プロローグ
「少しいいか?」
俺は今、ある男のこれからの人生を大きく変えようとしているのかもしれない。
小さい頃によく遊んだ男の青葉は、まつ毛が長く、色白の肌をしていて髪が少し長めの男である。物静かなところがあるけれど、趣味がゲームという共通の趣味からよく遊んでいたのだが、今はどうやら僕とは別の道を歩んでいるようだった。
「どうぞどうぞ。」
「なんでお前胸パッドなんて入れてるんだ?いくら、胸筋が欲しいからってそれはないだろ。」
その男の胸は、凸部分がハッキリと分かるぐらい綺麗な曲線を描き、胸筋が凄い!とかのレベルを遥かに超えていた。
「ちょっ!それ女の子に対して1番触れちゃいけないところだよ?
胸の大きさがどうとかって関係ない。問題なのは気持ちよ!」
どうしてだろう頭が痛くなってきた。
あいつは男……だよな?昔はスカートも履いてなかったし、ワンピースだって…
なんなら、ジーパンしか履いてなかった。
目の前の美少女…じゃなくて、女装が似合う美少年は胸パッドであることを認めず、あろうことか自分を女だと言い張っている。
「もう、いい。言葉で信じてくれないのならこれでどうよ!」
彼は、赤面の顔で履いていたスカート裾を掴み、一瞬迷う様子を見せるが覚悟を決めたのか、スカートをめくった。
「ど、ど、ど、どおよ?これで分かったでしょ!?」
水玉の柄で色は水色。これがもし女の子だったらどれだけ良かったことか。
「うん分かったよ…もう手がつけられないところまで行ってしまったといことが…」
いい友達になれると思っていたのに、スポーツをやったり、彼女ができたかどうかで、からかいあったり、時にはエッチな話をして盛り上がったり…そんなことを夢見ていたのに。
俺、悲しい!
「このやろ、元に戻りやがれ!」
まだスカートをめくっている女装趣味の男に僕は、パッドだけでも取ってやろうと手を伸ばし襲いかかる。
標的ロックオン!手の角度、射的共に問題なし!人目はない。オールクリア!
いっけー!胸パッド今すぐにでも取ってやるぞ!目を覚ませ、青葉!
んっ………あれ?
なんだこの感触?
手に綺麗におさまり、感触も心地いい。
胸パッドってもう少し硬いイメージがあったんだけどなぁ?
「ね、ねぇ、もういいでしょ?何度も言うけど、それ私の胸…だから。」
両腕で顔を隠す青葉だったが、隙間から赤面状態になっていることが分かった。
俺は鈍くない。これだけ、触れて分からないなんて言い逃れをしようとは一切考えてはいない。だが、この十数年間男だと認識していたのに、それは勘違いだった事に今驚きを隠せずにいる。
「お、おい、青葉、お前…」
「だから言ってるじゃん龍ちゃん。私、女だよ?」
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