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異世界漫遊するおっさん  作者: 田舎老人唯爺
第一章 聖シルバーナ皇国 王都ルパーナ編
5/23

おっさんは宿屋で出会う

H30.11.30 本文内容修正しました。


本話のタイトル変更しました。

 おっさんは衛兵詰所にいた。

 ギルドにやって来た3人の男は衛兵だった。

 ギルド受付で講習の日程を翌日の昼にお願いし、衛兵達に付いて来たのだった。

 おっさんは知らなかったのだが衛兵詰所の一つはギルドのすぐ近くに存在する。

 おっさんと冒険者のトラブルの際、密かに職員の一人が衛兵詰所へ報告に行っていたのだ。


 「ギルド職員から大まかな事は聞いたのだが、当事者から詳細な話を聞きたい。 相手方は既に拘束して事情聴取を行っている。」


 おっさんは主神殿のグラバスから一般常識を習った際に召喚された事は周知しても問題ないと教えられていたので、召喚者である事、神殿を出る際に装備一式等や金銭を貰った事、身分証明書代わりにギルド登録を行おうとして絡まれた事、鑑定と口調から装備を狙っていたと判断した事等を話した。


 「一応、お聞きした事情等から罰則等はありませんが以後の暴力沙汰はご遠慮ください」


 と詰所の責任者にお叱りを受けたおっさんなのである。

 ついでであるのでおっさんは近くの安くて良い宿を尋ねるのだった。


 詰所で教えられた宿は『ミニオーク亭』と言う名前だった。


 【ミニオークって何やろう? オーク言うたら楢の木の類やったはずから小型の楢の木やろかいな?】


 おっさんは名前から小型の楢の木かと思いながらも、しっかりした石造りの宿屋を見て首を傾げる。


 「いらっしゃいませ、お食事ですか?」


 衛兵詰所で聞いた宿に入ると小柄な少女がおっさんに声を掛ける。

 ござっぱりした食堂といった雰囲気で、奥に厨房らしき部屋へと続く入口とカウンターがありその横に上へと上がる階段があった。


 「此方で宿泊出来ると衛兵詰所で聞いて伺ったのですが?」

 「はい、お泊りですね。」


 少女は確認を取ると、奥の部屋に向かって声を掛ける。


 「お父さん、泊まりのお客さんよ。」

 「分かった、カウンターで記帳して貰いなさい。」

 「はーい。」


 少女に促されカウンターに向かう時に宿屋の説明を受ける。

 

 「見てわかると思うけど、ここが食堂ね。 朝食付の宿泊の場合ここで朝食を食べて貰ってるわ。 昼と、夜の食事も提供できるけど別料金になってるの。 1泊は朝食付で小銀貨4枚、朝食無しで小銀貨3枚と銅貨5枚、1週間の宿泊で若干の割引をさせて貰ってるわ。 何泊する?」

 「1週間の宿泊で朝食付だったら幾らになります。」

 「1週間で小銀貨22枚、4日分の朝食をサービスで引いた料金になってるの。」


 おっさんは暫く考えて1週間泊まる事とする。

 1週間の間に仕事でどれ位稼げるか見極める積りなのである。


 ちなみにこの世界は1日が24時間、6日で1週間、5週で1月となり、1年が12カ月となるのだか、新年の1週間だけ神々の日と呼ばれるどの月にも属さない日がある。 つまり1年は366日となる。


 おっさんが説明を聞いて記帳していると、奥の部屋から2メートル程のエプロンを付けた厳つい大男と1メートル程の直立してお玉を持った子豚が現れた。

 おっさんの目が確かなら、大男は普通の人間であるが、子豚は少し体型がおかしいがやはり子豚である。

 子豚は2等身近い身体に白いコック服を着用し、小さなコック帽をちょこんと頭に載せ、クリッとした可愛い眼でおっさんを見上げている。


 【この子豚はエース○ックのキャラクターのこぶたちゃんのリアルバージョンやないか〜。 可愛いの〜。】


 関西の有名な大企業のキャラクターに酷似しているその子豚は関西人には馴染みであり定番の「ワンタン麺」のパッケージに書かれた『こぶたちゃん』にしか見えない。


 しげしげと子豚を見ているおっさんは可愛いものが大好きなためか若干トリップしているようである。

 目を細めて子豚を見て、にまにましているおっさんに大男が声を掛ける。


 「お客さん、ウチの小仔豚鬼(ミニオーク)のプータに何か?」


 大男の声におっさんは正気に戻った。


 「いや、すいません。 不躾ではありましたが如何せん小仔豚鬼(ミニオーク)と言うものを見たのが初めてでして。 申し訳ありませんでした。」

 「初めてでは仕方ないですね。 小仔豚鬼(ミニオーク)自体が極めて生息数が少なく貴重な魔物ですから。 冒険者の方の様ですが、ウチのプータは魔物ではありますが狩らないようにお願いします。」

 「狩るなどとは、とんでもない。 乱暴を働く様な奴が居るなら私がそいつに地獄を見せますよ。」


 おっさんは心の底から思い、ニッコリと微笑む。

 大男は若干顔を引きつらせている。


 「私はここのオーナーのガイナスと申します。 こちらは娘のミリア、そして小仔豚鬼(ミニオーク)のプータです。」

 「わざわざのご紹介ありがとうございます。 私はユージと申します。 1週間程宿泊させて頂く予定ですのでよろしくお願いします。」

 「分かりました、ミリアお客さんを部屋に案内して。」

 「はーい。」


 ガイナスはミリアの背中を軽く叩いて誘導を促す。

 おっさんはミリアに付いて歩き出す。


 2階の角部屋に案内されたおっさんは荷物を置き、ベッドに腰掛けてこれからの事を考える。


 【取り敢えずは周囲を歩き回って道や店舗の確認やな。 明日の午前中に一度ギルドで依頼の確認、武器屋で刀か太刀が有るか、値段はなんぼか確認して、午後は近くで飯食うてから講習受けて出来るなら依頼をこなす。 こんな感じかな。】


 おっさんは立ち上がり周囲の確認と遅い昼飯を食べるため宿を出るのだった。

誤字脱字あればお知らせ下さい。

H30.11.30 本文内容修正しました。

宿泊5日を1週間に変更、関連部分を修正しました。

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