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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~起から承へ~
17/56

社員は全員変わり者だった

今回、長くなりすぎたので、二つに分けました。

次の話も『青鳥』sideです。



───〔アンデット〕、という人たちが来てから、三日がたった。

今日は平日な為、学生は学校へ行っていた。

もちろん僕もだ。

行ってないのは、気が向かないと学校へ行かない奏理と歩歌ぐらいだ。


しかし、今日は会議があるとかどうとかで午前中のみの授業だった。

大半の生徒は、遊びに行こう!と予定をたてている。

ま、僕も誘われたんだけどさ……


「なるちゃん、遊びにいこ!」

「あー……ごめんね、バイト(本業?)が忙しいから無理かな…」

「ええー……じゃ、いつなら大丈夫?」

「んー………来週の土曜、いきなり急な用事が入らない限りは大丈夫だよ」


予定帳を確認して言う。

本当は、予定のない日でも、急に仕事が入りかねないから一応、保険として言っておく。


「じゃあ、その日!カラオケ行こう!!絶対ね!」

「はいはい。じゃ、また明日ね」

「ばいばーい!」


………まあ、交友関係も悪くない。

むしろいい方だろう。

人を優先させる性格のおかげだろうか。




「こんにちはー…………ん?」

「おお、リン。ちょっと手伝え。そして事情を説明せい」

「おかえりなさーい…あー、眠い。実、お茶」

「はいはい。」

「あ、アタシもくださーい!」

「図々しいですね、君は…」


───帰ってきたのはいいが、なんか……人増えてね?


いつも留守番をする、桜之さん。

怠惰でサボり魔の四野原しのはら 京子きょうこさん。

そして、その京子さんのお世話をしている、実さん。

………後、知らない人。

……………人増えてね?!


「……なーに、凜も知らないのー?」

「桜之さんが知らないんなら、だいたい知らないはずだって言ったじゃん…」

「桜之、聞いてないのー」

「妾は一切聞いておらん。サイガに聞くしかなかろう」

「その彩雅はどこに行ったのよー?」

「あれ、いなくなってる」

「あんの阿呆めが………!」


その声に、見覚えのない二人が、苦笑いして、声を発する。


「あはは、自分で言いましょうか?」

「それが一番手っ取り早いですしね」

「……そうさせてもらうかの。あの阿呆は帰ったら殴る」

「桜之さん、恐いです」


「僕は仁叶にのう 孤荼こたといいます」

「アタシは都川とがわ 魅波みなみ!」

「まぁ、ハッキリと言うと〔アンデット〕の者です」

「え?!後二日後にくるんじゃないんですか!?」

「いろいろあってねぇー」

「まあ、此方の我が儘なんですけどね。お嬢……えと、リーダーの…」

「あ、この前の夕凪さんですか。まあ、お気になさらず。突拍子なことはそれなりになれているつもりですし」

「まあ、『赤蛇』もおるしな。……最近は、中区に指名手配犯が出たとかでも駆り出されとるし…」


桜之さんが眉間に手をあて、渋いかおをしている。

美人なのに、もったいない……


「この辺も、ますます物騒になってきましたよね…あ、京子さん!危ないから!」

「うわっと……お茶、こぼしかけちゃったー。そっちに置いておいてー」

「我が儘すぎるよ………そちらのリーダー様もこんな感じで?」

「いやいや、これほどではないよ!ただ、めんどくさいことは逃げるだけで!」

「お嬢がいたら殺されますね、その一言」


え、夕凪さん、怖くない!?

いやまあ、高圧的だったけど………

そんなに酷いのかなぁ……


「………まあ、こちらも挨拶をするとするか。妾は夏野目桜之。『青鳥』には長くおる。よろしく頼む」

「僕は一宮実です。『青鳥』には七年前…桜之さんの一年後に入りました。此方は四ノ原京子さん。僕と同じく七年前に入った方だよ。ひどい面倒くさがりだから、放置でいいよ。僕がやるから」


実さんの説明が酷い。

ハッキリと放置で良いって言ったね!?

面倒くさいとも言ったね!?

てか、自分が全て請け負ってません!?


