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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~転から結へ~
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生き残るのは



書斎の前についた。しかし、目の前に黄金くんと翔くんがいた。目を見開いている二人だ。


水「姫のお知り合いですか?」

玲「うん、まあ。こんばんは」

黄「こんばんわー!」

翔「こ、こんばんは…………じゃない!!」

黄「挨拶されたら返すのが普通っスよ?」

翔「そうだけどそうじゃない……!」


相変わらずのようだった。ボケとツッコミ。わかりやすい。


玲「………なんか言われてる?」

翔「………………玲さんはお通ししろ、と」

玲「そう。なら、いい?」

黄「なんで玲さんはいいんスか?」


黄金くんが聞いてくる。無邪気ゆえだろう。翔くんは、バカ………、と言っていた。クスリと笑って答える。


玲「…………………生みの親に会ってくるだけだから、かな」


────────────────────────────

(白輝side)


白「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

シ「スリルだらけだねええええ!!!」

小「………逃げるな!」

「「ひたすら怖い!!!」」

シ「あああああ! 面倒臭い! 潰れろぉぉぉぉ!!!!」


シアン君が能力で、圧をかける。キレかけていたせいか、僕も重くなっている。


白「いだだだだだだだ!!! シアン君、痛い痛い!!!」

シ「うわああ! ごめんよぉぉぉぉ」

小「……邪魔、くさい。消えろ」

シ「!? ………………寒い、寒い寒い寒い!」

白「やっぱアンデットはむずかしいなぁぁぁぁ!?」

小「………元人間に対して酷くない?」


どうやら、怒ったらしく、冷気が増す。シアン君が能力を解いた。


シ「白輝くん………」

白「そうだね………」

「「……逃げるよねーーーー!!!!」」


僕らは隙をついて、再び全力疾走を開始した。


────────────────────────────

(水樹side)


水「えーと、こんばんは。お元気ですか」

翔「気持ち的にはすこぶる悪いですが、体は元気です」

黄「元気ッス!」


一応、元気だと素直に答えてくれる。姫の知り合いということはそんなんだろうとは思っていたけど、片方は頭抱えてる。


黄「えっと、お姉さんは『赤蛇』ッスよね」

翔「いや、玲さん連れてきた時点でそれしかないよね……」

水「そうですね。戦闘部隊の者です」

翔「しかも戦い専門って……………」

水「はい、戦いに特化してますよ」


あああ、と言いながら頭を抱えられる。戦いは苦手なんだろうか。それなら若干は申し訳ないかな、と思う。


水「えっと、とりあえず────」


戦いましょうか、と言おうとした時だった。


時「おーれーもー、まーぜーてー?」


とかいう、ふざけた声が聞こえてきたのは。


水「ふざけんなよ、兄さん」

時「え、酷い。お兄ちゃん至極真っ当だよ、言ってること。俺、そこ通りたいんだよ。ね?」

黄「増えたっスね」

翔「あああああ……………」

黄「しゃーないっスよ! 翔くん!」

翔「……………やるって返事した自分を呪いたい………」

時「後悔しても遅いでーす♡ 『赤蛇』のボスやってる、月村時雨だよー。よろしくね」

水「……………………『赤蛇』の月村水樹です。よろしく」


更に追い打ちをかけるように名乗ると、元気な方がわぁっ!! と言い、苦労してそうな方がフラついた。ああ、面白いな、この二人。


翔「………………黄金くん………」

黄「? 何っスか、翔くん?」

翔「君さ……自分の能力、覚えてるよね……?」

黄「当たり前ッスよ?!」


苦労してそうな方は大変な心配性らしい。まさか、能力を覚えているか、なんてのを聞くなんて。


翔「じゃあ言ってみなよ……」

黄「流石にそれは無いっスよ……『身体操作』ッス」

翔「………………………うん、大丈夫だね」

時「あ、もう大丈夫?」

水「兄さんは緊張感というものが……」


ため息が出るが、仕方ない。兄はこういう人だから。まあ、二人なら大丈夫だろう。

そう思って、カバンに入っていたペットボトルの水を飲んだ。


────────────────────────────

(天音side)


天「紅蓮、千桃!」

紅「あいよっ!」

千「当たれ!」


紅蓮と千桃が、矢を放つ。藍砥は、まだ万全とは言えない緋暮に寄り添っている。

私は正直に言うなら、何も出来ない。せいぜい相手の頭の中の行動パターンを読み取るくらいだけど、残念ながら、相手の行動が考えるよりも先に動いているらしく、追いつかない。


