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GANMA  作者: 木下 陸
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第3話「偽りの模造品」

お待たせしました!今回は結構長めです。

「やっと終わった〜」

午前授業の終業のチャイムがなり、僕は机に突っ伏す。

「亜久斗君、すっごく必死に頑張ってたもんね」

陽依さんが微笑しながら僕に言葉をかける。

「うん、いくらコネ入学で入れたとしても名門校で生き残っていくには学力が必要だからね。」

「そうだね……」

僕らは自分の中にある【不思議な力】のおかげで入れるはずのない名門校へと入学できた。特殊選抜クラスという特殊な括りであっても学年・学校全体のランキングには入れられるので努力が不可欠だ。

「よぉ〜!生徒たち!」

僕が考えこんで居ると、愉快な声と共に教室のドアが開く。

「神崎先生?今日は出張じゃなかったんですか?」

「予定よりも結構早めに終わってね〜」

なんだか今日の神崎先生はご機嫌だ。不気味なくらいに……それに出張だって早く終わったにしてもこんなに早く帰って来れる訳が無い……

「亜久斗?どうした」

「い、いや!なんでもないです、出張お疲れ様でした」

「はい、ありがとう」

僕は違和感を感じ、陽依さんに小さな声で耳打ちする。

「ねぇ、陽依さん」

「ひゃっ…///」

「だ、大丈夫…?」

「う、うん…///」

陽依さんの変な声に少し戸惑ったが、気を取り直し、話を続ける。

「今日の神崎先生ちょっと変じゃない?」

「そうかな?」

「そうだよ!なんだかいつもよりご機嫌じゃない?」

「確かに今日はいつもよりご機嫌だけど、出張も早く終わったし、テンションが上がってるだけなんじゃないかな?」

「そうなのかな…」

陽依さんとの会話を終え、僕は自分の席に体を戻す。

このままじゃ終われない……何か手はないのかな…

少し考えた末に神崎先生とのとある会話を思い出す。

---数日前---

「亜久斗君。君にイリュージョンウォッチのもうひとつの機能を教えておこう。」

「もうひとつの機能ですか?」

「あぁ、イリュージョンウォッチには変身機能と必殺技機能の他にサーチモードがあるんだ」

「サーチモード?」

「このメダルを入れてみてくれ」

「はい」

神崎先生から銀色のフレームのメダルを受け取り、ウォッチへと装填する。

【GANMA!】

いつも通り装填時のシステムボイスが鳴る。

「そしてベゼルを下に動かすんだ。」

「こうですか?」

言われた通りにベゼルを下に動かす

【サーチモード!】

そうするとシステム音が鳴り、ベゼルが光る。

「そのサーチモードがあれば、擬態や透明化などをしている敵を見抜く事ができるんだ。もしもの時に使ってみるといい。」

「へぇ〜、ありがとうこざいます!」

そうだこれだ!サーチモードを使って神崎先生を調べるんだ!

