10.冒険者迎撃戦
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近くの村まで買い出しに出てから五日が経った、今日まで俺達はいずれ来るであろう冒険者達への対策に追われていた。
メリルが設置した魔力トラップは、今日までで十箇所になる、少ない魔力で最大限の効力を上げるため、即効性の高い魔法──爆発や毒霧──を発生させるトラップを設置していると言っていた。
魔力トラップはダンジョン内の魔力を使ってマーカーを設置することで、味方の魔物には発動しないように設定することが可能だ。そのため、発動時よほど近くにいない限りは影響を受けないようになっている。
とはいえ常在型のトラップ──フロア全体に毒の霧を発生させるもの──などと違い効果が安定せず、冒険者達の技量によっては簡単に回避されてしまうかもしれないとメリルは言っていた。
俺はといえば、新しく魔物召喚を行い、ヴァンパイアバット──吸血性の巨大蝙蝠、翼を広げると三メートル近くある──三匹とスケルトンウォリアーを追加で二体召喚した。
これによりダンジョン内で使える戦力は、以下の通りとなった。
火の魔狼:四匹
スケルトン:二体
スケルトンウォリアー:四体
ゴブリン:三体
ヴァンパイアバット:三匹
ダークエルフ:メリル
魔王:俺
一応この他に結界陣を守るガーゴイルが四体いるが、それらを動かすつもりは今のところない。あれらを使うのは最終手段である。
また、アーシャはある程度の魔法を使いこなすものの戦闘能力は高くない。メリルにも戦いには駆りださないで欲しいと言われているので、襲撃時は自室で待機させる予定だ。
そして俺も万が一を考え、緊急時以外は後方に待機する予定となっている。強化された肉体と膨大な魔力量で魔法は使い放題なのだが、いかんせん戦闘経験が皆無なのが痛い。
それに、俺自身、人間を相手に戦えるのかという懸念がある。先日人間の村まで行った時、彼らは自分と変わらぬ人間だと、そう実感してしまった。メリルが人間に向ける憎悪を俺は持てそうにない。振りかかる火の粉は払わねばならないが、無条件に人間を憎むことは今の俺には出来ない。
魔王としてやっていくには避けて通れない問題である、しかし、簡単に割り切れるものではない。この件については、決着までに長い時間がかかるだろうと想像出来る。
そんな迷いを抱えながらも、自分の身を守るためにダンジョンの防衛に手は抜けない。
そして遂に、冒険者達が訪れる──
……
太陽が頂点にさしかかろうという時間帯、四人の男たちがその洞窟に到着した。
洞窟の名前は<奇人の住処>、しかし、現在ではその正式な名前を知るものは人間にはほとんどいない。
到着した男たちは、周囲を警戒しながら各自装備を確認しており、ダンジョンに突入する前に入念な準備を行なっていた。
「おう、装備は大丈夫か?」
隻眼の男──ダイン──が自身の装備──ロングソードに金属製の防具、投げナイフ等──を確認しながら、周りに問いかける。
「大丈夫だぁよ」
赤鼻の男がククリを掲げながら威勢よく答える。
「問題ない」
細身の男は、薬草が入ったポーチを確認しつつ、ローブの内側に細長い小瓶を納めてゆく。
「行けるぜ」
刺青の男がツヴァイハンダーを肩に担ぎあげながら意気込む。
「よし、突入するぞ、警戒を怠るな。ドレイクは先頭で罠の警戒、サムソンは魔力探知、俺とアッガスは左右を固めるぞ。今回の目的は宝探しだが、初めて突入するダンジョンだ、深追いしないで行くぞ」
「「「了解」」」
……
「魔王様、侵入者が現れました」
執務室にメリルが訪れて、そう告げた。
「来たか……」
侵入者が現れない可能性も僅かに期待していたのだが、そうそううまく行くものではない。
