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銀翼の紋章術師(エンブレムマスター)  作者: 森羅 紫
第一章 紋章術師
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08,夕食はお風呂の後で

投稿かなり遅れました。すいません(>_<)

こういったシーンでの男の気持ちって難しいんですよね~


「すいません、朝から何も食べてなかったもんで……」


 今日の俺は朝六時頃に目が覚めて、家にある物で簡単な朝食を取った。

 その後、昼頃までアニメ鑑賞やネットサーフィンをしてEleccionエレクシオン) Onlineオンライン)を発見した為、何も食べていない。


「そうだったか。婆様は職業が料理人だからな。リリの恩人となれば何かうまい料理でもご馳走してくれるだろう」


 シモンの言葉にリリは「おお!」っと声をあげる。

 その声と表情はとても嬉しそうだ。

 

「あ、その前にシャワー浴びてきていいかな?汗かいちゃって」

「分かった。俺は先に爺様の所に行って伝えてくる。夕食の支度にも時間がかかるからな」


 シモンは他の青年たちを連れて部屋を出ようとする。

 リリは嬉しそうな表情の他に予想していた事を言われなかったような、少しホッとしたような表情を見せた。

 あんな危険な森にたった一人で行ったんだ。怒られるとかでも考えていたのだろう。


「ああ、そうだリリ。今日いろんな人に迷惑かけたんだ。一ヶ月間モノリス掃除な」


 最後にそれを言って戸を占めた。

 リリの顔を見ると、まるでゲームのセーブデータを間違って消してしまったような感じの顔をしていた。


「だ、大丈夫?」

「……村には10個のモノリスがあるの。毎日そのモノリスが問題なく稼働しているか点検したり掃除したりしているのよ。しかも一つ一つのモノリスが離れているから移動するのが大変なのよ」


 彼女の言葉と表情で、どれほど大変なのかは良く分かる。

 これは自業自得なので何とも言えない。


「今更考えても仕方ないわね……。お風呂場の場所はこの部屋を出て右の扉だから先行ってて。着替えは持ってないみたいだから私のを貸してあげるから」


 この世界に来たばかりでワンピース以外の着替えは持ってないから貸して貰えるのはありがたい。しかも風呂まで先に使わしてくれるのは本当に助かる。今日は血腥い戦闘をしたからか、少し血の匂いがして先から気分が悪かったんだ。


「ありがとう。先いただくよ」


 部屋から出て教えられた右側にある風呂場の扉を開く。開いた先には畳2畳ぐらいの広さの脱衣所があり、洗面台や籠などの元の世界の一般家庭にありそうなものや、人が入るぐらいの大きさのウツボカズラのような植物や蔦などが生えていた。ちなみにウツボカズラというのは食虫植物の一種で、ポケ○ンのウ○ボットに似た植物といえば大体の人は分かるだろう。この世界の建物は『長耳(エルフォ)族』以外見ていないから基準にはできないが、植物が家から生えるというのは自分がいた世界と比べるとやっぱりここは異世界なのだなと実感させられる。

 

「あれ?これは……」


 籠の中にはピンク色の手鏡が置いてあった。そういえば今の自分がどんな顔をしているか知らない。

 試しに置いてあった鏡を覗いてみて言葉を失った。

 鏡に映った顔は小さく、細く形が整っている眉毛や小さな鼻と口。蒼穹のごとく澄み渡った瞳は銀色の髪と組み合わせてみると本当に天使のように見える。はっきり言って可愛い。ものすごく可愛い。自分のストライクゾーンど真ん中の少女だ。あまりにも可愛すぎて少し見とれてしまったほどだ。

 よく見るとせっかくの綺麗な髪に血が付いていた。シモンはこれを見て警戒したのか。恋人リリ?とその妹の家に血まみれの少女(しかも銀髪だから血が目立つ)。そして彼らに分からない言語を話し、『擬態の紋章ミミック・エンブレム』という未知の力を使って姿を変えたりすれば怪しまれるのも無理はない。


「―――はっ!これって他人から見ればナルシストだよな……」


 しかもこれから風呂に入ることまで忘れていた。次にリリも入るのだから早く入らないといけない。

 こんな所で自分に見とれていても仕方がないので着ているワンピースに手をかけ脱ぎ始める。ワンピースを脱ぐ際、長い髪が服に引っかかって少し脱ぎにくかった。女の子の長い髪は綺麗で好きだが、こういう時ってって意外と不便だと思う。