知「…………………相性、悪いんですよね。帝弥と俺に対して矢は。」

帝「さあさあ! 弓矢さん、どんどんいらっしゃーい!!」

紅「ああ、くそっ。面倒だね、引力って!!」

緋「…………重力遣いの奴だけでもやりづれぇってんだから、そりゃムズイだろ」

藍「……………………」


緋暮の言ったことに対して、藍砥が首を縦に振る。千桃が舌打ちしたのが見えた。私もしていたように感じる。それくらいに、攻撃が通らないのだから、舌打ちなんて可愛いもんだろう。



知「帝弥、頼んだ」

帝「了解です、兄上!!」

藍「……………は………つ…………………ど…ぉ」

帝「って、ぎゃあ!?」

緋「ナイス、藍砥!」


どう見ても攻撃しようと女の子が動き出したときだった。藍砥が、能力を使って、防御半球を作り出した。それも、相手の周りをぐるりと囲むように。


知「……………ああ、これ、注意能力にあったやつですね。発動者をどうにかしないといかなる方法でも破ることの出来ない防御璧………」

帝「ああ、あれですか! ………あれ? つまりそれ、中からは壊せないやつですか?」

知「そうなる」

天「藍砥、よくやったわ」

藍「…………………」


頭を撫でてやると、目を細めていた。紅蓮と千桃が、あいくんが喜んでる! と、嬉しそうにしていた。喋れないのは不便だな、と感じた。元々あまり喋る子でも無かったけど。


帝「あの、これ、私らはどうなるやつですかね、兄上?」

知「死ぬか逃げるか、捕虜となるかの三択だね」

帝「それ、給料貰えないやつですね!?」

知「いや、多分貰える。だから、このまま死ななければいいんだよ」

帝「いやぁ、でも兄上が壊せないならお手上げですよ!」

知「焦らず騒がず」

帝「はい!」


あの二人は何なのか。タイプが違いすぎる。(身長も違いすぎる)片方は人相見とれないし。

そうやって、脳内も容姿も観察していると、二人の顔がこちらを向いて、あ、と言うかのような顔をした。

見ているのは、私の背後だった。


紅「母さっ…………」

天「? 一体な……………」


なんなの、と言おうとした。しかし、その前に体に衝撃が来た。押された感覚だった。しかし、片手で押されたような弱々しい力だった。後ろを見ると、黒い何かが迫っているのと、茶の程よく長い髪が見えた。

………………私を押したのは、緋暮だった。


「「ひーくん!!!」」

緋「……………玲に謝っといてくれ。能力が解けちまう………ってな」

友「その勇気に、敬服しましょう。さようなら」


ゴキリ、と鈍い音がした。緋暮の首が、有り得ない方向に回っていた。三つ子の下二人が絶叫する。藍砥も、叫べるものなら叫びたいだろう。私とて、たくさんある言葉の一つも言葉が見つからないのだから。


友「…………………………状況が変わりましてね。うちからも死人が出たらしいのです。その場合、なりふり構うな、と言われているのですよ。『赤蛇』とて構わず行きますので」

藍「…………………」

千「ひーくん! ひーくん!!」

紅「嘘でしょ!? ねえ!!」

友「といっても、既に戦意喪失のようですが」

知「なるほど、つまり、後は俺らだけ、ということですか」

帝「まあ、今は攻撃されないし出来ないですけどね!!」

友「なら、術者を倒すまでです」


この言葉に、背筋が凍りつくような思いがする。術者、つまり、藍砥だ。


天「藍砥! 能力解いて、私らの周りにかけなさい!」

藍「……………………………ぁ……つ………………ど…ぉ…」

知「あ」

帝「あっ」

友「攻撃可能ですね。賢明な判断でしたよ。『赤蛇』さん」


笑いながら言われる。三つ子がキッと睨みつける。多分、私も睨みつけていただろう。三つ子が、緋暮に駆け寄る。声をかけれたのは二人だけだったが、藍砥も悲痛な顔をしていた。


