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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~起~
11/56

『黒亀』事件~中編~ 青鳥side



翌日。来てしまった『黒亀』援助任務の日。

その日は朝は晴れのち曇り。所により雨、だそうだ。

こちらの方で雨は降らないらしい

信用してるからな、ニュースよ。



──午後九時頃

ミーティングを終えて、もう出発の時間だ。


「行くぞ、お前ら」

「わかってるヨ。桜之さん、伊織さん、黄金。準備万端かナ?」

「もちろんじゃろうて」

「できてるよ~」

「当たり前っす!」

「いや、黄金が一番心配だかラ」

「ええ!酷いって、姉御!」

「知るかヨ。」

「はぁ…伊織さん、頼みますよ」

「はいはい。ほらー、行くよ?なっちゃん、ゆいくんー」


あれ、マトモな人に囲まれてるはずなのに、黄金のせいで全てが台無しな気がする。


「その次に、十分後ぐらいに出しますんで、偵察含めて護衛、頑張ってきてください」

「わかっておるよ、愁。妾と若葉さんがおれば大丈夫じゃて」

「え、俺は?ねぇねぇ、俺は…?」

「さて、出発するかのう」

……黄金、可愛そうに。


その十分後………

「次、凜、奏理、歩歌、翔、利音ー。準備は?」

「もちろん完璧だよ?」

「「Yes!!」」

「できてます」

「OKです」

「中隊は、心配事はあんまりないワ。問題児二人と一般的に大丈夫な三人だからネ」

「「え、でも終盤はいちばんめんどくさーい人いるじゃん」」

「「それはいうな」」

「利音さんはこの中では最年長なんで、よろしく御願いしますね」

「うん、わかってる」

「うう、僕は黄金君がなんかしてないか心配だよ……いづるさん、胃薬下さい…」

「その年から苦労性は大変…はいどうぞ」

「ありがとうございます、じゃあ、いきますか?」

「うん、行こうか。」


………今は、午後九時十五分。

さあ、出発だ。



………最初に行った三人が、中で警護している。

僕らは『赤蛇』が来るのを待って、路地裏で待機。

───時間は午後九時四十分。

『赤蛇』が来るまで後、二十分。

まあ、そんな時間をじっとしていらかれないやつもいるわけで。


「くぁぁぁ!あーきーたー!」

「うんうん!ひーまーだよ!」

「落ち着いて。飴ちゃんあげるから」

「「いる!」」

「単純だなぁ、二人は」

「昔からなんですよ~。彩兄から貰ったものは食べないのに」

「「あの人、大っ嫌いだもん」」

「…の、一点張りで…」

「まあ、確かに彩雅さんは苦手な人多いかもね」


なんて会話をして時間を潰す。

そんなことを繰り返していた。

──その時間は、今、終わってしまった。

急に……………ナイフが飛んできたからだ。


「「「「「!!!」」」」」

「……全く…面倒ですよね、ホント」

「あっははぁっ!理姉サン、不機嫌だねぇー。そんなにイライラしてっと、禿げるよー?」

「白輝くんは、何でそんなに人を煽るの…?さっさと帰りたいから急ごうよー」

「………来たね?『赤蛇』……!」

「戦闘準備を!」


…構えた瞬間、体が重くなった。気のせいではない。本当に…真上から、圧がかかっているようだった


「俺、帰ってテレビみたいんだよ。だから…黙って這いつくばっててよ」

「…そんな要求が……通るとでもお思いですか………!」

………越川翔。能力は……身体強化。

こんな重力、空気への抵抗となんら変わりはない。


「へえー、立てるんだ……凄いや。ごめん、理さん、白くん。俺、無理だわ」

「全く…すぐに諦めないでもらいたい。私たちは姫様を出すまでもなく勝つのが目標なのだからね、シアン」

「でもさぁ、あいつなら、普通に出てきちゃうんじゃなぁいかな?」

「ならば、それよりも早く片付けるまで。」


次の瞬間。その人の隣には…マシンガンが、二つ。銃が四丁あった


「……五分で、片付けなさい」

「はいはい………」

「頑張っちゃうよー?」


───それからは、地獄だった。

騒ぎを聞き付けた『黒亀』の人がかせいにきたものの、意味なんてない。

瞬殺だったと思う。

かと言う僕らも、重力のせいでまともに動けるのは翔のみ。

他は銃弾を受けぬように防御をするぐらいしか出来なかった。

双子は楽器が出せなければ能力は発動しない。

…が、身体能力はやけに高いのでギリギリ避けていた。

利音さんは特に苦しそうだった。なにせ、彼の力は大地を動かす。

故にこんな建物だらけのところで使用すると最悪、ぺしゃんこになる。

その為、守りは僕がやっていたようなものだ。


「(ヤバイ……!突破口を見つけないと…………!!)」

「………何しておるのじゃ、ぬしらは。」


頭上から聞こえてきた聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら、不思議な香りが漂ってきた。

これは………………


「音が恐ろしいから来てみれば、まあなんと凄い光景じゃのう?」

「……さ、桜之さん………」

「まあ、妾の力で………」


桜之さんが手を重力の人の方へ向ける。

そうするとその人はフラフラと倒れた。


「重力は、なんとかなったじゃろう」

「シアン!!」

「………スースー」

「あーりゃりゃ、寝ちゃってるねー?どーすんのさ、理姉サン?」

「どうするも、決まっている!!」


キッと、こちらを睨み付ける女の人。


「倒すだけだ!!」

「奴さんは、六対二で勝とうとしておるようじゃが…動けるなら、こちらの勝ちのようなものじゃよ」

「……………………………………さぁて?どうかなぁ?」

「?!なんか、凄い強気だけど!?」

「勝機、見えないと思うけどね!?」

「……違う違ーう。……もう、僕らの出番が…終わっちゃっただーけ。まあ……ミッションクリアー、みたいな?」


クスクスとそうやって言った人がクルリと向こうを向いた。

その動きに合わせて、構えたが、何もしてこなさそうなので、僕らもそちらをみる。

そうすると…………


「………はぁ、結局、駄目じゃないですか。白輝、理さん」

「………申し訳、ありません」

「ごめんねー、水樹ちゃん。でも、足止めはすんだよー?後、戦力削ったり?」

「馬鹿ですか。私たちの任務は別でしょう。中に行かないと。」

「あはっ!天才でーす☆」

「はぁ………もういいですよ。……いかがなさいますか、姫?」

「……そりゃさぁ…叩け。」

「「「仰せのままに」」」


………………そこに出てきた、人は。

黒髪を右の方で、高そうな黒いスーツを着て、黒縁眼鏡をかけて、死んだような光のない、赤い瞳をした…

──僕にそっくりな人だった。 

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