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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~承~
29/56

頻発する事件~下編~ 赤蛇

長らく更新してませんでした。言い訳させてください。パスワードを忘れました…………(汗)

申し訳ございませんでした!


そこからは、しばし睨み合いだった。

お互い、笑顔で向き合い、殺気を出し続ける。

端からみたら、恐ろしい光景だろう。


玲「……と、まあ…本当ならこの辺で殺し合いになるんだけどなぁ…」

ア「そうだな。私は、まだ聞きたいことがある」

玲「俺もだ」

ア「まず、入り口にいる奴ら。とっくに気づいてるけど」

玲「………出てこなくていいぞ」

ア「まあ、人数も把握出来てるしいい。私は戦闘狂じゃないしな」


戦闘狂じゃない奴が、大量傷害事件を起こすのかよ。

少し笑いそうになる。

まあ、嘲笑う感じの笑いだけど。


玲「………日滝って、誰?」

ア「……ハッ…アイツら、馬鹿やらかしたのか?いや、私も私だけど」

玲「調べろ、との命が上から戦闘部隊長のみに出ていてね。教えてもらえるか?」

ア「いや、教える義理は無い。てか、俺が言う必要もない」

玲「………………は?」

ア「…………ははっ!君、まだ若いだろ?いくつ?」

玲「それも教える義理ねぇんだけど。」

ア「私は二十四だ」

玲「………………………」


…言われたら、言うしかねぇ……

言わないと、俺のポリシーに反する。

(律儀すぎるとよく言われる)


玲「………十八だ。」

ア「後、口調どうにかしたら可愛いんじゃないか?」

玲「…………ろ……?」

ア「ん?何だ?」

玲「………殺すぞ?」

ア「!!! ………地雷だったか」


思いっきり殺気を放つ。

相手が怯むのを感じた。

ついでに、入り口にいる子たちが怯えているのを感じた。

………後者は、申し訳ないと感じたが、まあ仕方ないな。


ア「…………もしかして君さ、昔、ジュラド辺りにいた?」

玲「あー……いたな。七歳から八歳までの一年」

ア「……じゃ、怪盗の糞野郎に連れられてたの、君か?」

玲「おー、すごい。そこまでわかるのか。その通り。俺はその方に連れられてジュラドを徘徊してたよ」

ア「なるほどね。だからか。殺気に覚えがあったのは」

玲「? 会ったことありましたっけ?」

ア「あの糞野郎の近くで歩き回ってたんなら、絶対にある。残念ながら、ぼんやりとしか覚えてないけどな」

玲「残念ってなんですか」


なんか嫌な予感がするけど、一応聞いておく。

相手が満面の笑みっぽいのを浮かべてるから更に嫌な予感がする。


ア「いや、覚えてたら私たちのところに誘ったのに、ってね」

玲「そんなんだと思ったよ!」


なんとなくしていた嫌な予感が的中した。

行きたかねぇよ……!!

…………………ん?


