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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~日常~
5/56

僕と幼馴染の毎日




「……僕のいる意味とは?」


思わず発した言葉。それはこの光景を見てもらえたらすぐにわかるだろう。

……出掛けよう、と言ってきた幼馴染みが目の前のゲームセンターのゲーム大会で無双している。

…………………帰ってもいいかな?!



……時間は昨日まで遡る。

「待て!!」

「ひぃぃぃ!!!」

これは、僕が八百屋さんの夫婦から依頼で、盗みの常習犯を捕まえてくれ、と言われた。[能力]を使っても良し、と言われたのだが、相手はそれをわかっているのか、住宅街→ショッピングモール→貧民街の順で逃げている。

大人数がいるところで僕の[能力]は使用できない。だから単純な追いかけっことなっているわけだ。

「…っとに、逃げ足速い!!待て!」

「待つわけないだろうが!!!」

……と、その時。

泥棒の目の前に人が通りかかった。

「…ってぇな!!どこ見てんだよ!」

「ん?あぁ、すまない。怪我はないか?」

「………ちょっと、早くしてー!」

「っと、本当にすまない。では」

「…んだよ、アイツ」

「いやぁ、こっちとしては神かな?」

「!?う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

「あ、ちょっ?!暴れないでよ?!」

あっ、振り払われた!

「うわぁぁ!?また逃げんの!?」


その後、今日の泥棒さんの運は最悪みたいで、さっきもぶつかったのにまた、ぶつかった。

………けれど、これは災難でしかなかったみたいだ。

僕はこっそり物陰に隠れることにした。

「あ!?二度目かよ!!どこ見てんだ、てめぇ!!」

「……れの……………」

「あ??!」

「……………俺の……ゲーム機…」

「何言ってんだてめぇ!!」

「……最後の言葉は…それでいいのか……?」

「はぁ?どうい───」

刹那、泥棒の腹に押し付けられた黒い物体が、発光した。

………そして、泥棒がぶっ倒れた。

「……アレが四個目のゲーム機じゃ無かったらぶっ殺してたな…」


…アイツが持ち歩いてるのは超高電圧スタンガン。雷姉にはご飯でしかないが、僕らにとっては瀕死となる代物だ。

「…出てきなよ、凜」

「あらら、気付いてた?」

「すぐわかる。で?こいつ何なの?」

「盗みの常習犯。これから警察に突き出してくるよ。ありがと、未鶴」

「…ねぇ、俺に感謝してる?」

「…う、うん。してるっちゃ、してるよ?」

「……じゃあさぁ………?」



……で、話が冒頭(今日)に戻る

まあつまり、ゲーム機の買い直しと、ゲーム大会の参加に付き合わされた、ということである。

〔Winter!1P!!〕

もう今日だけで十回は聞いたであろうフレーズが聞こえてきた。

………あ、これで終わりみたいだ。こっちに未鶴がきた。

「おー、おかえり。終わったのー?」

「………………」

ガシッ!!

「は?え?ちょっ?!」

「黙ってついてこい。」

「み、未鶴くーん?引きこもり時代の唯我独尊がでてるよ?!おーい!」

「…何かな?凜?」

「…ナンデモナイッス」


連れてこられた先は、ゲームセンターの奥の方。なんか、クレーンゲームのぬいぐるみがたくさんあった。

可愛い。

「そう?じゃ、どれがいい?」

「え?口に出してた?」

「いや、だいたいわかる。幼馴染みなめんな」

「なめてないよ?その赤い目した黒い熊ちゃんがいい」

「他は?」

「え?…緑の目した黒い熊ちゃん」

「後ひとつ」

「………青い目した茶色の熊ちゃん。」

「ん、りょーかい」



「…天才なの?全部一発とか?」

「ゲームに関してはな」

「言い切りやがった………」

「…てかさぁ、熊ばっかだね?兎とかないわけ?」

「…家に兎はさ、あるじゃん。」

「………?あったっけ?」

「あるよ!?今は使われてない部屋に綺麗なベッドとか、タンスとか机がある部屋に!!」

「なんで、使われてない部屋がそんなに綺麗なんだよ」

「………………?なんでだろ」

「まぁ、いいや。帰ろうか?」

「あ、クレープ奢ってあげるよ」

「要らね。いつも栄養食品のやつにんなもん食わせないで。死ぬから」

「じゃ、僕と半分こね!」

「………え、マジで?」

「ちょっと待っててねー!」

たたたた……………

「……人の気持ち考えて、人の話を聞け!!」


……これが、僕と未鶴の関係。

馬鹿をやらかして、毎日を過ごす。

でも、昔はこの二人の隣で誰かがいた気がするのだけど………

僕は、何一つ、思い出せない。

だから、今が幸せだと考えて忘れるようにしている。

だって、幸せだもの。

うん、それならそれでいいじゃない。

───ウキウキで買っていったグレープが生クリームたっぷりで未鶴に怒鳴られるまで後二分。


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