おっさんはおぜぜ稼ぎを画策する
今回はおっさんの感想が多めです。
タイトルに「おぜぜ」なる言葉が有りますが後書きに意味を記載しています。
おっさんの朝は早い。
元々おっさんは早起きである。 整骨院勤務で人様に施術を行う以上、明瞭的確に判断を行い施術出来無ければと考え、身体と頭がはっきりする様に施術開始の3時間前に起きるようにしていた。 故に最低でも6時前には起床していた為異世界に来てからも早起きが癖になっているのである。 因みに異世界でのおっさんの睡眠時間は5時間程であったが、今はしっかりと8時間以上の睡眠になっている。
【あー、よう寝たわ。 テレビもネットも無いしゲームもあらへん、普段やったら何かゲームしてから寝てたから夜中にする事があらへんから寝るだけや。 本でもあったら読むんやけどそれすらもあらへんし・・・。】
起きて顔を洗い身繕いをし刀を腰に指すと、階下の食堂へと降りた。
この時間の食堂はいつも通り人が少ない。
おっさんは朝の剣術練習を行うため中庭に向かった。
小一時間程刀を振って手に入れた刀に一刻でも早く慣れるつもりなのである。
おっさんは部屋に戻って濡れタオルで練習の汗を拭い、再び食堂に降りて朝食を食べながらミニオークのプータを愛でてニヤついていた。
おっさんは今朝はギルドに行き某かの依頼を受けるつもりなのであった。
【ギルド行く前に、刀用の剣帯を買わなあかんな。 ベルトに刀差しとるからズボンがずれるよる。 小手や腰当て、脚絆も買わな防御出来るんが胴体だけやから危ないがな。】
おっさんは武器屋で剣帯だけを購入した。
剣帯が大銀貨5枚もするので、今後を考えお金を残すため他の購入予定の品は諦めたのだった。
若干遅めにギルドに到着したおっさんは依頼を見てみる。
【儂のランクやったら碌な仕事があらへんな。 また小鬼でも探して狩るか。】
おっさんは前回と同じ様に南門へ向かい、途中露店で昼食用にサンドイッチの包みを買った。
南門を出ると、作業着らしき服装の男達が城壁の補修を行っており、堀では水を土壁で堰き止めその中の水を魔術師らしきローブ姿の人達が魔術で空に浮かしていた。
【堀の清掃と城壁の補修みたいやな。 仕事内容が判ると受けるリスクが減るから有り難い。 また帰りにでもしっかり見とこ。】
おっさんは前回同様に街道を外れ30分歩いて森の見える野原に到着した。
前回は魔術の練習をして暫くして小鬼が襲って来た。
ファイアボールの音で小鬼が誘導された可能性を考え、ファイアボールを放って見る事にする。
頭の中の呪文リストから〈ファイアボール〉を選択し発動する。
自分に被害が及ばない辺りを選んで着弾させクレーターが形成されたのを見て、暫く様子をみる。
暫く待っていると小鬼が出て来、前回と似たような数が槍を構えて一列で走ってやって来る。
【ゲーム上では〈エアカッター〉は薄っすらと白い色付きで横に広がって放れた。 前回放った際は無色で横長やったんやけど縦長にはならんのかいな?】
おっさんは縦長の真空波を意識し〈エアカッター〉の呪文を発動させる。
おっさんの思惑通り縦長の真空波が放たれたようで、小鬼は左右に両断されていく。
【綺麗に真っ二つになりよったな・・・。 よー小説なんかである様にイメージで魔術は変更出来るみたいやな。 後で色々実験せなな。 面倒やけどこれもおぜぜの為や、取り敢えずは討伐部位取って魔石も取らんならんな。】
おっさんは黙々と討伐部位の右耳を削ぎ、魔石を小鬼から取りだし、持っていた槍を〈収蔵庫〉へ仕舞っていく。
〈ウォーターボール〉で水を出し手を洗って、ふと思う。
【しかし、また20匹かいな。今度は槍持ちやったけど。 行動は全く一緒やったな。 けど、もう一回はいくら何でも無いわな?】
時間を置くため昼食用に買ったサンドイッチを食べてから、おっさんは再び〈ファイアボール〉を発動して待機する。
すると、三度森から一列になった小鬼が走っておっさんの方に向かって来る。
【ほんまに出て来たで。 今度はエアカッターが小さく出来るか試してみるか。】
おっさんは【弾丸位に小さなれ。】と念じながら心臓を狙って〈エアカッター〉を発動してみた。
先頭の小鬼の心臓辺りに穴が開く。
そのまま貫通したようで後ろから付いて来ていた小鬼全てが倒れていた。
【成功したで・・・。 また手が汚れるがな。 しかし小鬼はこんなにおるもんなんか? あとファイアボールの音で驚いて出てくるんか? 一遍ギルドで聞いてみんとあかんな。】
またもや20匹の小鬼だったのだが今度は小剣持ちが5匹、槍持ちが5匹、粗末な棍棒持ちが10匹だった。
おっさんは再度、討伐部位と魔石を取り出し手を洗い〈収蔵庫〉に小剣と槍を入れ小鬼を焼却し街へと帰宅する。
作中に「おぜぜ」なる言葉が出てきますが、関西の方言で「お金」を意味します。
そのまま「おぜぜ」と読む場合と「おじぇじぇ」と読む場合があります。
お好きにお読み下さい。
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