闘を出来るように身体能力を強化させる力をお貸しします。その強化された状態になれていただく事が今日の予定です。試練開始は明日からとなります」

「分かりました。少し休ませていただきます」

「ほらベヒモス~。もっとサッサと動きなさい」

「予定より遅れてますよ。ほらしっかり」

「なんで俺がこんな目に…。おかしいだろ…」

「すぅ…、すぅ…」


 ノワールとオリジンが会話する近くでは、ベヒモスが何故かアグナとネロアに脅され急かされながらせっせと寝床用のテントを張っていた。

 ネロアの横ではシルフがネロアにもたれかかる状態で寝息を立てていた。







 しばしの休憩後、オリジンが広間の中心に魔法陣を形成。ノワールに試練で必要とする力を貸し与える儀式が行われた。


「すごい…。身体が軽い。普段より遥かに力が入る…」

「武器はこれを貸すわ。使い方はあなた次第。折れないように強化してあるから安心なさいな」


 身体強化を受けて力が入る状態に不思議がるノワールに、アグナが長剣を貸し与えた。

 この長剣は形は普通の剣と同じ。しかし刀身が通常の剣二本分という長い剣だ。


「わぁ、すごく長い剣…。でも思ってたより軽い」

「ノワールさん。的をご用意しましたので、好きなように好きなだけ鍛錬してくださいな」


 ノワールが剣を眺めているうちに、ネロアが鍛錬用の的を用意していた。だが…。


「うおい!ちょっと待て!あの的全部俺の木製人形コレクションじゃねえか!壊されてたまるか!」


 的として用意された物が自分の物だと気付き、慌てて撤去しようとするベヒモス。

 しかしそれをオリジンが制止した。


「ベヒモス。あなたのそのコレクションは皆卑猥な姿ばかりではありませんか。精霊窟に置いておくには相応しくありません。ここで処分します」

「いやそれは困るぜ、オリジン様!長年かけてようやく作れたコレクションなんだ!この通り!」

「では今までのあなたの失態を別の形で片付ける方法はありますか?」

「うぐっ!そ、それは~…」

「そんなに壊されるのが嫌なら、代わりにベヒモスが的になっても良いんですよ?」

「…え?」

「木に縛り付けて、ノワールに斬り刻まれるという感じで」

「ごめんなさい。勘弁してください」


 ベヒモスの反発は、オリジンの脅迫によって蓋をされた。ベヒモスはがっくり肩を落とし、広間の隅で落ち込んでいる。

 ノワールはそんなやりとりをただ黙って見ていた。


(ベヒモス様ってやっぱ精霊っぽくない。ただのうるさいモグラよね…。にしてもどうしてベヒモス様だけいつも理不尽並の扱いを受けてるのかしら?

 …いけない。鍛錬に集中しなきゃね。私は自分の事を気にしないと)


 ベヒモスの扱いに疑問を持ったノワールだが、すぐに気持ちを切り替えて用意された的、ベヒモスのヘンタイ木造人形コレクションを相手に鍛錬を始めた。


 まずは素振りから始め、振り方を変え、移動しながらの攻撃、低姿勢からの攻撃、受け身直後からの反撃、防御。

 ノーバイン城で鍛錬し、アテーナやアルテミス、城の兵士達から教えてもらった事を思い出しながら、自身が思い付く限りの動きを徹底的に自己分析。時間をかけて鍛錬を重ねていった。


(まだまだ足りない。この程度アイラ様だったらきっと準備運動だ。もっと鍛えなきゃ。もっともっと速く!強く!)


 精霊達は鍛錬に励むノワールにあえて何も言わず、黙ったまま優しい眼差しで彼女を見ていた。ただしベヒモスを除いては。


「俺の…、コレクション…」


 ベヒモスは自分のコレクションがズタズタに斬り崩されていくのを、落ち込みながら眺めていた。

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