頻発する事件~下編~ 赤蛇
長らく更新してませんでした。言い訳させてください。パスワードを忘れました…………(汗)
申し訳ございませんでした!
そこからは、しばし睨み合いだった。
お互い、笑顔で向き合い、殺気を出し続ける。
端からみたら、恐ろしい光景だろう。
玲「……と、まあ…本当ならこの辺で殺し合いになるんだけどなぁ…」
ア「そうだな。私は、まだ聞きたいことがある」
玲「俺もだ」
ア「まず、入り口にいる奴ら。とっくに気づいてるけど」
玲「………出てこなくていいぞ」
ア「まあ、人数も把握出来てるしいい。私は戦闘狂じゃないしな」
戦闘狂じゃない奴が、大量傷害事件を起こすのかよ。
少し笑いそうになる。
まあ、嘲笑う感じの笑いだけど。
玲「………日滝って、誰?」
ア「……ハッ…アイツら、馬鹿やらかしたのか?いや、私も私だけど」
玲「調べろ、との命が上から戦闘部隊長のみに出ていてね。教えてもらえるか?」
ア「いや、教える義理は無い。てか、俺が言う必要もない」
玲「………………は?」
ア「…………ははっ!君、まだ若いだろ?いくつ?」
玲「それも教える義理ねぇんだけど。」
ア「私は二十四だ」
玲「………………………」
…言われたら、言うしかねぇ……
言わないと、俺のポリシーに反する。
(律儀すぎるとよく言われる)
玲「………十八だ。」
ア「後、口調どうにかしたら可愛いんじゃないか?」
玲「…………ろ……?」
ア「ん?何だ?」
玲「………殺すぞ?」
ア「!!! ………地雷だったか」
思いっきり殺気を放つ。
相手が怯むのを感じた。
ついでに、入り口にいる子たちが怯えているのを感じた。
………後者は、申し訳ないと感じたが、まあ仕方ないな。
ア「…………もしかして君さ、昔、ジュラド辺りにいた?」
玲「あー……いたな。七歳から八歳までの一年」
ア「……じゃ、怪盗の糞野郎に連れられてたの、君か?」
玲「おー、すごい。そこまでわかるのか。その通り。俺はその方に連れられてジュラドを徘徊してたよ」
ア「なるほどね。だからか。殺気に覚えがあったのは」
玲「? 会ったことありましたっけ?」
ア「あの糞野郎の近くで歩き回ってたんなら、絶対にある。残念ながら、ぼんやりとしか覚えてないけどな」
玲「残念ってなんですか」
なんか嫌な予感がするけど、一応聞いておく。
相手が満面の笑みっぽいのを浮かべてるから更に嫌な予感がする。
ア「いや、覚えてたら私たちのところに誘ったのに、ってね」
玲「そんなんだと思ったよ!」
なんとなくしていた嫌な予感が的中した。
行きたかねぇよ……!!
…………………ん?