「はい、かねてからの計画通り、トラップ設置箇所周辺に魔物を潜ませております」
メリルは普段の冷静さを失わず、淡々と報告を続ける。
「わかった、まずは第一広間のトラップを突破される前に、ヴァンパイアバットを仕掛けるぞ」
俺はそんなメリルを見て冷静になり、ダンジョンを防衛するための指示を下す。これが人を傷つける選択であることも、当然理解している。しかし、俺がこのダンジョンで生きていくと決めた以上、守るためにやらなければならないことだ。
恐らく、この決断をしたことについて、後悔することもあるだろう。いや、きっと間違いなくすることになる。
争いそのものから遠ざかっていた日本での生活とは違い、ここは異世界なのだ。人がいて、人以外の種族がいて、魔物もいる。その中で、俺は自らの役割としてこの世界に呼び出された境遇……魔王として、魔界に属することを決断したのだ。
人間に恨みなどあるわけがない、それでも自分の立ち位置では、今逃げるという選択は許されない。
父は家族を守るために一生懸命働いていた。それは、立場も世界も違うこの場所においてでも、俺に一つの指針を与えてくれていた。
守るべき者のために、戦うということを。
そして今、俺にとって守るべきは見ず知らずの人間ではなく、ダンジョンとそこに属する者達である。
「了解しました。それでは指示を出します」
ダンジョン内の魔物には、満たされた魔力を使って指示が出せる。魔物の知能にもよるが、詳細な指示を与えることも可能だ。現在ダンジョン内の戦力では、ゴブリンやスケルトンにはある程度の細かい指示を与えられる。
「その後モフ助を除いた魔狼で奇襲を仕掛ける、連携には期待しないが、なるべく混乱させられるタイミングで頼む」
「はい、最適なタイミングで投入出来るように待機させておきます」
今回の目的は殲滅ではなく撃退だ。なるべく戦力を温存させた状態で相手を追い返したい。
俺だって、戦うことを決断したと言え、むやみに人の命を奪いたい訳ではない。
……
ダンジョン内に突入した男たちは、ドレイクと呼ばれた赤鼻の男を先頭に固まって歩いていた。恐らく彼が盗賊技能を持ちあわせているのだろう。
ダンジョンの中は暗く、ランタンが薄ぼんやりとダンジョン内を照らしている。居住区域である第二層はもっと明かりも多いのだが、侵入者を撃退するためのエリアである第一層は、それに比べるとかなり光源が絞られている。
彼らは慎重に探索を続けていたが、現在までに太い通路から伸びる枝道をいくつか探索した結果、特に目ぼしいものは見つけられないでいた。
「なぁんかなんもないねぇ」
やや嘆息を漏らしながらドレイクが言う。
「そうだな、だがまあまだ第一層だ、お楽しみはこれからだろう」
刺青の男──アッガス──はこのダンジョンが第二層までしかないことを知らないため、そう答えた。
「ダンジョン内を気持ち悪い魔力が満たしているんだ、魔王がいるのは間違いないはずさ」
サムソンと呼ばれた細身の男が答える。
「おう、くっちゃべってないで集中しろ」
ダインが注意を促す。
「次はあの広間だ、何があるかわからん、警戒しろ」
……
「魔王様、侵入者達が第一広間に到達しました」
侵入者達の様子を遠見の魔法──リモートビューイング──で確認していたメリルが告げる。
メリルはその高度な魔力調整能力を活用して、遠方からでも自分の見たいものを正確に捉えていた。
他人に見せるにはまた違った難しさがあるらしく、その映像が俺に伝わることはない。
争いの場面を見なくて済むというのがありがたいようでもあり、しかし見届けなくていいのかという自分への思いもあり、複雑な気持ちだ。
「わかった、ヴァンパイアバットを仕掛けるタイミングはメリルに任せる」
「了解です」
