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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~日常~
8/56

『赤蛇』隠密部隊エースの悩み



……『赤蛇』の隠密部隊。

それの仕事は…非常に簡潔に言い表すことが可能なものばかり。

・諜報

・潜入

・暗殺

・処罰

そして、一番分かりやすく、めんどくさいもの。それは………

「ずばり、書類仕事~。はい、紫由、よろしくね」

「あ?自分でやりやがれですよ、兄さん」


今はそのもっとも面倒な仕事をやっている最中だ。今の会話は似ていない兄弟、草壁くさかべ 威和いお草壁くさかべ 紫由しゆうの二人の会話だ。めんどくさい。

「え、兄さんの仕事をやってくれないのー?」

「アンタよりも、僕の仕事量の方が多いんだから、諦めろ」

「えー、じゃ、黒祈でいいや。黒─」

「断る。嫌だ。めんどくさい。俺の方が仕事多い。」

「おおう、言い切る前に言ったね」

………ったりまえだ。めんどくせぇ。

……あぁ、今回の語り手は俺がするらしい。

俺は、成宮黒祈なるみや くろき

今回はめんどくさい、という文字をたくさん見ることを覚悟してくれ。


「えー、最年長の言うことを」

「じゃ、最年長の奴。一番働いてねぇんだから仕事しろ。後、『赤蛇』では俺の方が先輩だ」

「うぐっ!正論は刺さるねぇ?」

どうせ看破できるくせに。やらねぇんだからムカつくんだよ、めんどくせぇ。

「つか、綾凪さんと美琴さん、一樹さんは?」

「美琴様と綾凪様は時雨んとこだよ、報告にね」

「一樹さんは外の仕事です。」

「紫由は仕事のために残ったのか」

「その通りです、黒祈。綾凪様はこの兄のせいでまともに仕事をできていませんから、僕が少しでも終わらせようかと」

「え、それ、綾凪様の書類なの?じゃ、俺がやろうか?」

「最初からそう言いやがってくださいよ!!」


しばらくして、扉が開いた。

「ただいま。」

「〇ね、くそ兄貴!!」

「いっだぁ!!」

「………………」

うわぁ…帰ってきた瞬間にこの…草壁兄弟(弟による)殴りを見ちまったとか…空日……矢上やがみ 空日うつひ

……………どんまい。

「………………」

「……お、おかえり。空日」

「…ただいま。」

スルーした……流石、THEほとんど無関心な奴……

「仕事終わりだよな?」

「うん。」

…こいつの仕事というのは、『赤蛇』では裏切り者の拷問、処罰のことをいう。隠密部隊は主に処罰をやらされる。拷問は基本、情報部隊の仕事だ。

「……で、兄さん。頼みますよ?」

「弟が酷いー。空日ちゃん、助けてー」

「?自業自得ですよね?」

まぁ、見ての通り。天然がいると隠密部隊って?とか疑いたくなる。

てか、実際に俺が疑ってる。

「……めんどくせぇ。配置替え願おうかな」

「やめてください。貴方はここに大切な人ですから」

「いや、人じゃねぇし」

「…他に仕事ある?」

「もう終わったろ。美琴さん帰ってくるまで待機だな、こりゃ」

と、言ったら謀ったかのように……

「読んだかなー?」

「漢字違う」

「……よ、呼んだかなー?」

馬鹿かよ。

この二人は、孤詠こよみ 美琴みことさんと、孤詠こよみ 綾凪あやなさん。

女みたいな名前の兄弟だが、男だ。

隠密部隊では大切な人…だけど、ちょっと美琴さんは楽天家だ。

「呼んだけど、タイミング見計らってきたろ。馬鹿じゃねぇの?」

「手厳しいね、黒祈は」

「おかえりー、美琴様ー、綾凪様ー」

「おかえりなさいませ、美琴様、綾凪様。」

「ただいま、紫由」

「あれ、俺は?」

「誰だ貴様」

「ひどっ!?アンタの従者ですよ、威和ですってばー」

「嘘に決まってんだろ、馬鹿かよ」

「うっわ、美琴様、弟君が酷いんだけど」

「威和の対応も悪いだろ……綾、もうちょっと優し…」

そこで、綾凪さんの拳が美琴さんにとぶ。

………うるさいな。年上なのに年下みたい

「うるせぇ、黙れ。仕事しろ」

「いや、今してきたところだからね?!」

「だから、うるっせぇんだよ!!」

…もう嫌だ、めんどくせぇ。

俺は、そこで今日初めて立ち上がった。

しかも机を叩いて。

「…………仕事しろ、今すぐ首をかっ切るぞ?(ニッコリ)」

「「………………」」

「かっ切るぞ??」

「「ごめんなさい。」」

「「流石」」

「ねぇ、机凹んでる。」

………………もうこの職場嫌だ。

配置換え願おうかな。

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