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銀翼の紋章術師(エンブレムマスター)  作者: 森羅 紫
第一章 紋章術師
2/27

01,もう一つの世界

 日差しが眩しいと感じ、目を覚ました。

 そこは岩でできた少し広いドーム状の空間。

 頭上には丸い大きな穴が空いていて、そこから暖かな日の日差しが降り注いでいる。

 俺が今しゃがみこんでいる地面に丁度日が当たっており、その場所だけ草花が生えていた。この上での昼寝はさぞ気持ちがいいだろうと思うぐらい丁度いい暖かさと柔らかさを兼ね備えていた。


「というか、ここはどこだ?」


 先程まで自宅のパソコンにてEleccion(エレクシオン) Onlne(オンライン)の質問に答えていたはずだ。

 新たな人生を与えると噂されたゲーム。

 そのゲームを始めて気がついたら別の場所にいる。

 数々のライトノベルやWeb小説をよく読んでいる俺は、何となく今の状況を理解していた。

 最後の選択、もしあれが異世界に行くか行かないかという意味だとしたら、ここはEleccionエレクシオンOnlineオンライン)によって連れてこられた別の世界、異世界ってことになる。


「まさか本当にEleccionエレクシオンOnlineオンライン)の噂が本当だったとは、本当に新しい人生になってしまったな~。はぁ……」


 ラノベではよくある展開、よくあるシーンだが実際に起こると溜息をつきたくなるもんだ。しかもよくわからない洞窟が始まりの場所で出入り口が天井の穴しか無いのはいくらなんでも酷すぎないか?しかも地味に高いし……。てか、あれ?そういえば声が違う?

 今の声は高校生にしては声変が遅かった声ではなく、クラスの女子が出してそうな可愛らしい声だった。

 疑問に思い自分の身体を見渡し、そして気づいた。髪、体型、そしてあった物が無くなり、無かった物がある事を……。

 煌びやかに光る銀色の長髪、白い肌に柔らかく華奢な身体、胸元に二つの翼が描かれたタトゥーがあり、その先に山のような二つの膨らみが有った。

 そして一番驚くべきことに、純白という言葉が似合う大きな翼が二つ背中に生えていたことだ。


「な、な、なんじゃこりゃー!!!」


 洞窟に声が反響し帰ってくる。自分の頬っぺたを触ったり抓ったりして、これが夢ではないのか確かめた。

 だがそれは頬っぺたが痛いだけで終わり、同時にこれが現実なのだと実感した。普通はこの世界に来た時にする行動がこのような状態になってからするのは、少しばかりアニメやラノベにハマりすぎてしまっているのだと人感する。


「質問で男性と書いたはずなのに、なぜこうなったんだ……」


 ラノベにはあまりないが、Web小説にはよくある性転換やTSFものが脳裏を過ぎる。これだけは実際に起きて欲しくは無かった。

 翼があるということは、最後の方の質問にあった天使か悪魔かというのが関係しているのだろう。今は背中が出るタイプの白いワンピースを着ているが、これからは服装も考えて選ばなくてはならない。ちなみに下着は女物で、上半身は細い紐で吊るされた肩を露出させた下着。確かキャミソールとかいう物だ。下半身は当たり前だが男物のパンツではなく、女物のパンツを履いていた。女性用下着に興味がなかったからよくは知らないが、キャミソールなんかはアニメやラノベでヒロインがよく着ていたりする下着だから知ってはいた。まあ女性の下着のことについて男子がよく知っていたら、色々まずいんだけどね。

 ここまで来ると、これはEleccionエレクシオンOnlineオンライン)製作者からの悪戯とでも言っていいかもしれない。

 

「………落ち込んでてもしょうがない。これがゲームの世界ならメニュー画面とか《ステータス》画面とか開けないのかな?」


 《ステータス》と言った言葉に反応して、頭の中にゲームなどのによくあるステータス情報が表示された。




____________________

名前:シルフィー

種族:天使族

性別:女

年齢:16

職業:紋章術師 Lv1

HP:450/450

MP:700/700


攻撃力:90

魔法力:90

防御力:60

魔法防御力:60

敏捷性:50

運:15



魔法

紋章作成(エンブレム・クリエイト)


紋章

盾の紋章シールド・エンブレム


スキル

『飛行』『魔力操作』『耐熱』『耐寒』

____________________





 ゲームとかによくあるステータス画面を見て、今のパラメーターや使える魔法などが色々と分かった。

 シルフィーという名前はおそらく、銀二の銀からシルバー、それを言い換えてシルフィーになったのではないかと思う。『天使族』というのは、最初に選んだのが天使だったからだろう。そして性別はやっぱり女だった。

