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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第六章 伝説との契約
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アイラ就寝後

 視点がアイラから外れます。

 アイラが寝室へ入った後、リビングに残った者達は精霊達と向かい合っていた。


「それで?精霊がわざわざ私にご挨拶?」

「はい。あなたもアイラさんと同様、ハルクの眷属なわけですから。精霊一同ご挨拶をと思いまして」

「それは気遣いどうも。グリセリア・グレイシアだ。この国の女王をやってる。よろしく」

「なんだよ、アイラと違って態度デカいな~。コイツゴフっ!グェクッ!」

「私の部下が大変失礼を致しました。申し訳ございません」

「はいよ。今のやりとりが面白かったから許すよ」


 オリジンが話の進行をし、グリセリアが自己紹介したところで、ベヒモスがグリセリアの態度に文句を付けた。

 その直後オリジンが猛烈な速さでベヒモスを殴り飛ばし、殴り飛ばされたベヒモスは部屋の壁に激突。そのまま床へずり落ちた。

 オリジンはすぐにグリセリアへ謝罪。やりとりが面白かったグリセリアはすぐに許した。


「ところで私以外に複数人いるけど、現れちゃって良かったの?」

「構いません。契約者のお知り合いならば問題ありませんので」


 リビングにはグリセリア以外に、シャロル、ノワール、アテーナ、アルテミスがいる。さらに範囲を大きくすると、別館入口にエウリアとメリッサもいる。

 天神界メンバーである四人は問題ないにせよ、シャロルとノワールは内情を知っているとはいえ一般人。グリセリアはその点も考えてオリジンに確認をとった。

 しかしその心配は無用とオリジンは返答した。


「問題無いなら良いんだけどさ。でもって二人はいつまで固まってんの?」

「…はっ!も、申し訳ございません…!つい…」

「威光が凄すぎて…」


 精霊達の雰囲気にやられて固まっていたシャロルとノワールは、グリセリアの呼びかけでようやく復活した。


「ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。アイラお嬢様の専属使用人を務めております。シャロル・バレスタインと申します。オリジン様におかれましては、お会いするのが二度目となりますが」

「アイラ様の友人で現在は立場上、部下となっています。ノワール・サンドロットです」


 シャロルはオリジンとの対面が二度目となる。しかしそれでもオリジンが放つ威光のある雰囲気は、シャロルを硬直させていた。

 初対面のノワールも同じく緊張状態になっており、二人揃ってぎこちない動きで精霊達に挨拶をする。


「ご丁寧に。シャロルさんとは昨夜にお会いしましたが改めて。精霊の女王、オリジン・ユグドラシルと申します。どうぞよろしくお願い致します」


 オリジンの挨拶にシャロルとノワールは深々と頭を下げる。


「だいぶ緊張してるみたいだけど、グリセリアは平気なのね。火の精霊アグナ・エリートよ」

「水の精霊ネロア・ウンディーネと申します」

「風の精霊の、シルフ・ウェントゥです…」

「つ、土の精霊の…、ベヒモス・ノームだぜ…。いてて…」

「後は光の精霊ルーチェ・アスカ。闇の精霊パリカー・シャドウ。空間の精霊マーナ・クロノス。今ここにいる我々精霊は今後アイラさんおよびアイラさんが認可した者のみに力をお貸しすると宣言しましょう」


 精霊達の挨拶が終わったところで、オリジンがアイラとその周囲の者に協力する事を宣言した。


「あと、終焉の精霊スルト・ハーデスという精霊もいまして、この精霊は実体がなくアイラさんの身体の中に宿っていますので」


 オリジンが付け加えたスルトの説明にシャロルとノワールが驚く。


「お嬢様のお身体の中に精霊様がいるのですか!?」

「終焉って…。一体どんな精霊様で…」

「はいはい、二人とも落ち着いて。興奮しすぎ」


 興奮しているシャロルとノワールをグリセリアは冷静に落ち着かせた。


「あんた落ち着いてるんだな。アイラとは仲良しなんだろ?色々心配にならないのかよ」

「心配だから焦ったって物事は前に進まないさ。それにアイラと一緒にハルク神様からある程度聞いてるしね。この先アイラがどうなっていくかはアイラ次第だし。私はアイラが傍にいてくれれば別に何も気にしないよ」


