一期一会
なんとなく思いついたので投稿しました(--;)
受験なのになにしてんだろ(泣)
よければ見てやってください
一期一会
一生に一度しか会う機会がないような縁であること。
人と人との出会いは、初めて会ったその時一度だけかもしれない。
だから、誰かと出会い、ふれ合ったその時、その瞬間を大切にしなさい。
その出会いが、あなたと出会った誰かとの一生の縁になるかもしれないのだから──
透きとおるような声で、詠うように、笑うように、幼い頃から何度も何度も聞かされてきた言葉。
鍛練の後でぼろぼろになった俺を見おろしながら、とても楽しそうに笑顔を浮かべて、そう言っていた、たった一人の姉。
当時幼かった俺には、その言葉の意味は分からなかったけど。
イタズラ好きで人をおちょくるのが大好きで意地悪だった──
だけど、純粋に憧れた、大切な姉のその言葉をしっかりと自分に刻みこんでいた。
けどな、姉さん。さすがにこれは無理だ。
姉さんの母校だからって無理矢理入学させられて。
やる気も気力もない状態で初登校の日に校門をくぐろうとしたら、いきなり校門の影から人が飛び出してきた。
その飛び出してきた相手を確認する暇もなく、俺になにか恨みでもあるのか、側頭部をめがけて、抉≪えぐ≫るようなハイキックをかましてきた。
「えぇ〜」
と、全く覇気のない声をあげているが、俺はいきなりの襲撃に内心ではめちゃくちゃびびりながらも、謎の襲撃者の攻撃を思わず出した声とは一致しない必死さでしゃがみ、攻撃を避≪さ≫けた。
……避けたんだが。
攻撃を避≪さ≫けた俺の眼前≪がんぜん≫には……ハイキックをくり出すために振り上げた足のせいで、襲撃者のスカートがめくれて、綺麗な白い足と純白の布が見えた。
その時点でやっと、襲撃者が女装癖のある変態でない限り、女だと気づいたのだが。
俺は視界いっぱいに広がったその光景を仰視≪ぎょうし≫してしまい、 動きを止めてしまった。 襲撃者はもともと俺の頭があった位置まできていた足の勢いを殺さず、流れるような動きで、しゃがんで硬直してしまっている俺の頭に向け、見事な追撃の踵落としを繰り出してきた。
硬直してしまっている俺にその追撃が避けられる筈もなく──
コンクリートブロックを地面に叩きつけたような鈍い音と共に、俺の頭に襲撃者の踵≪かかと≫が突き刺さった。
入学そうそう、こんな殺傷力の高い攻撃をくり出してくるような相手との出会いを大切にするのは、いくら温厚(自称)な俺でも無理だ。
やたらとキレのある踵≪かかと≫落としくらい、朦朧とする意識のなかで、俺はせめて襲撃者の姿を見ようと、視線を襲撃者に向けた。
俺が見た襲撃者は──
さらさらと、流れるように襲撃者の動きといっしょに舞う、銀に近い、艶やかでいて不思議な光沢を放つ、黒銀の髪。 見ているだけで吸い込まれそうな、紫色のパッチリとした、猫の目を思わせるような瞳。
ピンク、というよりも桜色、といった表現が似合いそうな形のいい、小ぶりでかわいらしい唇。
陶器を思わせるように白く透き通っているが、病的に白いわけじゃなく、生きているということを実感させる、瑞々《みずみず》しい肌。
まるで、童話の中のヒロインが現実に出てきたかのような、物凄く整った顔つきをした女の子だった。
……ただし、その顔に浮かんでいるのは、新しい玩具を見つけた悪戯好きの悪がきが浮かべる、人を食ったような笑顔だった。
その襲撃者の表情は、俺にはこれからの学園生活のめんどくささを暗示するような、不吉きわまりない笑みにしか見えなかった……