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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~承~
20/56

お昼休みの大事なお話



………ある休日(曜日的には)のお昼頃……

僕らも、普通にお昼をとる為、休憩に入っていた。

………箸がない…だと……!?

割り箸を取りに行かねば………

と、そこで。


「はい、どうぞ。箸がないならお使いください」

「え……仁叶さん、いいんですか?」

「えぇ。魅波がいつも忘れるので持ってくるのですよ。酷いときなんて、横に折りますし」

「……有り難く使わせていただきます」


横に折るって………え?

魅波さん、どういう使い方するつもりなの……?


「あ、もしかしてアタシ、貶されてる?」

「もしかしなくとも、そうですね」

「狐荼君はやっぱり酷いなぁ…」

「君の脳内も酷いですよ」

「お、お二人とも?食べましょ?ね?」


雰囲気が険悪になりかけだったので急いで止める。

うん、一触即発?


「…そうですね。僕と魅波がここでぶつかったら、建物半壊じゃすみませんしね」

「あはは、そうですね……って、ん?半壊?」

「?半壊がどうかしました?」


──────え?

半壊するの?

え、それ、人間技?


「………あぁ、話していませんでしたか。僕ら〔アンデット〕について」

「へ?あ、うん……?何にも…聞いてない…です」

「あー…そうだっけ?」

「そうですよ。完全に忘れてましたね……」

「狐荼君、話してくれるよね!」

「はい。魅波に任せると怖いので話します」

「それはそれで酷い!!」


仁叶さんは、魅波さんの扱いに慣れているんだな…。

と、思うほどにあたりがきつい。

恨みでもあるのだろうか。


「…では、話しましょうかね。………………僕ら〔アンデット〕は、皆、人じゃないんです。」


────────────────


〔アンデット〕

元は人だったんですよ。

でも、人体実験にて、人ではなくなりました。

その人材収集の仕方が、まあ…だいぶ酷いもので。

他の犯罪組織の仕業に見せかけ、人を拐う。

僕も魅波も、お嬢も…神奈さんとて全員同じです。


僕は家で一人、教書を読んでるときに拐われました。

まあ、詳しくは覚えていないんですけどね。

だいたい………十二年とか、それくらい前の話なので。

……………思い出したくないし。


おっと、失礼。

話がそれるところでした。

それで、僕らは人ではない…人外となりました。

それから、しばらくしたら、捨てられるんです。

───西区の方に。

治安が悪いところに捨てるなんて、どうかしてると思いません?

全く…昔から不自由なく暮らしていたので、本当に苦労しましたよ。


そこで──会ったんです。

自分と同じような目に会った方々と。

最初に会ったのは、お嬢じゃなかったんですけど、まあのちに〔アンデット〕と呼ばれる者の一人です。

その人、性格は割とクズなんですけどね。

そのときは何故か助けてくださったんです。

どうせ、気分でしょうがね。

それのおかげで、今生きてます。


………で、建物半壊じゃすまない、ということを説明しましょうか。

僕らは改造されたことで、実在しているのか分からない生物の身体能力に近づけられました。

例えば………お化けとかで、唐笠お化けとかいるじゃないですか。

あんなのですよ。

僕は妖狐───狐ですけど。

魅波は人魚ですね、西洋の。

で、妖狐って、人魂とか使ったり、化けたりするイメージありません?

それができます。

まあ、化かす方が得意ですがね。

それプラス、身体能力が上がっている、そして、自らの能力………。

これらにより、まあ……半壊?

というわけです。

ご理解いただけましたか?


──────────────


「………な、なんとなく…?」

「サッパリ!」

「………魅波、後で詳しく洸也さんに説明を貰ってください」

「はーい」

「………人外…ですか………?」

「そうです。妖狐ですよ、僕。」

「……見えないんですけど」

「耳と尻尾、出しましょうか?」

「出して出して!」

「貴女は遠慮を覚えなさい……」


ポフッ


仁叶さんが煙で包まれた。

ってか、煙濃いな!?

紫色!?

お伽噺か何かか!?

あ、でも、妖狐はお伽噺とか脅かし話で出るか…


そうこうしているうちに霧が晴れてきた。

魅波さんがケホケホと咳き込んでいる。

僕は口にハンカチをあてていた。

正しい判断です、というテロップが見えた気がした。


「…………ほら、耳と尻尾です。服も変わってますけどお気になさらず」

「わぁーい!尻尾だぁ!!」

「うわぁ!?」

「………すごい…魅波さん、離れてあげてくださいな……」

「えー?凜ちゃんも触ったら?」

「………………」

「構いませんよ、ほら」


モフモフとした尻尾が差し出される。


「いや、でも………」

「………嫌ですか……」

「いえ、全然。失礼します」


耳がぺたんと閉じて、悲しそうな顔されたら断れないって!

ぐうぅ……………

(※腹の音ではないです)


「では……………あ、モフモフ…」

「大きいでしょう?九尾みたいに増やせますけど、見ます?」

「えっ!?」

「あ、実際は化かしてるんですけど。でも触れますよ」


ぼふっ!


「……増えたぁぁぁっ!」

「魅波、落ち着けです」

「……………………………」

「凜さん、一心不乱に触ってますけど、どうかしました?」

「………………………………」

「り、凜ちゃーん?」

「…………………はっ!?」

「「!?」」

「す、すいません…こーいうモフモフ大好きなんです」


しまった…………………。

一瞬ぬいぐるみパラダイスと勘違いしかけた……。

ヤバイ、僕の脳内。


「……凜ちゃん」

「は、はい?」

「可愛い」

「……仁叶さんが?」

「なんで!?狐荼君は可愛くないよ!?」

「その通りですよ。女性にいってください、そういうの」

「じゃあ、魅波さん」

「まあ、魅波は可愛いですけど」

「ふあ!?」

「自画自讃する馬鹿じゃありませんよ。馬鹿は馬鹿ですけど」

「酷くない!?」


魅波さんが傷ついた顔をするが、全く知らん振りの仁叶さん。

うん、見てて面白い。


「その貴女の好きなものが可愛いんでしょう?」

「そうそう!可愛い。」

「!?………そうですか?」

「うん、だいぶね!」

「魅波が言うんなら間違いは……………………二分の一で無いですよ」

「えへん!」

「魅波さん、胸張っちゃダメです、そこ」


……………頭が少し悪い、とかか。

となりで仁叶さんが頭を抱えている。

お疲れ様です。


「魅波さんも、なれるんですか?」

「ん?人魚になれるよー」

「そうなんですか」

「でも、ここでなったら水がないから干からびちゃう」

「ここ、室内ですから大丈夫だと思いますけどね」

「あれ、そうだっけ」

「貴女という人は………………」

「あはは………ってやばっ!!もう休憩終わりますよ!急いで食べて!」

「うわ、ヤバイ!全く食べてなかった!」

「頑張って食べなさい。僕は先に行きますよ」

「薄情者ー!」


………〔アンデット〕、か。

彩兄に報告いるかなー?

聞かれるまで、言わなくてもいいか。

そんな、気楽な考えで……

時間を見て、ご飯を完食するのを諦めた。


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