知「さて、どちらが邪魔かと聞かれれば明らかに人数の多い方が邪魔なのですが」

帝「強い方が面倒ですよね!」

友「おや、私ですか。分かりました、お相手します。まあ、そこは通してもらいたいので当然なのですがね」


私たちを無視して、戦闘を再開する。しかし、こちらとしてはそっちの方が有難かった。緋暮を診ていれる。


千「母さん、ひーくんは!?」

天「……………………緋暮」

紅「……………もうだめ?」

藍「…………………………………………」

天「緋暮。朝が来たら父さんがいるわ。来るまで待ってなさい」

千「母さん………?」

天「父さんがいたら、私の愚痴でも延々と言ってなさい。私が行ったら殴ってあげるから。でも、三つ子の成長はきちんと伝えなさい」


そうやって、淡々と述べていく。千桃はぽかんとしていたが、藍砥は察したらしい。ポロポロと涙を流して俯いた。

しかし、意外なことも起きた。


緋「………………………………うん。じゃあ。おやすみなさい」

天「!!」

紅「ひーくん!」

緋「……………………………………」

藍「………………………」


緋暮は、少しだけ喋った。もしかしたら、幻聴だったかもしれないけど。昔みたいな幼い口調で、おやすみ、と言った。


天「…………………………………さて、三つ子。やるわよ」

千「ひーくんは!?」

天「私たちを待っててくれるみたいだから、ほら。精一杯やるわよ」

紅「…………………………死んじゃったの?」

天「ええ」

藍「……………………」


三つ子が黙る。

しかし、静寂は訪れない。何故なら、相手らが、普通に殺しあってるから。

二対一だから、アンデッドの方が押されてればいい、と思った。


知「帝弥」

帝「はーい、ってうわぁ!?」

友「…………厄介ですね」

知「それは大いに結構。消えてください」

帝「今兄上が能力使ったら、私も消えますね!!」

知「覚悟はしてるだろう?」

帝「ええ、ええ! 私も兄上も孤児ですから、そんな覚悟がないわけが無いのです! この島では、優しい人たちのおかげでそんな奴らも生き延びれますが、この世が喜びだらけのはずが無いのです!」

知「正解。押さえつけてこい」


………………拮抗状態。互角か。

それを見て、怖いと感じた。一人であの二人と渡り合ってるからだ。

そんなときだった。


「「うわぁぁぁぁぁぁ、天音さんっ!! しゃがんでええええええええええええええええええ」」

小「逃げるな…………!」


なんだあれは。とりあえず、言われた通りにしゃがむ。すると、藍砥が気をきかせたのか叫んでた二人………白輝とシアンが、防壁内に入ってきた。


シ「た、助かったぁ………」

白「あんなに走ったのは、水樹ちゃんと仕事帰りに走って帰った時以来だよ……」

シ「それ、しょっちゅうだったよね!? 疲れた、歩きたくない、からの、なら走って帰ろうのあれだよね!?」

白「てへっ」

天「ちょっとアンタら、黙りなさい」

シ「あーい…………………って、え」

白「ちょ、は? ひーくん………………?」

「「「……………………………」」」

天「即死よ」


シアンが驚愕の声を上げる。白輝は硬直している。私たちと全く同じ反応だった。


友「小雪様! ご無事ですか!」

小「誰に言ってるの。当たり前」

知「ふむ、アンデットの方々は増えた、ということでしょうか」

帝「でしょうね!」

知「ならば容赦は無しでいこうか。帝弥、最大出力で」

帝「かしこまりました!」


アンデットに仲間が合流したらしい。戦いづらくなった。といっても、こちらもシアンと白輝が合流したから、五分五分かな。

そう思っていると、いきなり、引っ張られる感覚がした。外から、だと思った。


帝「ふふ、おきをつけくだっさぁぁい!!」

知「どうせならいらしてくださいな。………ああ、ちなみに俺に当たるとボロボロに腐敗しますので。お気をつけください」

小「っ………………!」

友「ふむ、それは当たれませんね」


ミシミシと、私たちの立っている床が割れていく。防壁は完璧だが、床は普通の床だから、引き寄せられていく。


シ「ああ、もー、鬱陶しいわ!!!」


シアンが重力で押さえつけた。一応割れは止まった。騒がしい女の子が嘘、というかのように驚いた顔をした。隣にいた背の低い男の子も少し動揺していた。

その隙にだろうか、アンデッドの烏天狗らしき人が走った。


知「帝弥、下がれ!」

帝「うぎゃっ!?」

友「させるか!」

知「こちらの台詞ですね!」


烏天狗と背の低い男の子の拳がぶつかりかけるが、何かに気づいたかのように避けた。男の子が舌打ちした。


友「…………そういえば、触れたら腐敗、でしたね」

小「は、何それ」

友「能力だそうです。お手伝いお願いします」

小「わかった」

天「………………このままじゃ、埒が明かないわ」

紅「でも、逃げるにはあいくんの防壁解かない………」

天「逃げるなんて、『赤蛇』にいてあるわけないわ。特に戦闘部隊がいるのよ?」

シ「逃げたら玲に殺されます」

白「水樹ちゃんに殴り殺されますー♡」

「「うわ、ぜってーやだね」」


うげぇ、という顔をされる。なら、やっぱり戦うしかない。この防壁を解かないと。

せめて、こどもたちは帰してあげられますように。…………緋暮を、安心できる場所に連れていけますように。

そう念じて、深呼吸をした。





珂由緋暮『両親の背中を追って』

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