「それじゃ、先生職員室に降りてくるからお昼食べて自習しててくれ」

さっそくチャンス到来!職員室に行く神崎先生の後を追うために席から立ち上がる。

「亜久斗君?どうしたの?」

「へっ?!」

僕の行動に違和感を感じた陽依さんに話しかけられる。

「いやぁ〜、ちょっとウォッチの新しい機能を試してみようかなーって」

「今?」

「う、うん」

「なんか隠してない?」

「い、いやぁ?」

まずい、ここで足止めくらってちゃ真相に辿り着けない。ここは正直に事情を話すしかないか……

「実はさ…」

僕は観念し、陽依さんに事情を話すことにした__


◇◆◇◆


「理事長。先日仰っていた特殊選抜クラスの生徒、霧島亜久斗はイリュージョンウォッチという腕時計型のガジェットを所持していました。」

「何か秘密があるとは思ったがやはりか……」

「そのガジェットを使い、最終試験も合格し、先日の理事長が仕掛けた襲撃用のロボットも破壊できたのだと思われます。」

「イリュージョンウォッチか。」

「どうされますか?」

「構わないよ。もう手は打ってある。」


◇◆◇◆


「神崎先生に敵が擬態してるって本気で言ってる?」

「もちろん本気だよ!神崎先生って優しいし、特別厳しいって訳じゃないけど生徒の前じゃ絶対にあんな姿見せないし!」

「でも私達、神崎先生と出会ってまだ1ヶ月も経ってないよ?」

「僕にはわかるんだ……神崎先生から感じる違和感が……」

「そんなに?」

僕と陽依さんは会話を交わしながら職員室へと辿り着く。

「職員室に来たはいいけど、どうやって調べるの?」

「任せて」

僕はサーチモードのメダルを取り出し、ウォッチへ装填する。

【GANMA!】

システム音がなった後、ベゼルを下に動かす。

【サーチモード!】

ベゼルから出る光を職員室の扉から神崎先生に当てる。

「そんなあからさまに光当てたらバレるんじゃない?!」

「大丈夫大丈夫。」

慌てる陽依さんを適当になだめながらサーチを続ける。

「やっぱりさ、勘違いだよ。もう戻ってお昼ご飯食べよ?」

「居た!」

「えぇ?!居たの?!」

なんとか見つけ出すことに成功した。僕たちの声に気づいた神崎先生の偽物は立ち上がり、イリュージョンウォッチのようなガジェットのベゼルを動かす。すると、波動のようなものが学園全体に放たれる。

