〜第1話2部〜 新しいクラスとクラスメイト。そして-
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入学式が終わり、桜達1年3組男子17人女子19人合計36人は担任の先生を先頭にし、教室へと向かっている。
36人全員が教室に入り、それぞれの席へと着くと、担任の先生が教壇に立つ。
律子「これから1年3組の担任になります。櫛名律子と言います。よろしくお願い致します。」
茶髪でポニーテール、そして眼鏡をかけている。メガネ越しに見える彼女の茶色い瞳がとても輝かしい。服装も割と大胆で、先生側からしてみればかなり大胆な、胸元が空いた薄ピンクの服に黄色いカーディガン、そして純白の膝より少し上のスカートを着ている、この女性の名前は櫛名律子と言うらしい。
律子は、"ダンッ!"と教壇に両手をつき、みんなを見渡す。
律子「よし!じゃあ早速だけど1番右の子から自己紹介してもらおうかな!」
律子は一番左へと移動すると、それと同時に一番右、そして一番前の女の子が席を立ち、ゆっくりと教壇の前へと移動する。両手を教壇へと付き周りを見渡しにっこりと笑顔を見せる。その姿に男子生徒は釘付けなのは言うまでもない。周りはザワ付き、「スタイル良いなぁ・・・」「アレモデルさん!?」と、彼女の話をし始める。
律子「ハイハイ静かに!」
担任の先生である律子が手を叩き、その場を沈める。その隙を逃さず、今から自己紹介する彼女はゆっくりと口を開け、自己紹介を始める。
桜「私の名前は花咲桜!小・中学校までバスケをしていました!好きな食べ物はイチゴで、好きな動物は犬です!以上ですっ!」
元気良く、大きな声を出し自己紹介を終える。次の人、次の人と順番ずつに自己紹介を終え、40分経過し、時刻は10:30まで上った。残り20分余ったが、律子は時間を余らせることなく36人全員にプリントや教科書を配り始める。そして、配り終わると同時にチャイムが鳴り響くと、律子の「休憩!」の一言と同時に皆が席を立つ。桜は疲れたのか両手を前に出し、突っ伏しため息をつく。その途端、後ろからゆっくりとクラスメイトの1人が桜の所へと近づきたどり着いた瞬間、桜の脇をくすぐり始める。桜は「うぉっひゃああぁう!!」と変な声を上げ、“ビクゥ”と身体を揺らし、飛び跳ねてしまう。周りのクラスメイトは桜達を見ているが、すぐさま友達間での会話に移る。
桜は内心怒りながらもそのクラスメイトへと質問を投げた。
桜「貴方いきなり何?というか・・・どうしたの?」
柚「ごめんごめん!驚いた?私は椎名柚!・・・ってもう自己紹介したから分かるよね!貴方、桜ちゃんだよね?覚えてない?中学校の時地区大会決勝で戦った・・・」
桜「あ〜・・・あのセンターの・・・」
柚「そうそう!貴方ポイントガードの子でしょ?ひと目でわかったよ。強かったよね!」
柚は桜の前へと移動する。それと同時に桜も姿勢を直し柚の顔を見る。桜が中学時代、地区大会決勝で戦った相手が目の前にいるという不思議な気持ちに身を包まれていたが、柚との会話はそう悪くもなかった。
桜「そんな強くないよ・・・私、あの試合が初めてのポイントガードとして出たの。ぜんっぜん上手くいかなかった・・・」
柚「でも、私達のチームだって後1回ゴール決められてたら負けてたんだし、お互い様でしょ!」
桜「あはは・・・」
桜は改めて柚をマジマジと見る。バスケを出来るのかと思うほどに背が低く、160cmもない。髪の長さはセミロングほどで、瞳と同じピンク色である。桜は(私より小柄なのにバスケやるなんて・・・そのくらい好きなんだなぁ・・・)と思いつつ、柚に向けてこう言い放つ。
桜「今日の放課後、暇?暇なら、公園で私とバスケの勝負しない?」
柚「え!?まぁいいけど・・・どうして?」
桜「リベンジ、だよ」
桜はウインクをした。その途端にチャイムが鳴り、みんなが席に着く。
2限目は席替えらしい。律子が休み時間中に作ったクジの箱を持ち、一番左から周り、クジを引かせている。5分ほどで1周し、柚と桜は運良く隣同士になった。直人は真ん中の席になり、桜とは少し離れた。桜の席は一番左から2番目の列の一番後ろ、桜の右は柚、左には男子が座った。
春斗「よろしく!俺は今野春斗!君は・・・えぇ〜っと・・・」
桜「桜です。よろしくお願いします」
