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夜空に咲いて雲に散る  作者: ぴー
3/4

8月31日

カズヤ:(M)目を覚ますと辺りは夜だった。あんなにうるさかった虫の鳴き声も落ち着いている


カズヤ:今…何時だ…?とりあえずナースコールは…


テルミ:今は8月31日の午後7時だよ


カズヤ:えっ…?


カズヤ:(M)暗闇に少し目が慣れたのか声の主をはっきりと理解する。目の前には浴衣を来たテルミが座っていた


テルミ:約束…守ってくれてありがとう…花火、一緒に見よう?


カズヤ:覚えててくれたのか…?ってか面会時間終わってるよな…?


テルミ:もちろん!だって最初に約束したのは私だし!今日だけ特別に許可貰っておいたの!


カズヤ:そうだったのか…でも…今から向かっても間に合わな…


大きな打ち上げ花火が上がり室内を一瞬照らす


テルミ:ここからよく見えるんだって。今ベッド起こすね


輝美は手元のリモコンでベッドを起こす


テルミ:どう?見える?キレイだね…


カズヤ:あぁ…キレイだ…


一際大きな花火が上がり輝美は少し驚く


テルミ:きゃっ、花火ってキレイだけど、ビックリしちゃうよねー


カズヤ:テルミー?ビビってるのー?


テルミ:べ、別にビビってないし!ちょっと驚いただけだし!


カズヤ:ふーん?じゃあ俺の服のスソ離してもらえるかな?


テルミ:ち、違うから!花火が散っちゃうのが切ないなぁって思って掴んでただけだもん!


カズヤ:(M)そんな目を輝かせるテルミを見ながら考えてしまう…『花火はどうして美しい?』と


カズヤ:なぁ、テルミ?


テルミ:どうしたのカズくん?


カズヤ:花火はどうして美しいと思う?


テルミ:簡単よ。花火は夜空に咲くから美しいんだよ!


カズヤ:ふーん、俺は夜空に散るから美しいって思ってるけどー?


テルミ:もー!そんな事言わないでよー!でもカズくんって意外とロマンチストなんだね!


カズヤ:そうか?ただひねくれてるだけだと思うけどな?


カズヤ:(M)正直その答えを聞けて安心した。これで決断出来そうだ


テルミ:でも一緒に見てるからキレイなんだよ!…この時間がずっと続けば良いのに…


カズヤ:テルミ…よく聞いてくれ。俺たち…


花火が上がり如矢の声をかき消す、だが輝美には聞こえていた


テルミ:え…?なんで…?イヤだよ…


カズヤ:何でこんな俺と一緒に居てくれるんだ?いつ死ぬかも分からない男といて楽しいのか?


カズヤ:(M)テルミ…キミという灯りは眩しすぎる


テルミ:楽しいに決まってるよ!カズくんだからそばに居たいって思ってるんだよ!


カズヤ:ふーん、そう言って優しくしてる自分に陶酔してるんじゃないのか?


カズヤ:(M)テルミ…キミという温もりは優しすぎる


テルミ:そんな事ない!私は一生カズくんのそばに居たいよ!カズくんが笑ってくれるなら私何でもするよ…っ!


カズヤ:何でも?なら俺の病気を治してくれ!脚を、身体を自由に動かせるようにしてくれ!


テルミ:そ、そんなコト出来るなら…何でもしてるよ…


カズヤ:(M)テルミ…キミという存在は大きすぎる。だから…


カズヤ:俺たちはこれで終わり


テルミ:カズくん…本心で言ってるの…?カズくんらしくないよ…こんな形で別れたくないよ…


カズヤ:そうか?俺はこんなもんだぜ?ほら、さっさと他の男でも見付けな


テルミ:そんな事…出来ないよ…私…カズくんの理想の彼女になる。だから本当の理由を教えて…やっぱり病気が原因なの…?


カズヤ:違う。俺の病気が原因じゃない


テルミ:じゃあどうして…?


カズヤ:…簡単だよ。ただの価値観の違い。だからこれ以上…。…!?


突然カズヤは胸を抑えもがき苦しむ


テルミ:カズくん…?


カズヤ:…かはっ、む、胸が苦しい…!


テルミ:カズくん!?どうしたの!?だ、誰か早く来てください!


輝美は何度もナースコールを押し続けた

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