玲「……私たち、ね。……やっぱり集団か」

ア「あ、ボロだしちゃったか」

玲「こちらとしては有り難い限りだな。さあ、吐いてもらおうか」

ア「…………………」

玲「?どうし─────」


そのときだった。

アヴィリオ・アスタシアの体が動き、俺の上を飛び越え、入り口の方へ向かっていった。

入り口の方……………つまり。


凜「!うわっ!!」

玲「凜ちゃん!黄金くんに翔くん!!」

ア「…ははっ、私は犯罪者だ。油断大敵、だよ。『赤蛇』の。」

玲「ッチ!」


アヴィリオ・アスタシアは、人質だ、と言うように三人の背後に立ち、威圧をかけていた。

……………助けにいかねば。

そう思ったのはすぐだった。

しかし………………


翔「放して…ください!」

ア「うおっ!?」

黄「おお!ナイス、翔くん!!」


………翔くんが、自力で脱出した。

…そういえば、シアンが、重力から逃れられた子がいた、って言ってたな。

翔くんのことだったのか。

そう思っていると、相手が動転した隙を狙って、黄金くんも凜ちゃんも抜け出していた。


ア「……あー、君たち、あれか。『青鳥』か」

黄「そうッス!成宮彩雅さん率いる、民間から警察事件までお任せあれ、の『青鳥』ッスよ~」

翔「のんきに自己紹介しなくていいよ!?」

ア「あはは、面白いなぁ。…本当に、この島に来てよかったよ」

凜「?」

ア「……ジュラドみたく、簡単にクリアできないところが魅力的だ……!」

「「「!!」」」

玲「まずいっ!」


殺気が、恐ろしい量放たれていた。

浴びたことがないであろう量の殺気に、三人は動けない。

アヴィリオ・アスタシアは、ナイフを手に持ち、振りかざした。

そのときだった。


──────────────────────────────


?「けんかはいけませんよ?ここ、くずれかけてますからね~?」

ア「? 誰だ、君?」

?「そこにいる、せんとうぶたいちょうさんのなかまですよ、ぼくは」

玲「!中戸さん、ナイス!」


………援軍として呼んでいた、中戸さん………中戸(なかと) (ひなた)さんが、アヴィリオ・アスタシアの手を掴んで止めていた。

…助かった。


陽「あはは、しんそこよかった、ってかおしてますよ、かんぶさん」

玲「…その通りですから。その手、絶対離さないでくださいね?」

ア「……これ、私、捕まるパターンかな」

玲「…………どうみても、そうだな」

ア「……嫌だなぁ」

黄「いや、捕まるのが好きな人なんていないッスよ…」

ア「……見くびられてるなんて、嫌だなぁ」

黄「へ?」

凜「こ、この状況で言います…?」

翔「どう考えても絶体絶命ですよ、戯言でしょう」

玲「………中戸さん、気を付けて」

陽「もちろんですよ」


妙に嫌な予感がする。

しかし、アヴィリオ・アスタシアは捕まって動けない。

抵抗の手立てなんてないはず…

そんなことを後ろから軽やかな足音が聞こえる中考えていた。

──────ん?軽やかな足音?


───────────────────────────────


?「うっわぁ、愚妹の云った通りだ~。なぁに捕まってんの、アヴィさん?」

?「だから云ったじゃん、危ないってさ…」

翔「!?」

凜「…誰だろ、あれ」

翔「…僕は知りませんよ」

黄「翔くんが知らないなら、オレも知らないッス!」

ア「……おせぇよ、樹々(じゅじゅ)、夢羽(むう)

樹「いやいやいや、俺は関係ないでしょ?!ってか、夢羽ならとっくの昔に気づいてたよー?ねえ?」

夢「あはは、とっくの昔、ではないんだけど………勘だったし」


明るく、おちゃらけた感じで話す和服の奴と、見た目はおちゃらけた感じなのに喋り方は謙虚そのものの奴。

……見た目、取り替えた方がいいんじゃないか、こいつら……。

そう思いつつ、警戒をする。


樹「うわ、沢山いるねぇ?大丈夫ー?」

ア「見ればわかるだろ」

樹「だねぇ、どーする夢羽」

夢「いや、俺らが来た意味を考えようか樹々君!?」

樹「えー………面倒くさーい」

玲「………中戸さん、そのまま連れていこう。相手に動く様子が見えないから」


最早呆れかけている。

仲間なのか、ただの通りすがりなのか。

しかし、全くもって仕掛けてくる様子がない。

そのまま、中戸さんに指示を出して帰ろう。

一刻も早く立ち去りたい。


夢「……………てかさぁ、俺らは助ける意味無いじゃん。…後は全部、世壬ちゃんがやってくれるんだから」

玲「…………は?」

凜「!玲ちゃん、後ろ!!」


そう言われ、即座に振り返り、背後に引く。

そうすると、俺がいたところに向かって、何かが大口を開けて突撃してきた。


玲「………はっ!?」


───────────────────────────────


何だ、あれ……?!

その、何かは、そう思うほどに異形だった。

一言で表せ、と言われたら…………

………一つ目の、鬼…?


