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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~転から結へ~
36/56

危険な依頼 青鳥

青鳥の方は毎回長くなる気がするんですよ。何でだろうか………



彩「うっわぁ…………………………………………………………ご指名入ったかぁ………」


どうしたんだろうか、彩兄。なんか頭抱えてる。とうとう未知の境地でも見えたんだろうか。


愁「彩雅、どうかしたのか? 悪いもん拾い食いしたか?」

彩「愁は俺をなんだと思ってんの? 凍らすよ?」

愁「へいへい、悪う御座いました」

彩「…………はぁぁぁぁ………凜ー、今いる全員を集めといて。二十分以内。トイレにいる奴は叩き起こして」


一体トイレにいる奴って誰だ。

そう思いながらも逆らったらただただ、怖いだけだ。僕は頷いてパタパタと部屋を出ていった。

(………トイレにいたのは京子さんだった)


───────────────────────────────


雷「実験しようと思ったのニ、あの馬鹿は何をしてくれてんのヨ……」

実「まあ、彩雅さんにも考えがあるんでしょう。多分」

翔「い、一宮さんの彩雅さんに対するあたりが強くなってません?」

り「いつもの一宮さんではないわね。」

利「まあ、実君にもいろいろあるんでしょ」

実「今は京子さんが起きなくてイライラしてるだけです」

「「そっちか」」


りのちゃんも利音さんも、一応そっちも頭に入れてたんだね………。

確かに京子さん、トイレで爆睡してたけど。起きなかったから実さんに手伝ってもらって運んだけど。

そう思っていると、扉がバンッ、と開いた。そこにいたのは彩兄と愁兄、今仕事から帰ってきたような伊織さんだった。


彩「やあ、集まってくれてありがとう! 早速だけど、俺は君らに死ね! みたいなことを言わなきゃなんないみたい! あ、大丈夫、俺も参加するから!!」

「「「「「「…………はぁ?」」」」」」


早口にまくし立てられて、はぁ? と言わない方がおかしいだろう。僕はそれ以外思いつかなかったぞ。


愁「訂正加える。うちの親父から依頼が来たんだが、それが警護だったんだよ。で、最悪な奴らから親父を守らなきゃいけねぇんだよな」

黄「誰ッスか、最悪な奴らって?」

奏「そうそう! それ教えてもらわないとー」

歩「守る気になんてなれなーい!」

「「まあ、お義父さまを守んなきゃいけないこと自体あんまりやる気起きなーい!! あははっ」」


双子はとことん父さんが嫌いなんだな……。そう思いながらも、僕も気になっていた。誰から守ればいいんだろう。賊でも出たのかな。


伊「はいはい、落ち着いて? 僕らは『赤蛇』と対峙しなきゃいけないみたいだよ。奏理君、机に乗らないでー。歩歌ちゃんは椅子を蹴っ飛ばさないでー」

「「「「「「はぁ!?」」」」」」

彩「だーから死ね! みたいなこと言うって言ったじゃん。本当に覚悟がいるんだよ」

実「は?」

彩「実、頼むから威圧やめてー。睨み返しちゃいそうだからやめてー」

砂「さ、彩雅さんは気楽過ぎますよ!? お父さんなんですよね!?」

彩「狙われるってことは、それ相応のことを父さんがしたってことだ。そして、いくら気が乗らない奴がいても、これは仕事だ」


奏理と歩歌が動きを止めて、黙った。仕事、というと二人も自覚ができるようだった。何より、彩兄は怒ると怖い。父さんも同じくらい怖いけど。


彩「俺は詳しい内容聞いてくる。君らは、覚悟を決めといて。参加しなくてもいいよ。追いかけないから」

愁「おい、彩雅………」

彩「愁、お前もこい。伊織先輩もお願いします。雷羅は意見纏めて。参加しない覚悟を決めた奴は、俺が帰ってくる前に出といてね。よろしく」


彩兄は、それだけ早口で言って、伊織さんと愁兄を引っ張って出ていった。

…………わからない。昔からだけど、彩兄は何を考えてるんだろう。僕には、よくわからない。


───────────────────────────────


雷「………はァ……。みんな、今すぐ決められル?」

凜「僕はやるよ。家族だもん」

雷「あんなクズでもネ。残念ながら父親だもノ。私ものるワ」

奏「うーん……………あんまり好きじゃないんだけどなぁ、お義父さまは」

歩「だよねぇ………。お義父さまは、彩雅おにーさま並に怖いもん」

