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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~転から結へ~
39/56

政府の様子

政府目線(真目線)は初めてです。




翁「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

真「…………………………」

那「…………………………」


……翁華様が、ため息をわざとらしくついている。声かけぬが吉だと思うけど、かけないと続きそうだよね。みたいなメッセージを目線で那緒さんに伝える。


那「……………翁華様、どうかなさりました?」

翁「察せ」

那「いや、そりゃないでしょ!?」

真「ないですね」

翁「何よ、真までー………。だいたい分かるでしょ。成宮播麻のことよ」


ああ、なるほどな。流石に、子供に父親を討たせるのはどうかと思っているのか。あるいは、無いと思うけど、誰も死んで欲しくないと思ってるのか。


翁「いや、正直ね。夫はクズだし死んじゃってもいいのよ。うん」

那「最低ですね」

真「最低ですね」

翁「別々に二人共言わないで。……ただ、ちょぉぉぉっと面倒なことになっちゃってねぇ……」


全然ちょっとに思えないんですけど。顔が深刻さを語っておられる。それほどに深刻なんだろうか。


翁「『青鳥』が夫に依頼受けちゃって、護衛につくことになっちゃったのよね………」

真「ものすごい深刻じゃないですか」

那「………真くんの顔が真顔だからなんか深刻さが伝わってこないけど、それやばくないですか?」

翁「ええ。…………死人が出るわ、きっと」

那「それ、政府からも何人か出した方が良くないですかね、補助要員で」

翁「そうしようかしらね……。出すなら誰かしら」


脳内でパッと考える。今空いてて、戦力になるのは…………。


真「………癪ですが、怪盗野郎ならいけるかと。後は花那汰くんを貸し出しますよ」

翁「ああ〜……………。花那汰ちゃんならその場で裁けるし、いいわね。………ただ、アイツが引き受けるかどうか……」

那「まあ、一応連絡します?」

翁「……まあ……真が行けば喜んで出てくれると思うけど……大丈夫?」

真「……………命令なら行きますよ。個人的には行きたくないですけども」


あの人、なんで私に突っかかってくるのかがわからない。いつも聞いてるけど、いまいち理解できない。何が楽しいんだか。


──────────────────────────


怪盗野郎のいる部屋の前につく。一つ深呼吸をしてからノックをする。少し間があって、中から女の子の声がして、その子が出てきた。


?「はーい」

真「………レミちゃん、お兄さんいる?」


咲井(さきい)レミ。政府の金利を担当している女の子だ。まあ、担当している、といってもやっているのは別の子だけど。


レ「あら、まこちゃんか〜。いないけど、多分………」

真「背後にならさっきから注意してるからそれは…………」


それはない、と言いかけた時だった。

頭上のダクトが蹴り開けられる音がしたのは。


?「あはははは、背後だけでは私を防ぐことは出来ないよ、真くん!!」

レ「あ、兄貴、おかえり。」

真「……………私を蹴り飛ばさなかったことは有難いが、もう少し静かに出てこれないのか……?練花(レンカ)さん」


…レミちゃんの兄……咲井練花さんはニコニコしていた。心底楽しそうだった。驚かされるこっちの身になって欲しい。頼むから。


練「うふふふふふ、僕の最近の楽しみは君をからかいまくることだからね! 人生の楽しみがあるのは素晴らしいね!」

真「人に迷惑をかけるな」

レ「いやぁ、それ私らに言っても無理だから」

真「…………………努力はして。後レミちゃんは、職場で賭博しないで」


努力しまーす、と舌をペロッと出しながら言われた。守る気ないだろ。


練「……で? 真くんは私に何の用かな? 仕事かな? 嫌だよ」

真「言い切るな。仕事に文句は言わないでくれると助かる」

練「怪盗である私が、真くん(探偵さん)の言うことを守る必要性がないね。どんな仕事なのかを話してくれないと」


あまり威力が無いと分かっているが、この人の顔を全力でぶん殴りたくなる。しかし、それでは目の前の怪盗野郎の思う壷な気がするからやらないが。


レ「この人、自分がやりたいと思えないと仕事しないわよー? まこちゃんなら分かってると思うけども」

練「そうそう。レミはよく分かってるねぇ!」

レ「はいはい、そりゃわかりますよーっと」

真「………やりたいと思うかは分からないが……」


意味有り気にそこで止めてみる。そうすると二人の視線がこちらに向いたのを感じた。興味はあるんだな。私は口を開いた。


真「『赤蛇』の、第三幹部殿の隊がしんがりを務める」

レ「あ、れーちゃん出るんだ。なつかっしー。あの子、兄貴のお気に入りだったよね? あれ、今もだっけ」

真「そうなの? それなら練花さ………」

練「…………生憎だけど、俺は出られないよ」


そういった顔は心底悔しそうな顔になっていた。どうして、と聞こうとしたが、よく考えたらこの人はいろいろな事情(主に昔の所業のせい)で表に出ないんだった。私の落ち度だった。


