『青鳥』 の美女ツートップ
春の日が暖かいある日のお話…
「サクのーんせーんぱーい!!…ごぶふぅっ!!」
朝から、綺麗な腹パンが決まった。いい加減学習しなよ…と、何度思ったことやら。
「妾はサクのんではないと、何度言えばわかるのじゃ!?いい加減にせんと、その手、へし折るぞ!?」
「ぎゃー!手をへし折られたら、俺の存在意義ほとんどないじゃん!?やめてー!!」
「……おや、今日はソウリ一人かぇ?」
「うんっ!歩ちゃんは、今日、風邪引いちゃったの…」
「通りで静かなわけか」
「え!?サクのん先輩酷くない!?俺と歩ちゃんは一心同体なのに!!」
「知らぬわ。五月蝿いものは五月蝿いのじゃよ、少しは静かに─────」
「………サク、めっ……!」
桜之さんの頭にいづさんの鉄拳が入る。
音が割と恐ろしい。
「いっだぁぁぁぁ!?い、いづ!!そなたのチョップは痛いのじゃよ!せめて一言言ってからにしてくれんか!?」
「…サクが悪いもん」
あーあ、いづさん、不貞腐れちゃった。これは、桜之さんが早く謝らないといけないやつだ。
うん、僕は知らないもんね
………三時間が経過した。
……あれ?もしかして、まだ喧嘩してるの?珍しいな………
聞いてみるかな。
「……ねぇ、いづさん?」
「…なぁに、凜?」
「まだ、喧嘩してるの?」
「喧嘩じゃないよ?意地の張り合い。いつもそうだからね?」
「そうなの?」
「昔からなのよ。…でも、今回はこっちから言わない」
「ふーん」
………………Prrrrrr!!
「はい、『青鳥』です。…あぁ、雷羅か?どうし─……は?マジか?」
「……どうしたの、愁兄?」
「………あぁ、わかった。今すぐ向かわせる。…いづさん」
「?…なぁに?」
「……サクさんが…」
「い、いづさん!!速す、ぎる…!」
「…ごめん、でも着いてきてね?」
「ちょ、加速、しな……いで!」
……雷姉からの電話。それは……
───桜之さんが怪我をした。しかもかなりの重症で出血多量。急いでいづさんをつれてきてほしい。
…いづさんは戦闘要員じゃない。回復要員だ。危険な目に遭ったらダメだから、僕がついていくことになった。
てか、本当にいづさんは戦闘要員じゃないの?体力ありすぎないかな!?
「………………サクっ!!」
「………おや、来んと思っとったんじゃが。来てくれたのか、いづ」
「!肩からバッサリ…」
「ライラに任せておったんじゃがのう…?後ろから奴さんがきよってな。妾は戦い専門じゃないからの。この有り様じゃ」
「……凜。雷羅の方にいってあげて?サクの口振りからして…まだ戦ってるだろうから」
「雷姉強いから大丈夫だと思うけど、了解!代理の言うことしっかり聞くよ!行ってきますー」
タタタタ………
……ごめん、嘘。彩兄の言うことは怖いから聞くけど、いづさんの言うことはなんにも言わずに受け入れるよ。優しい貴女だからね♪
……仲直り、早くしてね
「………麻酔、いる?」
「あぁ、頼むわい。妾、痛いのと寒いのは嫌いじゃ。いづのは、痛いからのう?」
「…うん。いくよ?…治療開始。」
…淡い光を帯びた線が、…糸が指からでる。それを怪我にかざす。すると、糸が体に入っていく。…だいぶ痛い。
けれど、麻酔を打ってくれるから、大丈夫。
いづさんだからかもしれないけど
「OK。治ったよ。動かしてみて」
「………問題ないな。流石、妾の幼馴染じゃ。」
「…ごめんね?サク。思いっきり殴っちゃった」
「構わんよ。妾も言い過ぎたことは自覚しておるから。帰ったらソウリに謝るから、顔をあげておくれ」
「…うん。ありがとう、サク」
「こちらこそ、毎度毎度怪我を治してくれる事に感謝しておるよ。さて、二人のところへ参るとしようかの?」
「もう、終わってるだろうけどね」
「じゃろうなぁ。まあ、良いじゃろ」
………この二人は生まれた頃からずぅっと一緒らしい。だからこそ、生まれる信頼なのだろう。いづさんは人を思いっきり叩こうとしないからね。
…僕と未鶴はそんなことないからなぁ、いいなぁ。すごい羨ましい。
でも…この二人だから、サクさんが我が儘お嬢様だから、いづさんが控えめなお姉さんだから、これは成り立つんだろうな~?
…いつまでも、仲の良いお二人でいてね。