玲「……私たち、ね。……やっぱり集団か」
ア「あ、ボロだしちゃったか」
玲「こちらとしては有り難い限りだな。さあ、吐いてもらおうか」
ア「…………………」
玲「?どうし─────」
そのときだった。
アヴィリオ・アスタシアの体が動き、俺の上を飛び越え、入り口の方へ向かっていった。
入り口の方……………つまり。
凜「!うわっ!!」
玲「凜ちゃん!黄金くんに翔くん!!」
ア「…ははっ、私は犯罪者だ。油断大敵、だよ。『赤蛇』の。」
玲「ッチ!」
アヴィリオ・アスタシアは、人質だ、と言うように三人の背後に立ち、威圧をかけていた。
……………助けにいかねば。
そう思ったのはすぐだった。
しかし………………
翔「放して…ください!」
ア「うおっ!?」
黄「おお!ナイス、翔くん!!」
………翔くんが、自力で脱出した。
…そういえば、シアンが、重力から逃れられた子がいた、って言ってたな。
翔くんのことだったのか。
そう思っていると、相手が動転した隙を狙って、黄金くんも凜ちゃんも抜け出していた。
ア「……あー、君たち、あれか。『青鳥』か」
黄「そうッス!成宮彩雅さん率いる、民間から警察事件までお任せあれ、の『青鳥』ッスよ~」
翔「のんきに自己紹介しなくていいよ!?」
ア「あはは、面白いなぁ。…本当に、この島に来てよかったよ」
凜「?」
ア「……ジュラドみたく、簡単にクリアできないところが魅力的だ……!」
「「「!!」」」
玲「まずいっ!」
殺気が、恐ろしい量放たれていた。
浴びたことがないであろう量の殺気に、三人は動けない。
アヴィリオ・アスタシアは、ナイフを手に持ち、振りかざした。
そのときだった。
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?「けんかはいけませんよ?ここ、くずれかけてますからね~?」
ア「? 誰だ、君?」
?「そこにいる、せんとうぶたいちょうさんのなかまですよ、ぼくは」
玲「!中戸さん、ナイス!」
………援軍として呼んでいた、中戸さん………中戸 陽さんが、アヴィリオ・アスタシアの手を掴んで止めていた。
…助かった。
陽「あはは、しんそこよかった、ってかおしてますよ、かんぶさん」
玲「…その通りですから。その手、絶対離さないでくださいね?」
ア「……これ、私、捕まるパターンかな」
玲「…………どうみても、そうだな」
ア「……嫌だなぁ」
黄「いや、捕まるのが好きな人なんていないッスよ…」
ア「……見くびられてるなんて、嫌だなぁ」
黄「へ?」
凜「こ、この状況で言います…?」
翔「どう考えても絶体絶命ですよ、戯言でしょう」
玲「………中戸さん、気を付けて」
陽「もちろんですよ」
妙に嫌な予感がする。
しかし、アヴィリオ・アスタシアは捕まって動けない。
抵抗の手立てなんてないはず…
そんなことを後ろから軽やかな足音が聞こえる中考えていた。
──────ん?軽やかな足音?
───────────────────────────────
?「うっわぁ、愚妹の云った通りだ~。なぁに捕まってんの、アヴィさん?」
?「だから云ったじゃん、危ないってさ…」
翔「!?」
凜「…誰だろ、あれ」
翔「…僕は知りませんよ」
黄「翔くんが知らないなら、オレも知らないッス!」
ア「……おせぇよ、樹々(じゅじゅ)、夢羽」
樹「いやいやいや、俺は関係ないでしょ?!ってか、夢羽ならとっくの昔に気づいてたよー?ねえ?」
夢「あはは、とっくの昔、ではないんだけど………勘だったし」
明るく、おちゃらけた感じで話す和服の奴と、見た目はおちゃらけた感じなのに喋り方は謙虚そのものの奴。
……見た目、取り替えた方がいいんじゃないか、こいつら……。
そう思いつつ、警戒をする。
樹「うわ、沢山いるねぇ?大丈夫ー?」
ア「見ればわかるだろ」
樹「だねぇ、どーする夢羽」
夢「いや、俺らが来た意味を考えようか樹々君!?」
樹「えー………面倒くさーい」
玲「………中戸さん、そのまま連れていこう。相手に動く様子が見えないから」
最早呆れかけている。
仲間なのか、ただの通りすがりなのか。
しかし、全くもって仕掛けてくる様子がない。
そのまま、中戸さんに指示を出して帰ろう。
一刻も早く立ち去りたい。
夢「……………てかさぁ、俺らは助ける意味無いじゃん。…後は全部、世壬ちゃんがやってくれるんだから」
玲「…………は?」
凜「!玲ちゃん、後ろ!!」
そう言われ、即座に振り返り、背後に引く。
そうすると、俺がいたところに向かって、何かが大口を開けて突撃してきた。
玲「………はっ!?」
───────────────────────────────
何だ、あれ……?!
その、何かは、そう思うほどに異形だった。
一言で表せ、と言われたら…………
………一つ目の、鬼…?