 他には分かったことは、表示されたステータス画面に直接触れることが出き、『天使族』というの所を触れるとその内容が確認できた。




____________________

《天使族》

 容姿は人族と変わらないが、背中に翼が生えている。

 永遠に近いぐらいの寿命を持ち、かなり強い身体能力を持つがその代わり繁殖能力が弱く、1000年程前の魔法大戦で悪魔族と相打ちした事により絶滅した。

 最初は人族と同じように成長するが20歳ぐらいになると老化が止まり、10代の時よりも身体能力が上昇する。

 特徴である翼は数が多いほど身体能力や天使族の中で地位が高い。

____________________




 魔法大戦というのが何かは知らないが、絶滅したと文章に書いてあるのでこの世界には銀二もといシルフィー以外の『天使族』はいないって事になる。初期ステータスが高いのはこの種族のおかげだろう。

 次に職業。

 職業は《紋章術師(エンブレムマスター)》という職業になっていた。そしてこちらも種族と同様に説明を確認する事が出来た。




____________________

紋章術師(エンブレムマスター)

 紋章魔法を扱う事ができる特殊(ユニーク)職。

 この職業を持つ者は身体の何処かに自身を象徴する紋章が刻まれ、紋章関連以外の魔法が使えなくなる

 その代わりMP補正が付き、職業レベル×300がMPに追加される。

____________________




 身体に刻まれた紋章というのは、先ほど自分の身体色々と確認したときに見た胸もとにある二つの翼をモチーフにした紋章エンブレム)のことだ。

 そして最後の一文に書かれていた補正は特殊ユニーク職だからなのか、Lv1毎のMP補正は少しチートだと思った。

 Lv10になったらMPが3000もプラスされる。

 最大レベルがいくつかは知らないが、もしLv100まであったらLv100のMPに+30000のMPが追加される。

 しかも種族が『天使族』だ。Lv100にでもなると全パラメーターが相当の数値になるのが予想できる。


 現段階ではHPが450、MPが700だ。これから職業補正の数値を引くと、元のMPが400ってことになる。

 初期レベルでこの高さってことは絶滅した『天使族』はどれだけ強かったのだろうか。そして、そんなチート種族と相打ちした悪魔族は今どうなっているのか、この世界で生きる為には歴史など調べておいた方がいいだろう。

 次は魔法と紋章、スキルの確認だ。

 所持していた魔法は『紋章作成(エンブレム・クリエイト』のみ、所持している紋章は『盾の紋章シールド・エンブレム)』、スキルは『飛行』『魔力探知』『魔力操作』『耐熱』『耐寒』だ。

 スキルの方は触れても、どういった能力なのか確認することが出来なかったが、大体予想がつく。

 他の二つ、『紋章作成(エンブレム・クリエイト』と『盾の紋章シールド・エンブレム)』は確認することができた。




____________________

紋章作成エンブレム・クリエイト》 

 術者が願う紋章を作り出すことが出来る。

 その代わり作る紋章によって一定条件を達成しないと作ることは出来ない。

____________________

盾の紋章シールド・エンブレム》 使用MP ?

 術者に刻まれた紋章から盾の形をした紋章を出現させる。

 使用MPは盾が受けたダメージから術者の防御力または魔法防御力を引いた数値が消費される。

 術者の防御力または魔法防御力がダメージより上回っていた場合、MPは1消費される。

 術者が念じなければ消えないため、一度使うと何度でも使用することが出来る

 MPが足りない場合、盾は消滅する。

____________________





 取り敢えず、MPや身体能力の高い『天使族』が持つとチートになるスキルだということが分かった。だが、この時点で一つ問題がある。

 それはワンピース以外の装備が無いことだ。しかも使える紋章は『盾の紋章シールド・エンブレム』という守ることしか使えない紋章なので新たに作るしかない。


「どんな紋章を作るか……」


 術者が願う紋章、今のこの状況で何が必要か。

 一番に思いつくのが食事、次に雨風を凌げる場所だ。

 雨風ならこの場所で十分何とかなる。

 だとすれば食料調達に必要な紋章だ。

 思いつくとすれば生命を探知するみたいな紋章やそれを鑑定する紋章が妥当だろう。

 他には飲み水も必要だ。

 ここを出れば川ぐらいあると思うが、川の水はイマイチ安全性に欠ける。

 とすると、水を作る紋章も必要だ。


「さて、どうやって作るかな……」


 俺の異世界サバイバルが始まった。







  

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