すかさず桜が自分の名前を春斗に伝えると春斗は軽く「あ〜OK!桜さんね?」と呑気に述べている。春斗の顔立ちは高校生の割には幼く、瞳の色はきらびやかな銀色である。髪の色は黒で、身長は割と大きい。175cmはありそうだ。
律子「そこ!静かに!」
素早く桜達の席を指を差して注意する。その後、生徒達に背中を向けると、何やら黒板に書き出している。
“日直 学級委員長 副委員長”
の文字が表れると、すかさず桜が手を挙げ、学級委員長に名乗りを上げた。既に何部に入るかも決まっており、バスケ部でポイントガードの練習にはいい機会と思ったのであろう。
日直は一番右と、その横の列の2人、次の日はその後ろの2人という順番で決まった。副委員長は春斗に決まった。2人は前に出ると顔を見合わせにこりと微笑み改めて自己紹介をした。
桜「学級委員長になりました!よろしくお願いします!」
春斗「同じく副委員長になりました。よろしくお願いします。」
2人が席に戻ると、律子が教壇の前に移動する。
律子「よし!次にやることは…掲示物貼りかな・・・これを廊下と教室に貼るからみんな手分けして!」
36人みんなが立ち上がり、それぞれが手分けして掲示物を貼る。
掲示物貼りで2限目が終わり、3・4限目は掃除である。教室、廊下、トイレ等、各掃除場所を掃除し終わり、お昼の時間になる。桜は昨晩自分で作り置きした弁当を開け、柚と他女の子2人と一緒に食べている。私の左に居る、メガネをかけ紫色の髪をした可愛らしい子は“成宮あかり”。その隣には黄色のショートヘアーの“紀伊南帆”が座っている。南帆が口を開け、なにか喋り始めようとしている。
あ-。
言い始めた時、南帆の隣に座っているあかりが口を開け、喋り始めた。
あかり「桜ってスタイルいいよね!やっぱ運動とかすれば違うのかなぁ・・・あ、桜って呼ばせてもらうよ!」
あかりは首をかしげながら桜を見て不思議そうに述べる。桜は箸を置き、一息ついてその問いに答える。
桜「いいいいいいやいやいやいや!!!ぜんっっっぜんスタイルなんか良くないよ!?・・・まぁ、多分食生活とかきちんとして、運動もすればスタイルは良くなると思うけど・・・」
桜はあかりの言葉に驚き、ブンブンと手を横に振り顔も思い切り横に振り全否定する。そして「うん!私もあかりって呼ばせてもらうね?」と付け足す。
桜の隣にいる柚が口を開く。
柚「それにしても休み時間40分しかないなんて短いよねぇ・・・」
南帆「あ、まぁ・・・仕方ないよね・・・そういう決まりだし・・・」
柚「も〜・・・真面目だなぁ南帆は・・・」
南帆と柚は掃除の時間に仲良くなったのか、楽しそうに話している。
あかり「あ、今日4人でカラオケ行かない
!?お昼で終わりだし!」
“パチンッ”と手を合わせ、3人の顔を見る。
桜「ごめんね・・・私今日の放課後柚とバスケするんだ・・・」
柚「明日ならどうかな?」
申し訳なさそうな顔をしてあかりの方を向く。あかりは悲しそうな顔一切せず、「わかった!明日の放課後ね?」と明るい声で返し再びご飯を食べ始める。
20分経ち昼休みも終わりHRが始まる。
律子「〜ということで、明日は1限目から授業だからな〜?忘れずに教科書を持ってくるように!HR終わり!」
クラス全員起立し、礼をしてドアを開け、みんなが去っていく。先生含め37人も居た教室が一気に誰もいなくなり、先生1人になる。
桜と柚は誰よりも早く昇降口にたどり着き、上履きを脱いで革靴を取り出し、履く。
桜「一旦着替えたら××公園に集合ね?」
柚「わかった!」
桜は集合場所だけ伝えると一目散に走り、自宅へ帰宅する。
桜「ただいま!・・・って言っても誰もいないけど・・・」
桜は制服を脱ぎ、ハンガーにかけてクローゼットにしまう。その後、動きやすいジャージに着替え、自分の部屋に置いてあるバスケットボールを持ち、自室を飛び出し玄関のドアを開け鍵を閉める。待ち合わせの公園へと辿り着くため走り出した。
公園へと辿り着くと、そこにはジャージを着た柚が立っている。
桜「柚、久々だね。こうして勝負するの」
柚「まぁ、地区大会以来だからね・・・」
桜「ルールは簡単。ゴールが決まったら勝ちで、ボールを取られたら交代!じゃんけんで先行後攻を決める!・・・これでいいわよね?」
柚「いいよ。じゃあ・・・」
桜・柚「「最初はグー!ジャンケン・・・!!」」
結果、桜がパーを出し柚がグーを出した。
柚「桜から先どうぞ?」
風が吹き、公園に生えている木の葉がひらりと2人の前に吹き落ちる。
刹那、桜が地面を蹴った-