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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~起~
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『黒亀』事件~前編~ 青鳥side


とある情報から、一気に忙しくなった。

──『赤蛇』が『黒亀くろがめ』を叩く

そんな情報だ。

『黒亀』というのは名無島の運送業者だ。

少し、暗い方の噂が聞こえてくる面もあるが、一般的には良心的な業者だ。

だがしかし、『赤蛇』が動くならば僕らも動かねばならない。

………………もとより『赤蛇』と『青鳥』の仲は全く良くない。

『赤蛇』は普通に人を殺める。公共物を爆破するなどなど………

『青鳥』は民間人の意見に沿って行動する。全くの真逆だ……と、聞いた。

僕は実際に『赤蛇』とぶつかった事はないが、先輩はそういう。

──話なんてまともに通じないから戦った方が早い。

とかまで言っている。

何があったんだろうか………

…そういえば…話では、『赤蛇』は政府がどうのこうの、と言っているらしい

みんなは馬鹿馬鹿しい、と言っているが……僕は妙に引っ掛かる。


作戦会議にて………………

「愁ちゃん、何時なノ?」

「…明日の二十二時頃だそうだ。その辺りに『黒亀』のアジトの近くに行く必要がある」

「『黒亀』とは連絡ついたのー?」

「あぁ。此方が行く、といったらすごい安心していた」

「ふふーん。流石は『青鳥』だね!……ま、心配なのは『赤蛇』の戦力量だけどさー」

「そうそう、未鶴に今調べてもらってるけど、全く出てこないって嘆いてたよ」

「…私、手伝ってくるヨ」

「頼む。こちらの戦略はどうする?彩雅?」

「……………最初は、サクと伊織先輩、黄金に固めてもらおうか」


…ちなみにサクは夏野目桜之、伊織さんは若葉わかば 伊織いおりさん、黄金は結崎ゆいさき 黄金こがね。『青鳥』の真っ正面からの戦闘はあまり向かないメンバーだ。

そのメンバーなら、初盤は足止めをするつもりらしい。


僕は中盤。

奏理、歩歌、越川えつがわ かける澤田さわだ 利音りおんさんの四人と共に退路を封じる。

戦闘はまあまあ得意なメンバーだから、大丈夫だろう。


で、終盤。

主力のご登場で、成宮の長男の彩雅、次男の愁、そして長女の雷羅が出てくる。

そこで叩くそうだ。完膚なきまでに。


今回は待機組で未鶴、実さん、四ノしのはら 京子きょうこさん、天童てんどう 砂夜さよちゃん、梅花うめばな あきらちゃん、満辺みつべ 侑奈ゆうなちゃん、かが りのさんの七人がここに残ることになった。

本人たちは文句ばかりだったが、戦闘が得意ではないメンバーが多いなら、仕方ないだろう。


ちなみにいづさんは隠れてて、傷ついた人がいたらその場で手当てする、という手はずだ。



「さて、異論のあるやつはいるかな?」

「いねぇだろ。割と完璧だからな」

「……よし、ならもう帰っていいよー」

「「「「……!?」」」」

「……サイガが……?!」

「…サク、ほっぺたつねってあげようか?」


いづさんがほっぺたをつねった。


「いだだだだだ!いづ!答える前につねるのはやめてくれんか!?」

「失礼だなー、サク。俺だって人間だよ?大仕事が控えてるんだから、休んでもらわないと困るよー?」

「……じゃ、私は帰って実験するワ。邪魔しないでネ?」

「んー、俺らも帰って楽器の調整しよっか、歩ちゃん?」

「んー、そだね、奏くん?」


一気に人が帰っていった。

残ったのは僅か数人だった。

僕もその中に含まれる。


「……未鶴ー」

「何、凜?」

「あのさ、『赤蛇』のデータベース、ジャックできる?」

「無理無理。あそこ、ハッキングした瞬間に逆探知くるもん。やる気失せるから無理、やだ」

「そっかー………じゃ、帰ろっか」

「凜の部屋でゲームしようよ」

「電子系はいやだ、アナログがいい。トランプとか、すごろくとか」

「それでいいや」


………………僕は、知らなかった。

『赤蛇』が戦力で負け無しだなんて。

だって、戦ったことないもの。

なんて言い訳は通用しないぐらいに。

誰も傷つかなければいいかな、なんて簡単な思いでいた。

………明日まで後────

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