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魔法の鏡  作者: 瑠音
13/17

それぞれの夜











  『王子はどこ!?』


                 『誰かいないの!?』


  『生きなきゃダメなの!!』


              『約束したんだ!』


『ねえ、お願い!!』


      『願いを叶えてください───』











ネ)「…他国が攻めてきてる…!?」


グ)「ブリランテ国を、支配下に置こうとしているみたいです。」

レ)「…話し合いにも応じず、ひたすら武力で攻め込んできている。」

ネ)「…こうなってしまっては、私たちも戦うしかありません。」

グ)「…王子、よろしいでしょうか?」

レ)「…戦争は嫌いだ。何も得るものが無い。でも、何もしない訳にはいかない…。戦闘員を集めてくれ。僕たちも共に戦おう。」


グ&ネ)「かしこまりました。」












リーナは、今回も一人で鏡の前に来ていた。


向こうの鏡の前にも、レインしかいない。


リ)「レイン、元気にしてる?」

レ)「ああ。リーナは元気か?」

リ)「うん!楽しく過ごしてるよ!!」

レ)「そうか、それなら良かった。」

レインの暗い表情に、リーナは不安になる。



リ)「レイ──」



レ)「──しばらくは会えない。」



リ)「え…?」



レ)「…戦争が始まるんだ。僕自身も、戦闘員として戦うことにした。」


リ)「戦争…!?」


レ)「いつかは、起こると思っていたが、思っていたよりも早くてな…。もう少し、リーナたちと話していたかったのだが、そうも行かないみたいだ。」


リ)「レイン…?」


レ)「今まで、本当に楽しかった。たくさん話が出来て、この鏡のお陰だ。」


リ)「ねえ、レイン…?」


レ)「あ、そういえば、ボランティアのお礼をきちんと言っていなかったな!本当にありがとう。感謝している。あの食材のお陰で───」




リ)「───レイン!!ちゃんと、うちを見てよ!!」




リーナの叫び声にレインはハッとする。


リ)「何か、もう一生会えないみたいな言い方してるけど、うちは許さないから。」


レ)「…リーナっ…?」


リ)「もう、誰かが死ぬのは嫌だよ…。」


レ)「・・・・。」



二人の間に沈黙が流れる。




レ)「…分かった。じゃあ、約束しよう。」


リ)「…約束?」


レ)「もしも、僕が無事に帰ってこれた時には、僕の願いを聞いてほしい。」

リ)「レインの…願い…。」

レ)「今は、まだ言えない。でも、帰ってきたら必ず言うから。だから、待ってて欲しい。」


リ)「…レイン…。」


レ)「…これならどうかな?」


レインは照れ臭そうに下を向いている。


リ)「…フフッ!良いよ!待ってる!!ずーっと、待ってるね!!」

レ)「うん。分かった!」

リ)「…だから、必ず生きて帰ってきてね。」


リーナの真剣な目に、レインは深く頷いた。


リ)「それじゃあ…行ってらっしゃい。」

レ)「…行ってきます。」


二人で挨拶をした瞬間、映像は途切れた。


リーナとレインは、それぞれ一息吐き、部屋を出て行った。






レインが部屋を出て行ったのを確認したネラは、レインの部屋に入った。


ネ)「…ミント。出てきて。」

ミ)「ネラさん、お久しぶりですね!」

ネ)「久しぶり!今日は、1つお願いがあってね。」

ミ)「珍しいですね。ネラさんからお願いをされるなんて…?」

ネ)「戦争に入れば、自分の命の保障もないから。」

ミ)「…そうですよね。」


ネ)「…だから、お願いがあるの。もしも、この戦争で王子やグミナに、命に関わる危険があった時、助けてあげて欲しいの。」


ミ)「…ご自分は…よろしいのですか?」


ネ)「私なら大丈夫。どんな危険でも、乗り越えてみせるし、それに、あのお二方がいたから今まで生きてこられたし。」


ミ)「そういえば、ネラさんはお二人に拾われたとか?」


ネ)「知ってるのね?両親も兄弟も亡くして、途方に暮れていた所を、王子が助けてくださった。そして、そんな私の教育をしてくれたのがグミナ。敬語は嫌いだからって、今までタメ口で話して来たけど、ずっと尊敬してた。私にとっての、幸せは、お二方の幸せなの。だから、お二方には生きていて欲しい。」


ミ)「かしこまりました。それでは、どうかご無事でいらしてください。」


ネ)「ありがとう。ミント。」




「──ちょーっと、待ってくれる?」




ネ)「…!?」



王子の部屋の入り口には、グミナが立っていた。


ミ)「グミナさん!!」

グ)「…カッコつけて、一人だけそんなことするんじゃないの。私からもお願いして良いかな?」

ミ)「え、ええ!もちろんです!」


グ)「…もし、この馬鹿ネラが死にそうになったら、私をその場所に飛ばしてくれる?」



ネ)「グミナっ…!!」



グ)「ネラを守るのは、私の役目だからね。ネラ、私ねネラの親に頼まれたてたの。もしもの事があった時には、ネラを助けて欲しいって。だから、アンタが死んだら、私も親に合わせる顔が無いっての。」


ネ)「…し、知らなかった…!」


グ)「そうねー。今まで言ってなかったもの。てか、ネラは簡単に殺させやしないから。」



ネラの目に涙がたまっていく。



グ)「ちょ、ちょっ、泣かないでよ!?」


ネ)「…ありがとうございますっ…!!」


グ)「…はぁ。良い?皆で帰ってくるの。分かった?」

ネ)「はいっ!!」




「──そうだねー。帰ってきてくれないと困るよね。」




グ)「…あのー、呼んでないんだけど?」


ミントの隣には、いつの間にかエイトがいた。


エ)「この後、どうせ呼ぶつもりだったでしょ?」


グ)「へぇー?昨日に比べて、ずいぶん余裕ね?」


エ)「・・・・。」


ミ)「エイトが…弱い。」


エ)「うるさい。」


グ)「でも、ちょうど良かった!最後に挨拶はしておこうと思ってたの。」

エ)「…うん。」

グ)「…また、エイトの皮肉が聞けるように期待してるから。」

エ)「ハッ!皮肉は余計だから。」


グ)「フッ。じゃあ、行ってきまーす!」


ネ)「行ってきます!!」






ミ&エ)「行ってらっしゃい。どうかご無事で。」





こうして、長い長い戦争が幕を開けることになった。






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