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召喚?されるおっさん

2話目となります。

誤字脱字、推敲不足ありますがご容赦下さい。

 『申し訳ないのですが、生き返らせる事は管理上不可能です。ただ、バグによって本来死ぬべきではない貴方が亡くなられましたので、補償を行おうとは思います。』

 

 神と名乗った存在は続ける。


 『生物は輪廻転生を繰り返します。 仏教の普遍的な考え方でありますが此れは事実です。 但し、所謂六道とは異なり異世界へと転生するものなのです。 亡くなられた貴方には当然ながら異世界へ転生して頂くのですが、此処で問題が発生致します。 貴方がこの世界で得る事が出来たはずの魂の徳目が履修されないという事です。』


 「話の途中で悪いんやけど、異世界転生って小説やあるまいしとは思うんやけど、まあそれはええわ。 儂はおかんを養っとるからそこが困るし、魂の徳目やら言うんも履修ができんのが問題なんやったら普通に生き返らせてくれたらええんちゃうん?」


 『其処が問題でして。 貴方が亡くなられてから既に4日程経ち葬儀が行われ荼毘に附されたため貴方の身体は存在しません。 何せバグが原因ですので貴方が亡くなられた事を突き止めるのに其れだけの時間が掛かってしまいまして・・・。身体が御座いませんので蘇生は不可能なのです。』


 「・・・」


 『貴方が気にされておられる事ですが、まずは貴方のお母様の件です。 貴方が生前購入されておられた緑ジャンボ宝くじの1等が前後賞合わせて8億円が当選していますので、そちらで生活は安泰だと思われます。 また弟様のご家族と同居される事も決定されたようですので、そちらの面でも安心なのではないでしょうか?』


 女神(さっきまで中年親父だった)は頭を横に傾けにっこりと微笑みながら問う。


 『次に貴方の魂の徳目の件ですが、こちらは貴方の転生に関して問題が生じます。 本来は次に転生される異世界では赤子から始まる筈なのです。 が、残りの人生で貴方が取得予定であった徳目が取得されていないため転生が働かない状態になっています。』


 困った風に顔をしかめ腕を組む。


 『貴方には2つの選択があります。 1つは魂が滅びる事。 此れはお勧めしません。 管理者としては選択して欲しくはありません。 もう1つが、貴方が死ぬ前にしていたゲームのアバターを肉体として実体化させ異世界側から召喚させる方法です。 此方がお勧めの方法になります。』


 「選択が2つしか無いっちゅうんが気に食わんし、聞きたいねんけど、アバターで肉体を作れるんなら何でこっちで転生させへんねん? 神を名乗るならそれ位は出来るんちゃうん?」


 『説明がややこしくなりますが宜しいですか?』


 「納得もしてへんのに、選択は出来んわ。」


 『あまり話す内容ではないのですが・・・。』


 悩む素振りだったが、暫くして決意したように。


 『生物は3つの体を持ちます。 霊体、幽体、肉体です。 霊体は魂とも呼ばれます。 魂は生物の根源、幽体は精神、肉体は生物としての活動の中枢です。 但し、多くの能力は幽体が持っています。 肉体を練磨すると、肉体的な運動能力の向上が得られますが、技能は幽体が支配します。 生物は死ぬと肉体が滅び、魂と幽体だけになります。 幽霊はこの状態です。 此処で魂の徳目が予定通り取得出来ていれば、転生に向け古い幽体と新たな幽体を交換します。 転生先に合わせる目的と新たな徳目の取得の為です。 仮にその生で徳目が取得出来なかった場合、原因を特定し必要な幽体の一部を残し、別の特性を含む幽体を添付して混合し似た別の幽体を作って受肉させます。 似た幽体の理由は徳目の取得できる可能性を上げるためです。 性格も似ているが全くの別人になります。 現在この世界ではVRが導入されている為、次回転生先の異世界を先行体験出来る状態になりました。 世に氾濫する数多のVRゲームの大半が私達管理者が企業の担当者に企画段階から干渉して作らせた物となります。 妙にハマるゲームと言うのは次回転生が予定されている異世界の可能性が高いのです。 幽体は変わりますが、魂が全く異なる環境の異世界に戸惑わない為の措置です。 貴方が行っていたゲームもそのひとつです。 その中で貴方の場合バグにより亡くなられる際に幽体に元々の能力とゲームの能力が上書きされてしまいました。 上書きされた領域が入り組み過ぎて、幽体の一部を残す事が難しい状態なのです。 ですので貴方には異世界で取得すべき別の徳目を一つだけ今の幽体に書き込みますので異世界に行き、その魂の徳目を取得して再度この世界に転生して徳目の取得を行って貰いたいと思っています。』


 「聞くけど、何でその魂の徳目を取得せなあかんの?」


 『高次に至る為、つまり進歩して頂き神になる為だと思って下さい。 万物は進歩する様に造られています。 進歩の為の足踏みは許されますが、退化は許されていません。 此れは創造主より摂理として確立されています。』


 「ふーん、まあええわ。 つまり、儂はバグで死ぬ時に幽体部分に不具合が生じてこの世界で再度転生出来ん状態や、と。 でも若干の書き込みは出来るから書き込む。それで、異世界に行って徳目を取得したら正常に転生が働くからそうして欲しいって事でええんかな?」


 『ご理解頂けたようで。 では、異世界に行って頂けると考えて宜しいでしょうか?』


 「しゃあないんちゃうかな。 儂もまだ死にた無いし、懸念やったおかんの事も大丈夫そうやし。 そういえば、8億円は補償として当ててくれたん?」


 『違いますよ、貴方が亡くなられて無くても当たっておられたのですよ。 補償と言ったのは貴方との話の中で考えて行く予定でしたので、今現在は何の補償もしていません。 折角異世界に行って頂ける様ですので、異世界で苦労し難い様な技能や、次回転生の際に必ずこの世界に転生出来るようにしておきます。』


 会話の終わりがけ頃から違和感が生じる。


 『召喚が始まった様ですね。』


 女神の言葉を聞いているうちに儂は光の粒子に包まれていく。

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