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9日目 ここをベースキャンプとする

どーも、作者です。


で、だから?と言われるとそれまでですが、

はじまりに当たる前書きは大切ですよね。

どう前書きを書こうか、と毎回悩んでます。

うまい具合にかければベストなんですけどね。

ぞっとするような話を入れたかったのですが、そんな余裕なかったです。

「ほら、1組の分はこっちだ!」

「こっちは2組の分!」

渡瀬と川越は忙しそうに配っている。


「これ、デジャヴだよね?」

「ああ、こんな光景さっきも見た気がするぜ」

岡田と剣斗はそんなことを呟きながら、チェックを進めていた。


1年の分が配り終わった後、2年と3年が来たのだが

1年の多さで慣れてしまったのか、2人はてきぱきと仕事をこなしている。


「次、3組!」

「大丈夫だ、物はなくならない。安心して持ち帰れ!」

川越と渡瀬は意気揚々と仕事をしていた。


「あれは・・・カッコつけてるのか?」

「かっこいいと思ってるんじゃねーか?」

と、雑談をする暇ができてしまうほど仕事ができていた。




「よしっ、ラスト。」

「これで終わりか?」

日が落ちかけていた夕方のころ、配布作業は終わった。

「おつかれさん。」

「やるじゃねぇか、一時はどうなるかと。」

岡田と剣斗の2人は素直にそう言った。


「まぁ、俺達のミスだし取り返すのは当たり前だろ?」

「そーだぜ、こんなの俺らにとっちゃ朝飯前だしな!」

渡瀬と川越は自信たっぷりに言った。

「その自信が続くといいな。」

「まったくだ、次はあんなミスすんなよ?」

「しないしない、大丈夫だって」

「まかせとけ!」

と、4人で話し合いながら、体育館を後にした。


「それにしても、だ。」

突然、何かを思いついたように岡田が言った。

「食料とか雑貨品が供給されるルートは分からないが」

そこで岡田は妙な間を開けて、誰も想像してなかった一言を言った。

「これ、また配布されるのか?」







「「「え?」」」

岡田を除く3人は、目を点にして呆然としていた。

「いや、正直に言うとこの生活がいつまで続くか分からないし。」

「倉庫の残りがいつ底をつくかもわからないしな。」

剣斗が岡田の説明に割って入った。


「そういうこと。幸い残りはまだたくさんあるけどね。」

「残りが尽きたら、やばいな。配布される確信もないしな」

4人は想像したくもない未来があることに恐怖した。


「ま、まぁ、とりあえず俺達はクラスに戻らず、どこかの部屋で待機しよう。」

「下手に4人が別れて事件に巻き込まれてもあれだしな。」

珍しく、渡瀬と川越からまともな意見が出た。


「じゃ、しばらくはここを拠点とするか。」

剣斗達は調理室(通称「家庭科室」)に来ていた。

「そうだな、幸いガスや電気は通ってるみたいだし」

「セラミック製の包丁もある。水も出るしな。」

「4人共料理うまいしな。」

そう、この4人は料理が上手いことで学校内では有名である。

事実、家庭家の成績は全員5だ。


「ま、日も落ちたし、夕飯作って寝るとしますか。」

「今日は何食べようかなぁ・・・」

「家庭科室の冷蔵庫ってこんなにでかいんだな・・・」

「すげぇ・・・すべての器具がきちんと整備されてるぜ」

4人は別々の場所で別々の感想を言っていた。












「ふう、うまかった」

「ごっそーさん」

「ごちそうさま。」

「ごちそーさん。」

4人は野菜鍋を食べて満足そうである。


「さて、俺は寝るぜ?」

「あ、俺も寝るよ。」

「じゃあ、俺も寝ようかな・・・」

剣斗以外の3人は布団を引き始め、寝る準備を始めた。

「お、3人共寝る?じゃあ、俺は見回り行ってくる。」


剣斗は懐中電灯と無線を持って見回りに出ることにした。

「おう、そうか。」

「気をつけろよー。」

「なんかあったら、無線で知らせろよ?すぐに駆けつけるから。」

「心配すんなって、んな危険じゃねーよ。」

心配する3人をよそに、見回りに出た。


「ったく、子供じゃないんだから、ほっとけっての」

などと愚痴を言いながら剣斗は校内を回っていた。

「それにしても・・・」

剣斗は何がが引っかかっていた。


ここまで学校の準備が良いとは思えなかった。

こんなことが起こるなんて、学校は想定してないだろうし

災害避難場所の準備としては、量が多すぎる。

しかも、雑貨品は全校生徒ジャストの数なんて、ありえなさすぎる。


それに、雪道と言う人物。

あの時は気が付かなかったのだが、よくよく考えればなぜ

「女子と入れ替わってない」のだ?

雰囲気やしゃべり方などは完全に男だった。

見た目がボーイッシュな女子はいるが、なぜかそれは無いと確信があった。


さらに、この現象?が起こったタイミング。

なぜ全校生徒が登校する日に限って起こったのだろう。

偶然にしては出来過ぎだ。


さらにさらに、新任の平田千夏。

最初に合った時、嫌な予感を感じた。

クラスではおなじみになっていたが、自分には違和感しかなかった。

正確には、しゃべり方に違和感を感じたのだ。

心ここにあらず、というより本心から言ってない感じがあった。


そう思うと疑問はたくさんある。

なぜこんなことになったのか。

なぜ自分、岡田、渡瀬、川越は入れ替わってないのか。

あの光は何だったのか。


そんなことを考えているうちに、職員室の前まで来てしまった。

「おっと、いけね戻らなきゃ・・・」

見回りは終わっていたので、後は戻るだけだったが、

つい考え事をしていたせいで、校内をうろついてしまった。

「3人共大丈夫だろうな・・・」


そう思った途端、剣斗はえもいえぬ悪寒と恐怖に襲われた。

「なっ・・・!」

うしろを振り向いてみたが誰も居ない。

「っ・・・!」

剣斗は本能的な危険を感じ、とっさに身構えた。


「そこに誰か居るのか!」

廊下の向こう側に向かって叫んでみるが、返事はない。

「くっ・・・」

返事はないが、そこに得体のしれない何かが居るように思えた。

「っ、逃げるが得策か!」


そう悟った瞬間、剣斗は踵を返して調理室の方に走っていった。










「・・・」

闇の中で得体のしれない何かが、口の端を釣り上げたように笑った。

次回更新は5月15日です。

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