第一層からは荷物を引き上げておいた、彼らは何も見つからなくてやきもきしていることだろう。とはいえ、彼らが望むような宝物なんぞこのダンジョンには元々存在しないのだが……
ダンジョンをどのような形にするかは開拓者たる魔王に一任されているが、かつてじいさんやその前の魔王達が築きあげてきた<奇人の住処>は、横に倒した植物の根のような、太い通路から細い枝道にわかれる構造をしていた。
そのため第二層へ向かおうとする場合まっすぐ突き進むだけでいいのだが、それでは防衛に向かないために中心の通路にはところどころで広間が設けられており、そこに魔物やトラップを配置するということを行なっている。
今、侵入者達は枝道の先にある部屋を探索しつつ、徐々に第二層方面に向かって進んできていた。
「侵入者の中に魔力を扱えるものがいるようですね、もしかすると魔力トラップは効かないかもしれません」
「ちぃっ、当てが外れたな」
魔力を持った人間はそう多くない。今回の冒険者達の中に含まれていないことを期待したのだが、どうやらあてが外れたようだ。
「トラップを発見される前に、ヴァンパイアバットをけしかけます」
「よし、頼む」
……
「気をつけろ! 魔物が潜んでるぞ!」
かなりの広さを持つ広間に入ったダイン達は、洞窟内にキィキィ、キィキィという鳴き声が響いたのを聞いて警戒を露わにした。
「何の鳴き声だ?」
アッガスが疑問の声をあげる。
「来たぞ! 巨大蝙蝠だ!!」
瞬間、暗闇から巨大蝙蝠──ヴァンパイアバット──が飛来する。
「明かりを守れ! サムソンは魔術の準備をしろ!」
ダインが矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「わかった!」
「アッガスはサムソンの詠唱を妨害させるな! ドレイクは蝙蝠を撃ち落せ!」
「了解だぁよ!」
そう指示を与えてから、ダインもロングソードを抜き放ち、ヴァンパイアバットの襲撃に備える。
ドレイクもククリを抜き、ヴァンパイアバットの飛来する軌跡を読もうとする。
アッガスのツヴァイハンダーは素早い敵には向かないので、ナイフを片手にサムソンの前に立つ。
そしてサムソンは懐から小瓶を取り出すと、中身を自身の周りに振りまき、魔力の集中を始める。
「こいつら素早いぞ!」
アッガスがサムソンにヴァンパイアバットを近づけないようにナイフを振り回しながら声を上げる。
「ふぅー……ふっ!」
ダインが振り下ろしたロングソードは、狙いをわずかにそれヴァンパイアバットの翼に小さな傷をつけるだけに留まる。
「ちっ!」
ランタンの明かりだけでは広間全体を照らしだすことが出来ないため、奥まで見通せないこの広間では非常に地形が読みづらい。基本的には平地であるようだが、思わぬ障害物がないとも限らない。そのため、あまり大きく動くのは危険な状況だ。しかしヴァンパイアバット達は暗闇などものともせずに自由に飛び回るため、魔物の強さとしてはそれほどでもないものの、ダイン達にとって手間取る相手になっていた。
「くそっ、いてぇ!」
普段はその素早い動きで敵を翻弄するドレイクだが、対処しづらい上空からの攻撃に、深くはないものの手傷を負わされていた。
「サイレンス! いきますよ!」
「よし、行け!」
だが、所詮は下級の魔物である。多少手間取ったところでダイン達が苦戦する相手には成り得ない。
「<<我が求めるは無音の世界、静寂は全てを包み込む>>」
サムソンが呪文を唱えきると、広間から音が消えていく。するとヴァンパイアバットの飛行がでたらめなものになり、勝手に墜落していく。
一般的に蝙蝠は超音波を用いて、反響定位──自身が発した超音波が障害物にぶつかった際の反響で位置関係を把握する──を行なっている。それを妨害するため、空気の振動を停止させるサイレンスの魔術を使ったのだ。