 ワンピースを脱いだはいいが、風呂に入るには下着の方も脱がないといけない。流石に自分の身体に欲情はしないが、それでも一応身体は女の子だ。少しは躊躇いがあるが、恥ずかしがっていては埒があかない。さっさと脱いで、置いてあった籠の中にワンピースと下着を一緒に入れて風呂場に向かう。


 風呂場の広さは三人ぐらいなら入っても少しぐらい余裕がある広さだ。ラノベによくあるファンタジー世界だと風呂に入るのは貴族だけだとか宿屋に大浴場があるぐらいで、一家に一つある設定は見たことは無かった。元の世界の風呂に似ているが、ここにも天井から細長い蔦が四本垂れている。蔦はそれぞれ赤、青、黄、緑に別れていて、よく見ると蔦の先端部分が象の鼻のような形をしていた。

 

「脱衣所にもあったけど、何でこんなに蔦ばっかりあるんだ?しかも色変んだし……」


 天井から垂れている青い蔦を握ってみるとプニプニしてとても柔らかかった。そして強く握ってみると……。


「うわっ!」


 蔦の先から水が顔いっぱいに吹き出した。そして水の冷たさといきなり吹き出したことに驚いて床に尻餅をついてしまった。どうやらあの蔦はシャワーみたいな物のようだ。そもそもここは森の中なのに何処から水が来ているのだと疑問に思う。地中に水道管でもあるのだろうか。


「どうしたの?大丈夫?」


 脱衣所の方からリリの声が聞こえる。代わりの服とかを持ってきてくれたみたいだ。


「だ、大丈夫だよ。いきなり蔦から水が出てきたから驚いただけ」

「蔦は強く握ると青色が冷たい水、赤色は熱い水が出るから温度は桶に入れて調整してね。黄色はシャンプー、緑色はボディーシャンプーがでますよ」


 さすが異世界、こんな変な植物がいるのか。という事は脱衣所にあった蔦やウツボカズラも何かしらの道具なのだろうか。脱衣所にありそうな物、ドライヤーと洗濯機かな。

 取り敢えず赤と青の蔦からお湯と水を出して桶に貯める。お湯を少なめにして温度が少し温いぐらいが俺にとっては丁度いい。


「シ……ー……け…ね」

「うん?」

 

 脱衣所からリリが何か言った気がするが、水の音でよく聞こえなかった。もう一度聞くために握っている蔦を離し扉の方へ振り向くと、その扉が開かれてリリが入ってきた。もちろん全裸でタオルなんか巻いてない。


「えっ!ちょっ、何で入ってきて……ご、ごめん」


 慌ててリリから目を離す。


「何のことで謝っているか知らないけど、一人ずつ入っていたら時間掛かるし、シルフィーの髪は長いから洗うのに時間がかかるでしょ?手伝ってあげるよ」


 リリの髪は肩にかかるぐらいだが、俺の髪は腰のあたりまで伸びている。

 男の時は短くて楽だったが、長いと確かに苦労しそうだ。

 手伝ってくれるのは有り難いが、今の身体は女だが中身は男だ。

 一緒に入るのは色々とまずい。主に精神面で。


「い、いや一人で洗えるから……」

「遠慮しないで!大丈夫、妹にいつも洗ってあげてるから洗うのは得意なんだよ」


 そう言って黄色の蔦からシャンプーを手のひらに出して俺の髪を洗い出す。


「シルフィーの髪って綺麗だよね。こんなにサラサラしてて」

「そ、そうかな……」

「肌も白くて、意外と胸も大きいし」


 男の俺にそんな事言われても嬉しくない。


「それに、この可愛さであの強さでしょ。お爺様から『天使族』の伝説について聞いていたけど、本物を見ると感動だよ~」


 リリが何か言っているようだが話していると余計に意識してしまって、その声よりも自分の心臓の音の方が高くてほとんど聞こえなかった。

 後で身体の汚れを落とす紋章が作れないか試してみようかと思う。

 髪を洗い終わって、その後身体も隅々まで洗われた。

 もう、お婿にいけない……。





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