「「……でも、みんなに死んで欲しくはないからねー。奏くん(歩ちゃん)がやるんならやるかな!」」

凜「………これでアイスでも買っておいで」

「「……わーい!! 行ってきまーす!!」」


バタバタと双子が出ていく。他の人がいたら決まらないだろう。双子は二人で一つ。考えをまとめる場が必要なのだ。


雷「他は?」

魅「あのー、私達はアンデッドで呼び出しかかってるので、御免しても?」

雷「あァ、もともとあなた方にはあまり関係ないものネ。もちろんいいわヨ。今までありがとうネ」

狐「……皆さんのご武運をお祈りしております」

実「…………………………………………………………」


魅波さんと狐茶さんは離脱。二人はこれが普通だろう。仕方ないね。

元の所属が違うのだから。


雷「実?」

実「あぁ、いえ。ちょっと考え事です。僕としては正直乗ってもいいんですけど…………京子さんは?」

京「……………眠い」

実「いい加減にしてくれないのかな…?」

雷「京子さんと実は保留ネ。他は?」


雷姉が面倒だと判断したらしく二人を保留にした。決断早いな、本当。

にしても……実さん、なんか難しそうな顔してる。何か感じることが……思うところがあるんだろうか………。


侑「私はやろうと思いますよ」

砂「侑奈ちゃん!?」

侑「だって、散々給料貰っといて、死にそうな仕事はパス! なんて、可笑しいじゃないですか。ちゃんとやります。それに、もう砂夜ちゃんみたいに、怪我する子はみたくないんです」

明「それなら私もそうかなー。仕事にはプロ意識がありますので! 芸能の仕事でも、こっちの仕事でも!」

凜「砂夜ちゃんは、どうする? 勿論、おりても私達は責めないけど」

砂「……………凜さんは、怖くないんですか……?」

凜「怖いけど?」


そうやって、さも当然のように、あっけらかんと述べると、俯いていた砂夜ちゃんは顔を上げた。

周りにいたみんなもこっちを見ていた。


凜「まだ死にたくないし、美味しいものだって食べたい。生きていたいよ? でも、これは仕事で、生き残った残りの人は恐らく『青鳥』に残る。そんな人達のために、今『青鳥』の評判を落としてなんかいられない。……もちろん、精一杯生きるつもりだけどね」


そう言うと、何故か周りの視線を集めていることに気づいた。

僕、なんか変な事言ったかな。


黄「………凜さん……そんなこと言われたらやるしかないじゃないっスか!」

凜「え、ごめん!! 特に翔くん!」

翔「あー、いえ、別にいいですよ……。どうせ彩雅さんがいるなら、黄金君はこうなるでしょうし」

凜「半分くらい諦めなのが可愛そうだよ………」


本当に翔くんの目は諦めている目だった。とても申し訳ない。

黄金くんは、なんか頭にクエスチョンマーク浮かんでる気がする。この子はこのままで大丈夫なのだろうか……。


利「…………俺は、父さんに猛反対されてんだよね、危険なことは。だから、ちょっと引かなきゃいけない」

り「………………」

利「まだ傷が癒えてないりのも、心配だしね」

り「……………そういう意味で、私と利音さんは離脱するわ。……………ごめん、凜ちゃん」

凜「大丈夫。怪我をしっかり治して。というか、そういう意味なら砂夜ちゃんもだね。休め」

砂「命令形ですかっ!?」

侑「……砂夜ちゃん、命令形なんて言葉知ってたの………?」

砂「侑奈ちゃんは私をどれだけ馬鹿だと思ってるの!? 確かに馬鹿だけど!」


認めちゃうのか。そこで認めてもいいのか、砂夜ちゃん……。

いや、確かに点数は酷いけどもね。認めたらそこで終わりだよ……。


侑「でも、砂夜ちゃんは休むべきだよ。まだ肩に包帯あるんだから」

砂「うっ……………」

明「突っついても大丈夫ですかー?」

砂「やめて、意外に痛いから!!」

り「じゃ、砂夜も離脱ね。ほらほら行くわよー」

砂「ぎゃぁぁぁぁあ! りのさん、引き摺ると傷が痛むんですぅぅぅぅ」

利「それじゃあ、皆様。…………生きて帰ってきてね」


パタン、と扉が閉まった。


───────────────────────────────


凜「後は………」

雷「奏理と歩歌、未鶴に、実と京子さんネ」

凜「いづるさんと桜之さんは今買い出しだっけ」

雷「凜の語り中に、連絡とったけド。勿論参加する、だそうヨ。流石と思ったワ」

凜「ほ、本当に流石だね……。強すぎる」


彩兄の幼なじみとしてやって行けるだけでも、もはや強いと感じるけど。

彩兄は、昔よりはマシだけどヤンチャだからなー(遠い目)

