おっさん異世界に出現する
投稿3回目です。
主人公パラメータ変更しました。
H31.01.10 主人公パラメータ変更
低くうねる様な唱和の声が聖堂に満ちる。
六芒星の頂点に拳程の魔石が嵌り、魔石を繋ぐように綺麗に円が描かれている。
その円の外側の魔石の前に6人、その間の円に沿った外側にさらに6人が立ち聖句を呟く。
全員が白い神官服を着用し、短く髪を切り揃えている。
四方の壁及び天井には聖獣が描かれ、神聖さが醸し出されている。
聖廟、そう呼ばれるこの建物は聖シルバーナ皇国の主神殿の最奥に位置する。
魔法陣が明滅し、閃光が走る。
魔法陣の頂点に立つ一人の老人が叫ぶ。
「使徒よ来たれ。」
立ち昇る粒子が渦を成し、寄り集まって人型をなす。
そうして、おっさんは召喚された。
老人が、おっさんに話しかける。
「神の啓示により貴方を召喚させて頂きました。 使徒よ、よくぞ参られた。」
おっさんは急展開過ぎて現状把握が今ひとつではあったが、【どうやら神が言っていた様に召喚されたらしい】 となんとなく思った。
「呆けて居られるところを申し訳ないのですが、私はクラバル・ウェルシュと言いますが、御名をお聞かせ願いたい。」
クラバルはおっさんに急かす様に話しかけてきた。
「私は、海東祐治と言います。」
おっさんは答えるが何故だが標準語である。
本人的にはいつも通り『儂は、海東祐治云います。』と関西弁で答えたつもりなのだ。
「では祐治殿と呼ばせて頂きます。現状を把握しておいででしょうか?」
「神に召喚されると言うのは聞きましたが、それ以外は全く分かりません。」
「私共が大神カルブァナルより神託を受け、貴方様を召喚させて頂いたのは先程もお話しましたが、私共には特に用事は御座いません。 通常ですと召喚が行われるのは魔王出現などの特別な場合ですが、今回は何の兆候も無く何も御座いません。 また大神からも『異世界の神よりの依頼に付き我にも用は無い』と、ただ、この世界の常識を知らないであろうから教育と幾ばくかの生活の基盤となる物を与えよとお告げになられました。 まずは服装を改めるところからですかな。」
おっさんを上から下まで見てクラバルは告げる。
その言葉におっさんは、しげしげと自分の服装を見てみた。
涅色の小袖と袴にわらじ履き、大小の刀を指している。
頭に手をやると蓬髪の髷。
腰の刀が重いので本物かと思い抜いてみたが、竹光だった。
どうやら錘が仕込んであるようだ。
期待したおっさんは少しだけガックリとする。
【何や、ゲームのアバターの見た目部分だけみたいやな】
「私に付いて来て下さい、部屋に案内します。」
と、クラバルはおっさんを促すように話しかけ歩き出す。
おっさんが付いて行こうとした時には魔法陣を囲んでいた他の人は居らず、おっさんとクラバルだけだった。
暫く歩いて部屋に通されたおっさんは綿で出来た真新しいチュニックのような貫頭衣にズボンと太めの腰ベルト、革製のショートブーツを渡された。
「着替えられたら、お呼びください。」
クラバルはそう言うと部屋のドアを閉め出ていく。
白い壁に粗末なテーブルと椅子が有るだけの3帖程の狭い部屋だった。
おっさんは手早く着替えると小袖と袴を畳み、わらじの裏を合わせてテーブルに置き声を掛ける。
「着替えましたけど。」
「入ります。」
声を掛け、クラバルが部屋に入って来る。
「貴方にこの世界で生活する為に必要な一般常識等を指導して行きますが、まずは貴方の能力を拝見したいのでステータスを見せてください。」
「ステータスを拝見と仰いますが、どうしたら良いのか分からないのですが・・・」
「貴方の住まわれていた世界はステータス表示が無い世界でしたね。 すいません、失念していました。 『ステータスオープン』と唱えて頂きますと今の貴方のステータスの閲覧ができます。 この際他人にステータスを見せる意識を持って唱えると他人にも見せる事が可能となります。」
おっさんは半信半疑ながらも唱えてみる。
「ステータスオープン。」
半透明のウィンドウに文字の羅列が並ぶ。
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名前 海東祐治
称号 召喚者
職業 療術師 大賢者
年齢 42
レベル 1
HP 691/691 MP 1016/1016
筋力 166 敏捷 145 器用 177
知力 425 耐久 190 幸運 142
物攻 315 物防 354
魔攻 496 魔防 555
スキル
鑑定 言語変換 空間魔術1
剣術3 抜刀術3 槍術1 小剣術1 杖術1
格闘術3 体術1
土魔術10 水魔術10 火魔術10 風魔術10
光魔術10 闇魔術10 魔術の天賦10
毒魔術10 精霊魔術10 薬剤作成10
呪術の天賦10
回復魔術10 槌矛術10 慈愛の素養10
付与魔術10 防御魔術10
詠唱速度10 呪文効果10
加護
精霊の加護 神の息吹 異界神のお詫び
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おっさんの記憶にあるゲームのレベルとバラメータの数値、スキルにも違いがある。
またゲームでは存在しなかった[鑑定][言語変換][空間魔術]なるものが増えている。
【何か、ゲームの時よりスキルが増えとる。 戦闘系の剣術やらのスキルは持っとうへんかったし、[異界神のお詫び]って何や?】
訝しむおっさんであった。
「ふーむ、療術師で大賢者ですか。 過去大賢者は一人しか出現していませんから、かなり珍しい職業ですね。 またレベル1にしては、かなり高パラメータな上流石に大賢者だけあり、各種魔術スキルも最高レベルですし、あれば便利な[鑑定]や[言語変換][空間魔術]もありますので、一般常識をお教えするのが楽そうでありますな。 基本的には2、3日勉強して頂いて最低限の装備と金品をお渡しすれば生活は成り立ちそうですね。」
主人公の設定やパラメータは、結構考えたのですが、難しいですね。