ダインは静寂が支配する広間の中で、仲間達にハンドサインで落ちたヴァンパイアバットを始末するように指示を出す。
サイレンスの魔術が効果を発揮している時間はそれほど長くない、そのため手分けしてそれぞれヴァンパイアバットに止めを刺そうと動き出す。
現在までのところ、戦況は冒険者有利で進んでいた。
……
「まずいですね、サイレンスの魔術を使われました、ヴァンパイアバットの飛行が封じられています」
メリルが告げたその言葉に、少し疑問を感じた俺は思わず聞き返した。
「魔術? 魔法じゃないのか?」
俺達は普段魔法を使っているはずだ。魔術というのは聞いたことがない。
「一般的に人間は魔力を持たないものが多く、魔力を持っているものでも我々魔族には到底及びません。それでも魔力を使って一定の効果を上げるため、陣や印、薬などを使い効力を増幅して使っているのです。それら人間版の魔法とも呼ばれるものを、魔術と呼称しています」
「なるほど、それは何度でも使えるもんじゃなさそうだな」
「術者の魔力量によりますが、同レベルの魔術なら恐らく十回程度は行使出来るでしょう」
「そりゃまずい。ヴァンパイアバットがやられる前に魔狼を出すか」
元々ヴァンパイアバットだけで撃退に追い込めるとは思っていなかった。ここは早めに次の戦力を投入すべきだろう。
「はい、既に指示を出しました」
……
サムソンを中心として、左方のやや遠い位置に墜落したヴァンパイアバットを始末するために近づいたアッガスだったが、ヴァンパイアバットが剣の間合いに入る前に、周囲を赤い二つの目を持つ獣が取り囲む。
(新手かっ!)
ヴァンパイアバットを守るように広間奥の暗闇から姿を表した三匹の獣──火の魔狼──を睥睨しながら、ツヴァイハンダーを担ぎ上げる。
敵を近づかせまいと唸りを上げる魔狼達を見て、アッガスは先にヴァンパイアバットを倒すのは無理だと判断した。
そのため、魔物達の様子を見ながらじりじりと仲間の方へ下がり始める。
(サイレンスの効果が切れるとまずい。なんとかして数を減らしたいもんだが……)
そう考えるアッガスへと魔狼達が襲いかかる。それぞれが獲物の喉笛を噛み千切らんと、勢いをつけて飛びかかってきた。
アッガスは瞬時にツヴァイハンダーを横薙ぎにする、豪風を伴って放たれたその一撃に巻き込まれた一匹の魔狼が、まるでボールがはじけ飛ぶかのように勢い良く横に吹き飛ばされる。重量のあるそれが叩きつけられた魔狼はもう戦えないだろう。
彼の持つツヴァイハンダーは切れ味こそそれほど良くないが、その重さはかなりの物だ。力自慢でなければ振り回すことの出来ないそれを、アッガスは自分の手足のように使いこなしていた。剣筋は誰かに師事してきちんと習ったことがある訳ではないのでかなり荒削りのものだが、実践の中で培われたそれは決して素人のものではない。
しかし武器の重さというのは、確実に敏捷性へと影響する──攻撃を優先したため、よけきれなかった一匹の牙が、足へと食い込んだのだ。
(くそっ)
足を振り回してなんとか魔狼を追い払うと、すかさずもう一匹の魔狼が横合いから飛びかかってくる。まるで何かに追い込むようなその動きにアッガスが気づくことはなく、攻撃を嫌がって思わず飛び退く。しかし、その先には魔法トラップが仕掛けられていた──
……
戦場をつぶさに観察していたメリルは、魔狼に詳細な指示を与えて侵入者の一人を僅かに地面が凹んだ位置──魔法トラップの設置した場所──へと追い込んだ。
その結果、初級魔法フレアボム相当の爆裂が発生し、足が吹き飛ばされたその侵入者は動けなくなってその場で痛みに悶え苦しむ。
「一人、仕留めました」
そうメリルが告げる。