レ「なんで? れーちゃん死んだら嫌でしょ? 兄貴なら、対象以外死なせずに終わらせられるじゃない」

練「レミー? 僕らは、どこ出身で、どうしてこの島に来たんだったかなー? それを思い出そっか〜」

真「………ジュラドで、翁華様に拾われたんだったよね、確か」

練「せぇーかぁーい。そして、私達は………元指名手配犯だよ? 今でも指名手配が世界各国で解けてないような、ね」

レ「あー……なるほどね……………。納得。そりゃ兄貴みたいのが出てったら警察がそっちに全員走ってくね」

練「人のこと言えないよ、詐欺師が」

レ「怪盗さんは黙ってな」

真「二人共静かにしてくれ……。となると、どうするか………」


頼みの綱だった怪盗野郎は使えない。レミちゃんは戦闘能力皆無。となるとここに望めるものはないか……。


練「ここに望めるものはないって?」

真「…………心を読まないで頂きたい」

練「うふふふ、読んでなんてなーいよ。で、望めるものはないって? 失礼な。まだ僕の手元には優秀なポーンが残っているよ」

レ「あ、もうすぐ帰ってくるって。今エレベーターに挟まれかけようとして助けられたっぽい」

真「……………まさかと思うが……あの子か?」


ボソリと呟くと、そこまで聞き取ったのか、ニヤリ、と咲井兄妹は笑った。こういうところは、あぁ兄妹だな、と思える。


レ「多分その子だよ〜。後数秒で着くね、ほら」

真「GPSか? うちのを思い出すな……」

レ「あ、そのうちのってのも、多分一緒よ。進みが異常に速い………」


と、レミちゃんが言った時だった。ぎゃあぎゃあと喚く声が聞こえたのは。

その声に聞き覚えがあるな、と思いながら額を抑えた。

…………そういえば、今日は仕事一緒に行ってもらったんだった………。


?「ただ今帰りましたぁ〜。レンカ先生ぇ、レミさん〜」

練「おかえり、縁〜。花那汰ちゃんも、いらっしゃーい」

花「いや、私はすぐ帰りますよ!? ただ、この馬鹿が私を引きず………………………………………………………きゃぁぁぁぁ!? ま、まままま真様!?」

真「おかえり、花那汰君。君はいつも元気でいいね」

花「め、滅相もない!? あ、これ報告書です! 電車の中で書き上げました!!」

縁「花那ちゃん、電車の中でハイジャックが起きても書き上げる勢いでしたよぉ〜。起きませんでしたけどねぇ。で、真さんはどうかされましたかぁ〜?」

真「あぁ、君たち、明日辺り何かある?」


私がそう聞くと、二人共元気よく答えてくれた。


縁「なぁんにもありませ〜ん。強いて言うならレンカ先生のお茶をいれるくらいですぅ〜」

花「真様のご命令ならいつでも動けますよ! 運良く何もありませんし!」

真「そう? ならさ、東区の成宮播麻討伐、手伝ってやってよ。花那汰君は能力の使用許可を出すから」

花「了解です!」

レ「あ、縁。明日のお茶はいれなくていいよ。兄貴のカップには泥水突っ込んどくから」

縁「了解ですぅ〜」

練「え、嘘。私悲しい」


そんなことは知ったこっちゃない。優先順位が違うからな。

私は二人に軽く説明をした。この二人が死ぬとは思えないが、一応警戒はするように、などだ。成宮家とは、少しだが付き合いがある。翁華様に拾っていただいたのもあるけど。それなら、多少は助けてやりたい。………仕事の関係上、助けられるのは下部組織である『赤蛇』だけだ、というのは多少心苦しいが。

まあ………私に出来ることをしよう。


レンカさんの名前が漢字なのは私の事情です……

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