 ベヒモスはグリセリアがまるで他人事の態度である事に疑問を持った。

 しかしグリセリアにしてみれば、今後アイラがどう変わろうと自分の傍で一緒に過ごしてくれれば問題ないと考えていた。

 グリセリアがアイラの事で冷静にいられるのは、そういった考えがあってからこそなのである。


「私はそれよりモグラがサングラスっていうのがウケるんだけど。精霊っぽくないよね。お前」

「んなっ!馬鹿にするなよお前!しかも精霊に向かって『お前』ってなんだよ!生意気だなコイツブエェェ!」


 ベヒモスのモグラサングラススタイルにクスクス笑いをしたグリセリア。それに対しベヒモスは憤慨するが、そこに再びオリジンの高速パンチが飛んだ。


「ベヒモス。アイラさんと同じくグリセリアさんもハルクの眷属。場合によっては神に君臨する可能性のある立場なのです。あなたの方が下であるということを自覚しなさい」

「ふぇ、ふぇい…」


 オリジンはベヒモスに厳重注意。ベヒモスは怒りを治め反省した。


「あの、質問良いでしょうか?」

「はい。どうぞ」


 ここでシャロルが手を上げ、質問の許可を求めてきた。

 オリジンは笑顔で許可をする。


「今『神に君臨する可能性』とおっしゃいましたが、それはアイラお嬢様にもその可能性があるのですか?」


 シャロルはグリセリアが神として君臨する可能性があると聞いて、アイラにも可能性があるのではないかと考えていた。

 オリジンはすぐに返答した。


「おっしゃる通りアイラさんもハルクの眷属なので、その可能性はあります。ですが…。いや、これは止めておきましょう」

「「「…?」」」


 オリジンは返答と同時に何かを言いかけたが、すぐに言葉を伏せた。

 グリセリア、シャロル、ノワールの三人は首を傾げるが、他の精霊とアテーナとアルテミスはオリジンが何を言おうとしたか分かっている様子だった。


「ところでグリセリアさん。この辺で人が滅多に来なくて自然の多い場所はありますか?我々精霊が過ごせる場所にしたいのですが」

「それなら二か所かな。でも一か所は完全立ち入り禁止にしてるし、もう一か所後で案内するよ」

「一か所は立ち入り禁止…ですか?」

「うん。ちょっと開発してる物があってさ。あ、別に危ない物じゃないし、自然界に影響を与える物じゃないから安心して」

「は、はぁ、分かりました…」


 オリジンはグリセリアが隠している場所に疑問を抱いたが、グリセリアは危険な物ではないと口を伏せた。


「ところで私からもオリジン様に相談があるんだけど」

「はい、なんでしょう?」

「言うより見せた方が良いかな。ちょっと付いてきて。みんなと他の精霊さん方は適当にくつろいでて」


 グリセリアはオリジンを連れてリビングを出る。向かった先はグリセリアの自室。

 部屋に入ると、グリセリアは壁にかけられていたある服を指差した。


「あれなんだけどさ、魔力とか神力を通させて色々出来るようにしたいんだよね。全属性魔法無効化とかの戦闘面はもちろん、服の色変えたりとかさ」

「この服にですか。これは魔力を通せる素材のみで作られていますね?でしたら可能です。着た本人が一度服に魔力を通せば行使可能でしょう」


 この服はグリセリアが最もデザインから機能性までこだわったドレス。当然素材はレアな物ばかりであり、グリセリアの完全手作り。

 形まで仕上げたグリセリアだったが、魔力や神力を流して使えるかが疑問のまま進まず、完成に至らずにいた。

 当然自分用ではなく、アイラにプレゼントする物としてのドレスである。


「魔力を流せても神力を流せるか分かんなかったからさ。聞いて良かった」

「解決できたようでなによりですが、これはあなたが着る物ですか?」

「違うよ。アイラにあげる予定の物。アイラは露出の多い服が好きだから。アイラの外出用普段着として作ったんだ」

「そうですか。でしたら神力と魔力を通すのはアイラさんにやってもらいましょう。しかし、今は着させるべきではないと思います」

「なんで?」

「アイラさんはこれから神獣、神龍と契約します。そうすれば魔力、神力ともに大きく変わるでしょう。アイラさんがそれに対応し、安定し始めてから贈呈した方が確実に服に力を通せるでしょう」

「そっか。じゃあ、それまでは細かく改良してるよ。相談乗ってくれてありがと」

「どういたしまして。ではそろそろ過ごせる場所へのご案内をお願い出来ますか?」

「はいよ。一旦リビングに戻ろ」

「それと、しばらくしたら私だけ再びこちらにお邪魔します。私とハルクについてちょっとお話が。あと、シャロルさんとノワールさんの事でもお話があります」

「…?わかった。アイラに伝えとくよ」


 グリセリアは首を傾げる。

 シャロルとノワールは普通の人間である。知識や戦闘能力があっても人智を超えるような力はない。


(私に見えなくてオリジン様に見えてる何かがあるのか?それともそういった事以外の話か?見当が付かない。二人は普通の人間だぞ?)


 アイラがアストラントから連れてきた二人に、一体何があるというのか。グリセリアには全く見当が付かなかった。

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