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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~起~
12/56

『黒亀』事件~中編~ 赤蛇side



────翌日。

作戦会議は朝に済ませて、各々書類仕事などに励んでいた。朝からずっとな。

俺もその一人だ。

すごく眠たい。

ちらりと時計を見る。

時刻は七時四十五分。

ここから『黒亀』の本拠地までは車で一時間はかかってしまうのでもう出ねばならない。

渋滞なども考慮しなければならないからだ。


「お、もう行くんですかー?」

「あぁ。隠密部隊の方にもいってくる。」

「え、スマホは?」

「充電切れた」

「では、私がいれておきますよ、姫様」

「有難うな、理さん」

「いえ、これぐらい赤子でもできますよ」

「赤子は無理じゃねー?」

「例えだ、白輝」

「なんか、貶された気がするんだけど」


その通りだ、阿呆。


その後、車に乗って出発した。

時刻は八時十分だった。

到着予定は九時十分。

誤差は五分以内だろう。


「『青鳥』は、どれぐらいで来ますかねぇ」

「彼処、人数少ないし、多くても十人でしょ。そんぐらいが妥当だよ」

「「「だろうな」」」

「…というか、理さん、免許持ってたんですね?」

「まあ、必要なものはとるべきかと」

「よい心がけですね、見習いなさい、駄目人間二人。」

「えー、やだ☆」

「あ、もしかして俺なの?やだね」


シアンは仕事はやるが、長時間労働は向かない、とか言ってゲームし始めるからな。

白輝は……まあ、見ての通りだ。


「見習えって言われてんなら見習いなさいよ、阿呆二人」

「ちょ、つゆりんまでー?」

「悪い?」

「むしろ、正論だろ」

「玲も言うのー!?」

「あぁ。…ていうか、一応、最終確認しとかなくても大丈夫か?」


……ごめん、マジで脳内お花畑の阿呆かと一瞬思った。

白輝は思ったことに気づいてそうだな。

シアンは全くだろうけど。


「私と姫、つゆりさんは後から行くので、シアン、理さん、白輝は先に行き恐らく待ち構えてるであろう『青鳥』の処理」

「覚えてるよー」

「そんな簡単なこと、忘れる馬鹿は此処にはいないでしょ!」

「まあ、その通りですね。こいつと同じ考えなのが腹立たしいですが」

「ん、ならいい。各自自由で。」


───空を見る。先程見た天気予報では大きく気圧が動き、大雨が降るそうだ。

…俺自身の気持ちにより、能力をあまり見られたくないから、早く片付けてしまいたいが……


「…どうなることやら。」




到着してから三十分。

渋滞に巻き込まれたため、到着したのは九時二十七分だった。

もう先行の三人が行ったので、とても静かな空間が広がっていた。

……そこにきた、一つの音


Prrrrr………

「はい、もしも……なんなの、今仕事ちゅ………は?」


──なにやら予想外の事があったようだ。

何があったんだろうなー。

基地が爆発でもしたかなー。

とか、馬鹿な思考になっている最中に、月村さんは通話を舌打ちしながら切った。


「…姫、つゆりさん。予定変更です。行きますよ」

「何があったの、水樹?」

「…〔アンデット〕が、こちらに向かっているそうです」

「………あーらら。一気に壊すつもりか」

「いえ、何か散歩みたいなゆったり感があるみたいです」

「なら、さっさと片付けと、余計な死人がでるな。」

「はい、行きますよ」


………〔アンデット〕というのは、非常に悲しい奴等だ、と皆は言う。

よく言うと思う。

笑いながら話すくせに。

あいつらが何をされたかも知らないくせに。

……人体実験の、失敗作たち。

これが、〔アンデット〕で括られてしまっている奴等だ。

簡単に言うならば、人外となったもの、という。

そいつらは復讐のために生きる組織だ。

正直、不気味だ。

……だが…身近にいるから、馬鹿になんてしない。

そいつらがくる、ということは。

早くしないと、災害レベルの被害が出る恐れがある、ということ。

それを防ぐために……予定変更中だ。


「………はあ……結局、駄目じゃないですか。白輝、理さん」

「………申し訳、ありません」

「ごめんねー、水樹ちゃん。でも、足止めはすんだよー?後、戦力削ったり?」

「馬鹿ですか」

「天才でーす☆」

「はあ……もういいですよ。…………いかがなさいますか、姫?」


…聞きなれてしまった、この言葉。

返す言葉なんて、わかってるくせに


「…そりゃ………叩け。」

「「「仰せのままに」」」

「私は奥にいるからねー、……玲も、見たくない人みたでしょ?」

「俺は。……残る必要があるから」

「……強がりな馬鹿ね。」

「!ま、待て!!………つゆ!!」

「……………………呼ばないでよ、サクちゃん。」

──夏野目 桜之。

…つゆりさんの知りあい。

…でも、見たくないみたいだ。


「さあ、各々好きなようにしたらいい。……白輝。発動許可はボスから預かってきてる。……暴れるといい」


────白輝の纏う空気が一瞬にして変わった。


「…………………………………………………………………………………あはっ☆」


言った瞬間に、殺気と白輝の刃物が、『青鳥』の奴らに飛んでいった。

まあ、殺気によって白輝の危険度が上げられてるだろうからかわされていたけど。

その隙を見逃さないのがうちの取り柄だ。

…かくいう俺も、人のことだけ言ってらんないけど。


「…ねえ、君!!」

「…話しかけてくるなんて、随分と余裕だな?」

「いや、余裕なんてこれっぽっちもないけどさ!!…どっかで、僕と会ったことある?」

「あるな、この前の変なやつがぶつかってきたとき」

「…………あ!あの強盗犯捕獲のときか!あのときは有難うね!!通り掛かってくれて!」

「どういたしまして。礼を言うぐらいなら死んでくれ」


……二度と顔を見たくないから。


「え。やだ。てか、他にもない!?」

「鏡の前だろ」


……俺は鏡嫌いだけど。


「…あぁ、イライラするなぁ。………理さん、よろしく」

「準備完了。発射するので、防御を」


………理さんは、無機物の……命無い物の創造者だ。

構造さえわかればなんでも作り出せる。

……今持っている、バズーカのように。


「三、二、一。発射!!」


──────閃光。

視界が、眩む。…閃光弾だ。

死にはしないだろう。

「…月村さん以外は中に行け。」

この一言で、気配が無くなる。

力が入らない『青鳥』。なにもしずに、その光景に追い込んだ『赤蛇』。

……決着はすぐそこだ。

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