そう考えていると、扉が開いた。


「「参加っしまぁーす! でもって、気分転換にもう一回、行ってきまぁす!!」」

雷「ハ!? ちょ、奏理!歩歌!」

奏「俺らを止められるのは俺らだけだよ!」

歩「いくら雷姉さんでも無理無理!」

「「バーイバーイ!!」」


………………去っていった。

この子達も、いろんな意味で強いな、と思う。強く生きていつか野垂れ死にそう。少しそこが心配。

でも、笑顔だったから吹っ切れたんだろうな。


雷「はァ…………。あ、未鶴は多分休むでショ。お父様も大変だろうし、お家的にも嫌がるでしょうシ

凜「一応後で聞いとくけど、多分そういうね」


未鶴は、今、お父様が倒れてるらしくて、会社の切り盛りをお母様と頑張ってるみたい。そんなんだから来れるわけがない。むしろ、そっちに専念してほしい。


雷「………で、どうするノ? 実と京子さん」

実「…………………………」

京「………私は実がしたい方にしたらいいと思うわよ………ふぁふ……」

実「…………………」

京「後、言いたいことも言えばいいのよ……んん……」


京子さんがいいこと言ってる。でも、眠たそうに欠伸してるのが全てを台無しにしてる。


実「…………彩雅さんが帰ってきたら、ご本人の前で思ってることも全部話すよ。それからでいいですか?」

雷「えェ。構わないけド」

実「ありがとうございます、雷羅さん」


…………実さん、どうかしたんだろうか。なんか考え込んでるように見えないこともない気がする。

しかし、話すのは彩兄が帰ってきてから、ということで。僕らは彩兄の帰宅を待った。


───────────────────────────────


彩「たーだいまー。っと、パッと見は予想通りの人数だね。奏理と歩歌は?」

凜「参加はするけど、逃走したよ」

伊「彩雅君の言った通りだったね」

彩「あの二人は、一分一秒でも俺と一緒にいたくないんですよ。お兄ちゃん悲しいですけど」

愁「気持ち悪ぃ」

彩「酷い」


いつものように彩兄と愁兄がコントを繰り広げる。なんか、この二人はいつでも変わらないなぁ。


雷「彩くん」

彩「ん? 何かな、雷羅」

雷「実が、アンタが帰ってきてから答えと思ってることを言うってサ」

彩「…………なるほど。何かな、みの───」

実「何かな、だ? 笑わせるなよ、七宮の長男」


───────────ん?


実「いいか、一度しか言わないからよぉく聞け。僕がお前の父親、七宮に一体どんな仕打ちを受けたか覚えていて無いわけないだろう? それなのに、何故僕らが手伝わねばいけないのか、それを僕はとっても知りたい」

彩「……………その節はご迷惑おかけしました。父の変わりに俺が──」

実「お前の下がる頭などいらない。とりあえず聞け」


────────え、実さん?

ポカン、とした顔を晒している僕。多分周りは同じ顔ばかりだろう。普通なのは彩兄と愁兄だけだ。多分。


実「家を焼かれ? 路頭に迷いかけたんだぞ? 一体そんな奴の警護を誰がしなきゃいけないのかがわからない。面倒だし。なんなら、冷房の効いた自室で寝たい。惰眠を貪りたい。お菓子が食べたい。何もしたくなどない!」

彩「………………………………………………………………」

実「というわけで僕は全力でやりたくない。でも、自分の考えだけではダメだから、他の奴の考えも聞こう。四ノ原、どうかな?」

京「………とりあえず、まあ、坊ちゃんは変わらないな、と」

実「……………………………いや、違うけど!?」

京「あ、すいませんね。私は………あー………惰眠はひたすら貪らせて貰いましたし、坊ちゃんに慣れない労働もしてもらいましたし。働いても構いませんけど。ただ、お忘れなきようにして欲しいのは、私も坊ちゃんと同じなんですけど」


───────え、この人誰??

え、さっきまで寝ていた京子さんは何処に? え、長文をシャキシャキと喋ってる?

というか、実さんと京子さん逆じゃない?

頭がこんがらがってきた。


京「私とて、家をあなた方の父親の策略によって焼かれてるんで。そこだけ忘れないで」

彩「もちろんですよ、四ノ原さん」

京「……………まあ、私としては、完璧に守って、あいつの頭を下げさせたいんだけど」

実「それは同感だ。というわけで……」


実さんは、くるりと方向を変えて、事務椅子に勢いよく腰掛けた。そして、まるで王様のように言った。


実「非常に腹立たしいが、一宮家当主一宮実と!」

京「……………………あー、私もか。四ノ原家当主になっちゃった四ノ原京子ー」

実「お前らの作戦に乗ってやろうじゃないか。楽しませろよ!」


………………なんだろうか、一番危ない依頼で、かなり大切なことが発覚した気がする。

これ、大丈夫なんだろうか。そう思いながら、僕らはぽかんとした顔だったけども、時間は進んでいくのだった。




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