「はーい、放置で構いませーん」

「京子さん!?………っと、僕のことは聞いてるかもしれないけど…成宮凜です。どうぞよろしくね」

「はいっ、よろしくお願いしますね!アタシ、じっとする仕事とかは苦手なので孤荼君に任せて!」

「魅波、いろいろアウトですよ、それは」

「え?」


─────既存社員も変り者だけど、新入社員も変り者みたいだ。

一番変わってるのって誰なんだろう?


「ねえ、桜之さん」

「ん?なんじゃ、凜」

「『青鳥』の一番変わってるのって誰だと思う?」

「そんなの、成宮のお主と愁以外の奴等に決まっておるじゃろう?」


これまた、ハッキリと言い切った。

………いや、まあ。確かに。


「…………あぁ、うん。そうだね」

「断言していいの、凜ちゃん…?」

「でも、私も事実だと思うー。おかわりー」

「はいはい」

「?そんなに変り者なのですか?」

「見ればわかると思うけど…もうすぐ帰ってくるんじゃないかな」

「どうじゃろな。気紛れな阿呆ばかりの輩共じゃし、まだだと思うがのう?」


と、ここで噂をすれば……なんとやら。

桜之さんの後ろに人影が現れた。


「ちょーと、サク?失礼すぎなーい?俺、一応ここにいるんだけど?」

「「!?」」

「彩雅君、脅かさないの。今裏口から入ってきたし、そうそう気付かれることないって」

「はぁい、伊織先輩」

「よろしい。ただいま、みんな。そして、ようこそ。〔アンデット〕のお二方」

「伊織殿…!貴方はこの者共が来ることを知っておったのか!?」

「いや。さっき、彩雅君に連れ出されてはじめて知ったよ」

「貴様は…………!!!」

「いだだだだ…サク、痛いよ!」


全く、彩兄は……。

伊織さんまで巻き込むとか。

いくら信頼してるとはいえ、罪被らせる気満々だったみたいだし。


───若葉わかば 伊織いおりさん。

『青鳥』で桜之さんやいづさんと同じぐらいに入った……いや、創立時のメンバーという、超古株。

後から聞いたけど、実は彩兄、いづさん、桜之さんの中学校からの先輩らしい。

話しかけてみたら面白い人だった、と彩兄は言うけど、伊織さんに聞いたら…


「ははは。あの場では僕以外の同級生は地面とキスしてたし、よく覚えてないんだけどね」


と、言われた。

─────何したんだろうか、うちの長男は。


「で、君たち。俺が『青鳥』のリーダーの成宮彩雅だ。よろしく」

「僕は若葉伊織。この胡散臭い笑顔のリーダーは言ってること半分聞き流していいからね」

「その通りじゃな」

「サクも伊織先輩も酷すぎない!?」

「「いつも通り」」


彩兄、残念ながら、実さんや京子さんまでもが頷いてるよ……。

僕も苦笑いだけど、そう思ってるよ………。


「面白い人たちだね、孤荼くんっ!」

「そうですね、魅波」

「えーと、仁叶孤荼君と、都川魅波ちゃんね。………ん?仁叶?」

「僕の苗字ですが、どうかしましたか?」


伊織さんが、顎に手をあてて、考えるそぶりを見せている。

思い当たることがあるみたいだ。


「いや、実家の近くにそんな名前の神社があったなぁってね」

「……あぁ。それ、僕の実家です。祖父がやっているんですよ」

「そうなの!?…毎年お世話になってます」

「ありがとうございます、若葉さん」

「ほう、彼処の神社か。妾も祭事の時に何度か、いづと行ったことがあるな。」

「僕らもあるよね、京子さん。ここでいい?」

「んー、覚えてないー。…あ、もうちょっと右かなー」


───肩揉みさせてる…。

どう考えても実さんの方が働いてるのに。


「って、いけね!!伊織先輩、仕事仕事!!依頼貰ってきたんだもんね!」

「そうだね。本当に忘れてるのかと思ったよ」

「酷い!俺、馬鹿じゃないから!!」

「まあまあ……で、なんなの?」


とりあえず、なだめる。

騒がれても面倒だからね。


「えーとね……聞き込み調査だね。君たちも行ったらどうだい?」

「おお!初仕事が当日に!行きます!」

「魅波が行くなら僕も行きます」

「じゃ、凜。……サクも行ってくる?」

「どっちでも良いがのう?ただ、安全性も考えたら妾も行った方が良いじゃろうな」


その一言で、僕と桜之さん、都川さん、仁叶さんが行くことになった。


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