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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第六章 伝説との契約
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新たな神獣の誕生

 魔法陣を展開するスペースを作るため、神獣達は各々邪魔にならない場所へ動く。オリジン様はサポートのために私の後ろに着いた。

 開けた正面に私は魔法陣を展開する。オリジン様から展開の仕方は教わっていたので、簡単に魔法陣を形成する事が出来た。

 そして魔法陣の範囲を広げていく。


「もっと、もっと広げてください。………はい、このくらいで十分です」


 オリジン様の指示で魔法陣の拡大を止める。けっこう広範囲なんですけど…。


「では魔法陣の中に入って、感情を抱きながら魔力を解放してください」

「分かりました」


 私は魔法陣の中に入って集中する。感情を引き出すために今までの出来事を思い出す。

 思い出したのは、武術大会で爆弾を所持してたアホの事、学院祭の頃に乱闘騒ぎを起こした連中の事、ノワールやレイリー嬢を長年に渡って苦しめてきたヘルモルト伯爵、私を借金のカタ代わりにしたアストラント政府。


(て、あれ?これ全部良くない思い出じゃん。あ~、イライラしてきた。う~ん、でも思い返し直すのメンドイし、これでいっか)


 てなわけで私は負の感情を抱いた状態のまま魔法陣に魔力を送った。

 なんとなく、自分の中からエネルギーの一部が抜けていくような感覚があった。おそらく無事に魔力が送られたんだろう。


「もう良いですよ。これで魔力量の問題は解決です」

「あ、もう出て良いんですね?分かりました」


 私が魔法陣から抜けてオリジン様の前に着いた時、突然魔法陣がグルグルと高速で回転し始めた。


「アイラさん、少し距離をとりましょう。今この魔法陣の中で新たな神獣が形成されています。アイラさんの魔力と感情から生まれてきますよ」


 何故かオリジン様は『魔力と感情』を強調してくる。それだけ重要ってこと?やっぱり負の感情を入れたのはマズかったかな?

 なんて考えていたら、魔法陣が赤色に光り出した。

 その光はかなり強く、私は目を伏せる。

 しばらくしてゆっくり目を開けると、魔法陣は消えていた。そしてとんでもない姿の生物が、そこにはいた。


「な、な、な、何コレェェェェ!!」

「正真正銘、あなたが生み出した神獣ですよ。ご誕生おめでとうございます、とでも言っておきましょうか」


 私の驚きの反応に、オリジン様が冷静半分呆れ半分みたいな対応をしてくる。

 場所を移して控えていた護衛二人と他の神獣達は、みんなポカーンとしたまま動かない。


 私が生み出した新たな神獣。

 全長は建物で言えば10階建てのビルくらいはあるだろう。縦にも横にもデカい。

 容姿は全体的に黒色。顔も黒く、お面のような感じに見える。

 身体の上半身は人間に近い構造のようだ。腕には黒い大蛇が纏わり付いている。

 腰からは大量の黒い大蛇が出ていて、常に浮遊している点から下半身は無いようだ。

 とにかく雰囲気がハンパない。威圧、恐怖、圧迫、絶望、失望、憎しみ、殺意。そういったものがどんどん伝わってくる。

 これと遭遇すれば誰でも死を覚悟するだろう。そのくらいの重い雰囲気だ。


「アイラさん。あなた一体、どんな感情を入れたのですか?」

「えっと…、過去のイライラした事とか不満等を…」

「負の感情…、怒と哀のみ入れたのですね。そりゃこんな生物が出来るわけです」

「えっと、マズかったですか?」

「いいえ。ただ、ここまで邪悪な神獣を見るとは思わず…」


 オリジン様はやっぱり呆れてる。完全予想外の神獣生み出しちゃったんだ。私。


「とにかく新たな神獣に声をかけてあげてください。まだ何も分からない状態のはずです。ほら、探していますよ」


 オリジン様の言う通り、神獣はキョロキョロと周囲を見渡している。

 私は浮遊魔法を使って新たな神獣の顔の前に移動する。私に気付いた神獣は、じっと私を見つめている。


「私が分かる?」

「コオオォォォォ……」


 私が手を伸ばして撫でてあげると、私が主である事が理解出来たようだ。私に甘えるような動きを見せた。

 こうして撫でてあげて、私が生み出したんだと思うと、ちょっと可愛く思えてきた。


「アイラさん、名前はどうしますか?」

「名前…、ですか…」


 地上に降りた私は、オリジン様と名前を話し合う。

 私は閃いた名前があった。


「ザッハークはどうでしょう?」

「ザッハークですか。確かにこの神獣にはピッタリの名でしょう」

「じゃあザッハークに決定!よろしくね、ザッハーク!」

「コオオォォォォ…」


 ザッハークとは、この世界に語り継がれるお話の中で登場する終末の怪物である。

 この世界が終わりを迎える時、どこからか現れて生物を滅亡させると言われている怪物。それがザッハークだ。

 もちろんこれは空想上のお話。でも私が生み出した神獣は雰囲気からして滅びの怪物という言葉がピッタリなのだ。

 ザッハークも名前を気に入ってくれたようだ。表情や表現が豊かなわけでもないのに、何故かザッハークの気持ちや伝えんとしてる事がなんとなく私には分かる。なんか不思議。


 えっと、とにかくこれでやる事は終わったかな?

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