?「…あーあ。避けられちゃった。惜しかったのに」

樹「外してんじゃん、世壬ちゃんー?」

世「うっさい、じゅーくん。黙っててよ」

ア「世壬、助けろ」

世「分かってる。次は外さない」

凜「えっ………………君はこの前の…」

世「………あ、幸福の青い鳥さんのこの前の人?」


凜ちゃんが反応した。

知り合いなのだろうか。

それなら俺は、どうしようか。

………いや、俺は関係ねぇな。ぶっ倒すだけだし。


世「………もっのすごい馬鹿な人だよね。探してるのが私なのに、全く気付かないなんてさ」

凜「………どういう事?」

世「まだ気付かないの?鬼ごっこ師、だっけ。それ、私。私の可愛い小鬼ちゃん達が、馬鹿な奴らの肉を喰いちぎってるの」

翔「鬼ごっこ師…って……」

黄「指名手配犯ッスよね…?」

玲「……………はぁ…………こうも出しゃばってきたか………とりあえず嬉しいけど、面倒だな」


そう云って、俺は片手を上に挙げた。

掌をー、太陽にー………ゴホン。

失礼した。

周りの奴らは、何をしてるんだ、という顔になる。

まあ、敵さんは警戒態勢をとって、中戸さんは相変わらずニコニコしていたが。

その状態を見て、俺は言った。


玲「…………隠れてんてなよ、バレバレだっつーの!出てこい!!」


片手から、炎を出した。

その炎が、分離して、二方向に飛んでいく。

……………飛んでいった炎は、物に当たる前に、消えた。

ガサガサと音がした。

出てきたのは………


シ「いやぁ、やっぱり見つかったね…」

理「姫様だからな。当たり前だ」

シ「なんという信頼なの、理さん!? ……いや、俺も信用してっけど」


嬉しいような、不思議な言葉が聞こえた。

出てきたのは、俺の同僚の理さんとシアンだった。

つけてきてたことと……姫様は気に食わねぇけどな。


樹「……あらら、もしかしておびき寄せられちゃった感じかな?」

夢「どう見てもそうだねぇ。どうする?」

世「逃げるか、殺すかの二択でしょ。噛み砕いてやってこようか?」

ア「やめとけ。流石に、この人数に小鬼二体じゃ無理があるだろ」

翔「………逃げようとしてますね…」

黄「翔、俺はどうしたらいいッスか?」

翔「下がってた方が身のためだと思うよ。…『赤蛇』は、なんか考えてるみたいだから」

ア「…………おいこら、手が緩んでるぞ?」

「「!?」」


ザクッ、と嫌な音がした。

驚いてそちらを見ると…。


翔「こ、黄金くん!!」

黄「……た、たはは……やらかしちゃったッス…」

翔「…っ!凜さん!止血帯ありませんか!?」

ア「…これしきで狼狽えるなら、まだまだ餓鬼だな。」

陽「どこへいくおつもりですか?」

ア「…さぁ、何処だろうな。私らに居場所はないよ。ただの流浪人だからね」

シ「中戸さん、避けろっ!」

陽「っつ!?」


小鬼が、中戸さんに襲いかかった。

しかし、中戸さんは強い。

片手で、力で対応した。

(なんでこの人情報部隊なんだろうか)

しかし、その隙に、アヴィリオ・アスタシアは仲間の方へ走っていった。


ア「………じゃあね。楽しい時間をありがとう。いい夢見なよ。」

世「楽しかったんだ、助ける必要なかったことない?」

夢「そこは言ったら駄目でしょ…」

樹「ではでは、皆様!うちのむーくんが最後の一撃を放ちますよ~!!」


なんか、言ってくれたぞ。

有難いな、身構えることができる。

構える俺ら。

しかし、相手はそれを見ても何も戸惑うことなく、ため息をついて向かってきた。


夢「はぁ……樹々くん。なんで言っちゃうのさ…。まあいいけど…」


秋内夢羽であろう奴がこちらを向いて笑った。


夢「………Good-night(よく眠って、元気になってね)」


俺が最後に覚えていたのは……………


『青鳥』の奴らが、バタバタと倒れる所だった。

そして、俺も、地面とキスする羽目になった。



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