「何が……起こったの?」

困惑する陽依さんと僕に偽物の神崎先生が声をかける。

「俺とお前達以外の時を止めたんだよ。こいつを使ってな。」

そう言って偽物の神崎先生は左腕に付けている銀色のベゼルで表面を覆い被されたウォッチを僕たちに見せた。

「なんだそのウォッチ!」

「このウォッチは別次元の力を使う事ができるウォッチだ」

「別次元の力…?」

「それってイリュージョンウォッチのいわゆるパクリってやつだよね?」

「そうなの?!」

「ま、まぁな!しかし驚いたよ、まさか擬態が見破られるなんてな。」

「いやいや!擬態しては適当だったし、何か違う目的があるんじゃないのか?」

「勘がいいな。俺の本当の狙いはこれだ。」

偽物の神崎先生が指を指した先にはイリュージョンウォッチの設計データが映ったパソコンがあった。

「イリュージョンウォッチの設計データ?!」

「このウォッチはまだプロトタイプでね、完成させるために必要なこのデータを手に入れるために俺はこの男に擬態したんだよ」

「やっぱりパクリじゃん!」

「うるせぇ!」

陽依さんの言葉に偽物の神崎先生がキレる。

「イリュージョンウォッチのパクリも神崎先生のパクリも許さない!」

「変身!」

【GANMA!】

亜久斗は変身メダルをイリュージョンウォッチに装填し、ベゼルを上へ動かす。

【トランスフォーム!トランスフォーム!ガンマ!】

変身音と共に光が亜久斗を包み込み、ベオウルフへと変身させる。

「悪を撃ち抜く蒼き弾丸。ベオウルフ!」

「はぁ、あんまり調子に乗るなよ?」

「なに?」

偽神崎は黒いフレームのメダルを取り出す。

「変身メダル?!」

「まぁ、見てな。」

「変身!」

【インベーダー!】

偽神崎は亜久斗と同じようにメダルをウォッチに装填し、ベゼルを上に動かす。

【ダーク!ダーク!インベーダー!】

歪んだ変身音と共に黒い液体が偽神崎に纏わり付き、怪人へと姿を変える。

「変身機能までパックってんのかよ!」

「変身できるのはお前だけじゃねぇって事だよ!」

気強い言葉と共に黒い触手が飛んでくる。

「触手ならもう経験済みだ!」

ベオウルフは飛び跳ねて触手を交わす。

「同じパターンは繰り返さねぇよ」

ベオウルフが銃を撃とうとした瞬間、触手がベオウルフへ当たり、吹き飛ばされる。

「痛ってぇ!この間の奴とは動きが違うのか……」

「ほらほら!そんなもんか!」

煽り文句と共に何度も飛んでくる触手をなんとか交わしながらも弾丸を放つ。

「効かねぇなぁ!」

弾丸はヒットしたものの、ダメージは入らず、逆に反撃を喰らってしまう

「うっ!クソ、だったらこれだ」

【GANMA!】

「蒼色乱れ撃ち!」

フィニッシャーメダルを装填し、必殺技を放つ。

だが、ベオウルフの必殺技では怪人にはダメージが入らない。

「無駄だ。お前の攻撃は俺には効かない!」

「どうすれば……」

追い詰められたベオウルフは必死に対策を考える。

「何かあいつの弱点は……」

「俺も遊んでる暇はないんだ。悪いがここら辺でおしまいだ。」

【ダークフィニッシャー!】

怪人の発動した必殺技が近く中でベオウルフはひとつの策を思いつく。

「これだ!」

爆発が起き、煙が舞う。

「データも貰ったし、邪魔者も消した。今日はラッキーだったな。」

「まだだ!」

【フィニッシャー!】

「ブルースアクト!」

ベオウルフが背後から必殺技を放つ。

「生きてたのか、だが無意味だ。お前の攻撃は俺には効かない」

「確かに”お前”にはな……」

「まさか……」

ベオウルフの弾丸が怪人のウォッチへとヒットする。

「そのまさかさ!」

「ウォッチを狙ったのか」

「ご名答!これでお前にも攻撃が当たる。そして俺は既にお前に効果があるメダルを持ってる。」

【フィニッシャー!】

ベオウルフは必殺技メダルをウォッチに装填する。

「グリーンシュート!」

ベオウルフの放った緑のエネルギー弾が怪人へとヒットする。

「やはり人間は侮れないな。」

その言葉と共に怪人は爆散した。

戦いが終わり、光がベオウルフを包み込み、変身が解除され、亜久斗に姿を戻す。

「亜久斗君!大丈夫?!」

陽依さんが心配しながら駆け寄って来てくれる。

「僕は大丈夫。陽依さんは怪我とかしてない?」

「私も大丈夫だよ」

陽依さんは微笑みながら無事を伝えてくれる。

「良かった。」

僕は陽依さんの笑顔を見て安心する。

「それより肝心の神崎先生は?」

「そうだった!神崎先生は無事なのかな…」

「亜久斗君!陽依さん!」

遠くから僕たちを呼ぶ声が聞こえる。聞き覚えのある声の方に振り返って見ると、そこには神崎先生が居た。

「神崎先生!大丈夫でしたか?」

「あぁ、少し出張先で不意打ちを喰らってな。」

「不意打ちって…拉致とかされませんでしたか?」

「あぁ、ただ後ろから殴られただけだ。」

ほんとにあの怪人はイリュージョンウォッチの設計データが欲しかっただけだったのか。

あまりの攻撃の雑さに僕と陽依さんは唖然とする。

「それよりもあの怪人、イリュージョンウォッチの偽物を持ってました。」

「イリュージョンウォッチの偽物?」

「はい、明らかに戦力にも差がありましたし、このままじゃ勝てないかもしれないです……」

「そうか、わかった。新たな手段を考えよう。」

「お願いします……」

私にはわかる。きっと亜久斗君は不安なんだ。亜久斗君は戦えない私のいや、みんなの代わりに1人で戦ってくれている。不安になるのも当然だ。だが晴れ渡る亜久斗君の心が曇り切る前に私は亜久斗にどんな言葉をかけてあげればいいのだろうか、どれだけ考えてもわからなかった__。

第3話どうでしたでしょうか?ちょっとだけ物語に動きがありましたね。それと話の更新に頻度は空きますが、マイペースに投稿していくので気長に追いかけてくれればありがたいです。

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