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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~起から承へ~
18/56

『鬼ごっこ師』の聞き込み

はい、後半部分です。

次は『赤蛇』にもどります。


僕らは、外に出て、とりあえずふらふらと歩いていた。

が、そういう目的のないことが桜之さんは嫌いなので、早めに聞いてみた。


「てか、なんの聞き込みなんです?」

「紙には、指名手配犯の情報、と書いてある。……ざっくばらん過ぎじゃ」

「はい!」


都川さんが手を挙げる。


「アタシ、若葉さんからこっちをあてにして、って紙もらいました!!」

「「でかした」」

「良かったですね、魅波」

「えへへ~」


都川さんの持っていた紙をみたら、最近中区に出没する指名手配犯『鬼ごっこ師』………なんだこれ。


「ふざけた名じゃな。誰が考えたんじゃろうか」

「警察じゃないですか?」

「まあそれが妥当でしょうね…」

「とりあえず、聞き込み調査、するんですよね!」

「そうですね、都川さん」

「魅波でいいですよ、凜ちゃん!!」

「え、じゃあ……魅波さん?」

「はいっ!うわー、嬉しいなぁ!妹ちゃんができたみたいっ!」

「それなら嬉しいです」

「魅波も僕もひとりっ子ですしね」

「妾もじゃ。この中で兄妹がおるのはリンだけじゃな」

「あ、あはは……兄妹だけど兄妹じゃないみたいな十人十色感ですけどね」

「………まあ、それはな」


桜之さんも納得してくれるぐらいわかってるんだなー……。

流石、成宮ご用達の履き物屋のお嬢様……。

そして、彩兄の幼馴染み二号。

あ、一号はいづさんね。


「……お爺さんは、自分の富を人に分け、周りを幸せに運び、周りから慕われた人生を送りましたとさ。おしまい。」


公園で聞き込みをしようと訪れたところ、子供たちの歓声が聞こえてきた。

そちらへ目を向けてみると……


「おねぇちゃん、おねぇちゃん!もういっかい読んでよ!」

「私も聞きたい!!」

「僕もー!」

「ごめん、次は北区の公園に行かなきゃいけないから」

「えぇー!お母さん、行きたい!」

「駄ー目」


紙芝居をしている女の人がいた。

子供の人気から察するに、たびたび来ているのだろう。


「………あれ、なんです?」

「紙芝居、とかいうやつじゃないかな?」

「知らないんですか、仁叶さん」

「えぇ。寺生まれで遊びとかにはには疎いんですよ。教書ならひたすら読まされましたが。」

「では、是非北区で聞いては行きませんか?」


後ろから声が聞こえた。

振り返ると紙芝居の女の人が立っていた。


「そうはしたいんじゃが、妾らは仕事中でのう」

「へぇ、お仕事…失礼ですが、聞いてもよろしいですか」

「いいですよ。指名手配犯『鬼ごっこ師』についてです」

「『鬼ごっこ師』………変な名称ですね」

「どうせ、警察がつけたんじゃろうな。ネーミングセンスが欠片もない」

「その通りですね、警察はどんな脳味噌の人がいるんだか」

「まあ、そんな人のことで、なにか知りませんか?」


その女の人は手を顎に持っていき、考える素振りを見せる。

あ、この動作、今日で見るの二回目だ。


「うーん…………………あ、南区で紙芝居をしたときに、子供たちが何か言っていた気が………」

「本当ですか!教えてください!」

「えと………『良い子にしてないと、鬼が追いかけてくる』とか『捕まったら帰れない』とか、だった気がします。それで話を書こうとしましたから」

「話?」

「『時國ときくに』ってご存知ですか」

「あ、作家さんですよね。僕はたまに読みますよ」

「それ、私です。ご購読ありがとうございます」

「作家!?だいぶ若そうに見えるけど………」

「実は、働かないと次の週は路頭に迷うような貧乏人でして。だから書き物をしてます」

「壮絶ですね………」

「いえ、もう慣れましたよ。……おっと、そろそろ行かないと間に合わない。行ってもいいですか」

「あぁ。ご協力、感謝する。最後に名前を聞いても良いか?」

「メディアには言わないでください」

「勿論だ」

「……堀海ほりうみ 世壬よみです。では、さようなら。お仕事頑張ってください」


堀海さんは、そのまま北区に歩いていった。

僕らもこれ以上の情報はなく、彼女の情報が一番有力だった。


………作家なのに、お金に困っているのか……。

僕は、自分が報われていると感じた。




その頃、北区──────


「……………馬鹿みたいなの」

「へぇ?そんなに?」

「そう。『鬼ごっこ師』とかふざけた名前も馬鹿みたい。それを探ってるやつらも馬鹿みたい」

「あはは、世壬ちゃんは毒舌だなぁ」

「むーくんは思わない?」

「思うよ?」

「…………………目の前にその探し人いるのにさぁ、なぁんにも気付かない。」


クスクスと笑う声。

心底馬鹿にするような笑い方だ。


「血の臭いとかするのにねぇ」

「………………何が民間組織なんだか。『青鳥』とか、結局力で解決するじゃない。私たちとなんも変わらない」

「そう言ってやらないのー。」

「…つねらないで」

「ごめんごめん~」

「………あ、ツカマエタ」


─────本日深夜一時頃、異臭がすると通報を受け、駆けつけた警官が、何かに食い殺されたかのように無惨な姿の遺体を北区で発見しました。

人間技ではない、ということで能力を使ったものと考えた操作が行われています。

北区の皆様、充分ご注意ください。


変わって次のニュースです──。

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