表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「タツヤはいいヤツだ」と、ねこは溜息をつく。

作者: 白夜いくと
掲載日:2026/05/04

「うえーん!」


 タツヤが泣いてる。ジイジにバレないように人差し指のケガを絆創膏で隠して泣いている。


 わたくし、ねこは知ってる。タツヤはいいヤツということを。


(にゃ〜)


 わたくしを拾ってくれた。冷たい牛乳を魚型の醤油差しに入れて飲ませてくれた。ちょっと塩っぱかった。


 でも、タツヤは分からないなりに必死にわたくしを助けてくれた。


 だから、この傷も、きっといじめっ子から友達を守ったとか、そういう理由が有るのだろう……不器用だから。タツヤは。


 仕方ないなぁ。


「にゃあ」


 もふん、していいよ。

 タツヤにだけ、特別ね。

 そしたらタツヤ、こう言った。


「へへ、秘密だよ、きなこ……ジイジのコンビーフ盗み食いしてたら指切っちゃった」


 わたくしきなこ、びっくり!


 タツヤ、いいやつじゃなかった。コンビーフはジイジが野球観戦のときに食べるおやつ。それを横取りするなんて!

 

 タツヤは、泥棒の一歩手前になろうとしている。


「にゃー!」


 更正するんだタツヤ!


 わたくしは、タツヤに頭突きをした。そしたらタツヤはヘラヘラ笑いながら、わたくしの前にコンビーフをひとすくい持ってきて、


「きなこにもあげる。黙っててくれるよな」


 なんてことを言うものだから、わたくしはキレてコンビーフを(はた)いた。


「あー! 勿体ない! 高いんだぞーコンビーフ〜」


 ふん、そんなの知らない。泥棒から貰うコンビーフは無いというものだ。わたくしきなこをあなどるな、タツヤ。


「にゃぁおおぉ〜!!」

「わぁ、ジイジ来るじゃん! きなこ黙れー!」


 顔をガシガシ触られる。わたくしには『止まる』スイッチは無い。機械じゃないのだから。


 ジイジが来るまで「グルルル」と笑うわたくし。


(叱られろ。そして更正するんだタツヤ!)


 ジイジは、そんなわたくしたちを見て、


「仲ええのう、タツヤ。きなこ」


 そう言って笑った。食べかけのコンビーフをスルーして炭酸飲料を飲むジイジ。


「にゃ〜」


 ジイジ、タツヤを叱れー!

 あと、炭酸飲むと骨が溶けちゃうぞー!





 その後、ジイジはまたコンビーフを買いに行った。しかもタツヤ用の分まで買ってきた。甘やかしすぎなんじゃないか。


「ジイジ、だいすきだー!」


 タツヤがそう言えばジイジは嬉しそうにお小遣いも渡す。


(なんか、なんだかなぁ……)


 ほんと、タツヤは都合のいいヤツだから、困ったものだ。


「にゃ〜」


 ま。わたくしのおやつも美味しいので、よしとしよう。




 おしまい




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 なんか妙に年寄りくさい(失礼)し、誇り高いきなこが可愛かったです。  いいですね(`・ω・´)ゞ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