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太陽と月~赤と青~  作者: 黒野凜兎
名無島での出来事~起~
10/56

『黒亀』事件~前編~ 赤蛇side



大問題発生。との事により…


「幹部強制帰還命令?珍しいな」

「大問題ですよ。まさかの大問題」

「内容は教えてくれないのか?…いや、教えてくれないんですか?ボス代理の水樹様?」

「うるさいです、第三幹部成宮玲」

「チッ………白輝は連れていくか?」

「絶っっ対にやめろ」

「はい、ごめんなさい」


「はぁ?だいぶいきなりだな」

「そうね。」

「……ひとつ、聞いて良いか?第一幹部、柯由かゆう 天音あまね殿」

「良いわよ?第一幹部補佐、柯由かゆう 緋暮ひぐれ?」

「……怒ってるよな?」

「怒ってないわよ?」

「怒って…」

「怒ってないわよ?」

「……はい」


「紫由ー、いくぞー」

「わかりました。行きますよ」


…うちの組織、まともなの少なくね?


「はーい、幹部、幹部補佐の三組。集まってくれてありがとう。」


そういったのは『赤蛇』の若いボス、月村つきむら 時雨しぐれ

まあ、月村さん………水樹さんのお兄さんだ。


「今日はなんなの?時雨殿?」

「やめてー、天音さんー。いつも通りにしてー」

「黙ってください、ボス」

「で?帰還命令の内容は?」

「『黒亀』のアホどもを叩く」

「……なんで?」

「ウチの…いや、島の営業妨害となる仕事をしたっぽいからね」

「「「あぁ、なら仕方ない」」」


あれ、幹部補佐の人たち(緋暮さん、月村さん、紫由)が頭を抱えている。

なんでだろうか。


「………で、内容ですが…戦闘部隊。いつも通りで」

「だろうな。」

「情報部隊。立地を調べてください」

「はいはい。いつも通りね」

「隠密部隊。…出動です」

「…ゲホッゲホッ…………マジかよ。」


お茶を飲んでいたらしい。

ドンマイ。


「マジです。」

「珍しいですね。てっきり偵察かと」

「本当ならそうしたいのですが。最悪に備えます」

「最悪に?何かあるの?」

「『青鳥』が、出しゃ張ってくるんだとさー」

「…なんで?」

「『黒亀』が救助要請出したらしいよ」

「プッ……バレてるじゃないの、私らの情報ー」

「まあ、ピリピリしてる部下がいたっぽいしねー」

「そいつの始末は私がしときましたよ」

「あら、手早いわね?隠密部隊に任せたら良いのに」

「ちょっと、俺らの仕事増やすの?」

「無茶ぶりは慣れっこでしょ?」

「そうですが、むちゃくちゃ面倒ですよ、天音様」

「はいはい、話聞いてー?」

「聞くから、早くしてくれ」


………ボス………兄者曰く(俺は時雨さんを、兄者と呼んでいる。兄のように育てて?くれたからだ)、決行は明日、『黒亀』の奴等が荷運びをしてるところを戦闘部隊が叩く。

そのあとにやってくる『青鳥』をハルたちが。

(ハルは美琴のこと。ハルと俺は幼馴染みなので、まあ、渾名とでも思ってくれ。)

…しくじったら、ちょっとヤバイらしいから、こうも慎重になってるらしい。

まあ、時間がちょっと狂う恐れもあるだろうから、俺らも戦えるようにはするんだがな。


………で、今

「では!大仕事を祝ってー………」

「「「かんぱーい!!!」」」

「「「いや、ちょっと待て!?」」」

「あら、何よ?」

「いや、仕事前に乾杯はダメだろ?!つか、白輝、お前なんでいる!?」

「ひーくんに呼ばれたから☆」

「緋暮さん………!!」

「いや、どうせならと思って。情報部隊は呼んだぞ」

「…もういいや。俺は行くから。じゃあ」


………………気楽すぎんだろ?!

と、叫びたい内心を押さえつけて歩く。廊下は毛の長いカーペットなので足踏みをしても音がならない。

だから、ちょっと苛つきめに歩いても大丈夫。


「……月村さん、なに?」

「私の役目は貴女の傍にいることですので。お気になさらずに」

「………………」


この人も変わり者だ。かなり前から知っているけど。


「月村さんさ、お友だちいるの?いないよね」

「どストレートに言いますね?いますよ、失礼な」

「え、マジで?いるの?物好きだよね」

「怒りますよ?いますってば、白輝が」

「え、他にいないの?彼奴は幼馴染でしょ?」

「悪いですか」

「別にー」


…冷静だけど単純。でも心の奥底までは見せてくれない。

けど、多分本質は優しい人。

……………多分ね


「…なんですか?」

「ふふっ…何でもない。行こうか、執務室に」


執務室にはカードキーで入る。

最近の作りで、なんか新しい。

で、入っていくと……………


「ぐぁぁぁ!?俺のプラモデルゥゥゥゥ!!!」


叫んでる同僚がいる。

誰か、助けて。

ついでに職場にプラモデル持ってくんなって言って。

さっきまでの嬉しい色とは違って、今の俺、目の前が絶望色だから。


「貴方が悪いでしょうが、シアン?なぜ、床に放置している?」

「いや、そりゃそうだけどさぁぁ!?まさかの粉々………!?」


…叫んでいたのは一人で他は書類仕事をしてる残業員が数人と本を読んでいる一人なのだが。


「……シアン、理さん。何が…」

「!!姫様!も、申し訳ありません……なにやら、シアンが帰ってきたら、プラモデルが壊れていたらしく………」

「あぁ、それですか。白輝の仕業ですよ。私は見てましたから。」

「白くぅぅぅぅん!!?てか、水樹さん、止めて!?」


…絶叫しているのはうちの攻撃ではトップレベルで、二次元オタクの淡間屋 シアン。

冷静に本を読んでいるのはうちの新入りだが、兄者お墨付きの実力者である理さん。

強いが、難点ありまくりの二人である。


「……明日、大仕事をやるから、作戦会議やるぞ。席つけ」

「でもぉ!!?俺の…俺のプラモデルがぁぁぁ!!」

「知るか、早く座れ!!」


……まともなやつ、ほんとうにすくねぇな、うちの組織。

明日、大丈夫なんだろうか。

遠い目で眺めていると、白輝が帰ってきて、理さんをからかったのか、目の前をボールペンが通過した。

─────職場変えようかな。


        

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