「そう……か……」
「こちらも火の魔狼を一匹失いましたが、まだ許容範囲内です」
戦闘は、佳境に入る。
……
サイレンスの効果が解けていれば、爆音が鳴り響いたことだろう。
パーティの中心に立って他のメンバーの様子に注意を払っていたサムソンだったが、アッガスの方にのみ現れた魔狼達が彼をどこかへと追いやるような動きをしているのに気がついた。
そして、地面の僅かな窪みに魔法トラップがあることに気がつき、アッガスに向かってハンドサインを出していたのだが、ただでさえ暗い洞窟内においてアッガスがそれに気づくには少々位置が悪かった。サイレンスの魔法がかかっていたために声を上げて注意を促すことが出来ずに、それが仇となってしまった結果だ。
いち早く投げナイフを複数投げてヴァンパイアバットを始末したダインだったが、一瞬広間内を照らしだした閃光で、アッガスがやられたことに気がつく。ダインはアッガスから一番離れていたため詳細はわからないが、どうやら足に深手を負ったようだ。もはやあれでは戦うどころか、ここから動くことも叶うまい。
戦力でみればまだこちらのほうが有利だろうが、アッガスという貴重な戦力を失ったことで気持ちに余裕はない。
サイレンスの効果が切れる前に、襲い掛かってくる魔狼──次はサムソンへと狙いを定めたようだ──を始末出来れば立て直しも可能だが、他に伏兵がいる可能性を考えるとここで全力を出すわけにもいかない。
どちらにしろこの手勢ではこれ以上奥に進めそうにもない、そうとわかったなら早めに撤退するべきだ。
決めてからは早かった。ダインがハンドサインで撤退の合図を出す。残った二人もアッガスが簡単にやられたのに動揺していたのか、素直に従う。
こうして冒険者達は撤退していった。
……
「侵入者、撤退していきました」
俺はそれには答えず、張り詰めていた息を吐いた。
「こちらの被害は魔狼一匹、ヴァンパイアバット一匹を失い、軽傷を負ったものが二体です」
「わかった、ありがとう」
「侵入者の死体はいかがいたしますか?」
「……普通はどうするんだ」
「武器や鎧、持っていた道具などの使えるものは有効活用し、死体は魔物の餌にするか外に捨てます。魔王によっては自身の研究のために使ったりする場合もありますが、どうしますか?」
「使えそうな道具はもらっとこう、死体は外にでも埋めておいてくれ」
「わかりました、それでは処理しにいきます」
「俺も行く」
「魔王様のお手を煩わせるほどの作業ではありませんが」
俺だって正直見たくはない。メリルに任せてしまいたいところだが、俺は魔王だ。俺の意思で侵入者を殺したのだ、その責任は負わねばならない。
「いいんだ、俺も行く」
「……そうですか、わかりました」
あまり乗り気ではないメリルを引き連れ、俺達は第一層へと向かった。
第一層の第一広間に来ると、ヴァンパイアバットと火の魔狼が待機していた。ヴァンパイアバット達は何箇所か切り傷がある。
そして、魔法トラップが設置してあった箇所には、下半身が黒焦げになった死体が転がっていた。顔は苦悶に満ちている。恐らく即死ではなかったのだろう。
それを見た瞬間、俺の喉から酸っぱいものが駆け上がってきた。
「うぷっ……」
「大丈夫ですか、魔王様。やはり待っていた方がよろしかったのでは……」
「い、いや、大丈夫だ。作業を進めてくれ」
本当は大丈夫ではなかった。自分で手を下したわけではないとはいえ、人間の死体など祖母の葬式でしか見たことのなかった俺だ、黒焦げの苦悶に満ちた顔をした死体など、インパクトが強すぎた。
メリルは平気そうな顔をして連れてきたスケ蔵達に指示を出している、武器防具を回収し、死体を運び出す、そこに逡巡は全くない。
結局、俺は作業が終わるまで、動くことは出来なかった。