?「…あーあ。避けられちゃった。惜しかったのに」
樹「外してんじゃん、世壬ちゃんー?」
世「うっさい、じゅーくん。黙っててよ」
ア「世壬、助けろ」
世「分かってる。次は外さない」
凜「えっ………………君はこの前の…」
世「………あ、幸福の青い鳥さんのこの前の人?」
凜ちゃんが反応した。
知り合いなのだろうか。
それなら俺は、どうしようか。
………いや、俺は関係ねぇな。ぶっ倒すだけだし。
世「………もっのすごい馬鹿な人だよね。探してるのが私なのに、全く気付かないなんてさ」
凜「………どういう事?」
世「まだ気付かないの?鬼ごっこ師、だっけ。それ、私。私の可愛い小鬼ちゃん達が、馬鹿な奴らの肉を喰いちぎってるの」
翔「鬼ごっこ師…って……」
黄「指名手配犯ッスよね…?」
玲「……………はぁ…………こうも出しゃばってきたか………とりあえず嬉しいけど、面倒だな」
そう云って、俺は片手を上に挙げた。
掌をー、太陽にー………ゴホン。
失礼した。
周りの奴らは、何をしてるんだ、という顔になる。
まあ、敵さんは警戒態勢をとって、中戸さんは相変わらずニコニコしていたが。
その状態を見て、俺は言った。
玲「…………隠れてんてなよ、バレバレだっつーの!出てこい!!」
片手から、炎を出した。
その炎が、分離して、二方向に飛んでいく。
……………飛んでいった炎は、物に当たる前に、消えた。
ガサガサと音がした。
出てきたのは………
シ「いやぁ、やっぱり見つかったね…」
理「姫様だからな。当たり前だ」
シ「なんという信頼なの、理さん!? ……いや、俺も信用してっけど」
嬉しいような、不思議な言葉が聞こえた。
出てきたのは、俺の同僚の理さんとシアンだった。
つけてきてたことと……姫様は気に食わねぇけどな。
樹「……あらら、もしかしておびき寄せられちゃった感じかな?」
夢「どう見てもそうだねぇ。どうする?」
世「逃げるか、殺すかの二択でしょ。噛み砕いてやってこようか?」
ア「やめとけ。流石に、この人数に小鬼二体じゃ無理があるだろ」
翔「………逃げようとしてますね…」
黄「翔、俺はどうしたらいいッスか?」
翔「下がってた方が身のためだと思うよ。…『赤蛇』は、なんか考えてるみたいだから」
ア「…………おいこら、手が緩んでるぞ?」
「「!?」」
ザクッ、と嫌な音がした。
驚いてそちらを見ると…。
翔「こ、黄金くん!!」
黄「……た、たはは……やらかしちゃったッス…」
翔「…っ!凜さん!止血帯ありませんか!?」
ア「…これしきで狼狽えるなら、まだまだ餓鬼だな。」
陽「どこへいくおつもりですか?」
ア「…さぁ、何処だろうな。私らに居場所はないよ。ただの流浪人だからね」
シ「中戸さん、避けろっ!」
陽「っつ!?」
小鬼が、中戸さんに襲いかかった。
しかし、中戸さんは強い。
片手で、力で対応した。
(なんでこの人情報部隊なんだろうか)
しかし、その隙に、アヴィリオ・アスタシアは仲間の方へ走っていった。
ア「………じゃあね。楽しい時間をありがとう。いい夢見なよ。」
世「楽しかったんだ、助ける必要なかったことない?」
夢「そこは言ったら駄目でしょ…」
樹「ではでは、皆様!うちのむーくんが最後の一撃を放ちますよ~!!」
なんか、言ってくれたぞ。
有難いな、身構えることができる。
構える俺ら。
しかし、相手はそれを見ても何も戸惑うことなく、ため息をついて向かってきた。
夢「はぁ……樹々くん。なんで言っちゃうのさ…。まあいいけど…」
秋内夢羽であろう奴がこちらを向いて笑った。
夢「………Good-night(よく眠って、元気になってね)」
俺が最後に覚えていたのは……………
『青鳥』の奴らが、バタバタと倒れる所だった。
そして、俺も、地面とキスする羽目になった。




