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十五羽 撃退RTA開始と終了


姉御はただのジャイアンなんかじゃなかった。

やっぱ強かった。


「くっ、くそが………」


地に伏せる勇者パーティー。

女の子たちも血塗れだが一番血を流してる勇者だけが意識を保っていた。勇者の名は伊達じゃないなこれ。


姉御のバトルは小説なら戦闘シーンすらカットされるほどの一方的な展開だった。


戦闘というより、ただの蹂躙。 戦いごっこ遊びだったね。


「どうして、勇者のオレが………オレは選ばれたのに………」


なんか寝言ほざいてんな。なにに選ばれたんだよお前は。

神か?神様か?


「あの駄女神……オレを騙しやがったな…」


はい確定ー! こいつ転生者か転移者確定ー!


「おいお前。 もうちょっとその話詳しく聞かせろ」


「は? テメェなんなんだ、チビ野郎が!」


迂闊に近づいてきたオレに剣を向けるが、姉御とミノタウロスに同時に取り押さえられ、精霊ちゃんに顔面を蹴られた。

勇者くんの鼻が折れて間欠泉みたいに盛大に鼻血を噴き出してる。

いい男もこうなったら人体模型よりもブ男だ。


「うちのドラゴンはんになにしてはるん?」


ギリシア神話のコキュートス(永久凍土)よりも冷たい目で勇者くんを見下ろし、さらにもう一発。


サブミッション系の格闘技を知ってるらしく、関節技で勇者くんの腕を外した。

達人技ですねこれは。 グリーンジュニアが肩をさすってるし、こいつを実験台にしてたっぽいな。哀れなゴブリンに幸あれ。


「ギャアアアアイア!!!」


勇者くんは腕までボキンっていったし、多分どっかの骨も折れてんだろうなぁ。実にざまぁだと思う。


「あんまし舐めたこと言ってんじゃないよ!!」


「チビ!オレ、コイツ、クウ!」


「そんな汚いもん食うなよ。 腹壊すぞ」


「ゆーちゃんを汚いですって! 訂正しなさい!」


「イヤだよ。 絶対にしない」


勇者パーティーのお姉さんがオレに絡んでくるが、つっぱねる。


「おい、女神について教えろ。 詳しく!」


「そんなの聞いてどうすんだよ? 相棒?」


だって気になるじゃん。 家に帰る方法もそこにあるかもしんないし。


「言え。 その女神様について、全部だ」


「言わなかったらどうなるか、分かってるだろうねぇ?」


姉御が爪を見せて脅すと、勇者くんは顔を青くして大人しく何度も頷く。


「じゃあまず、名前は?」


「女神デミス………正義と希望と勇気の女神だっつってた」


「お前を送った目的は?」


「好きに使えっつって、俺に力をくれた、聖剣も、女をモノにする瞳も、強い体、イケメンの顔もな! 全部、俺が欲しかったもん全部くれたんだよ!なのに、なんでお前らは邪魔すんだ!!」


「うっさい」


精霊ちゃんが勇者くんの頭を掴んで地面に叩きつける。


かなり鈍い音したが、平気か?


そんだけやって死なない?大丈夫? てか精霊ちゃん怖くね?


「あんさんはうちらの質問だけ答えてりゃあいんです。 邪魔なことをぬかしておりますと、あんさんの心の臓府、うちが喰らいますたい」


頭を掴んだ指を食い込ませ、牙を見せつけて脅迫してる。


フフフ………………怖い。


「デミスか………聞いたことあるな」


「知ってるのか、解説くん!?」


久々に話に入ってきたね! いたの忘れてたよ!ごめんね!


「デミスは自らを唯一神として、世界をやりたい放題に乱してる邪神だ。 現にこのロクデナシを勇者に仕立ててやりたい放題やらせてやがったからな。 大昔にもあの女がやったことだ」


「転生者でも特に欲深い人間に力を与えて、この世に産み落としてるのですか? かなり厄介な神様ですね」


「厄介なんてもんじゃねえよ。 あいつは厄災そのものだ。俺に言わせりゃあ、アレは女神ですらねえ」


解説くんにここまだ言わせるデミスパネェな。


「おい、なに勝手に盛り上がってんだモブどもが………ひゅぅ?!」


勇者くん、ちょっと黙ってて…………て、泡吹いとる!?


「精霊ちゃん!? なにしたんだい、怒らないから正直に言ってご覧」


「えぅ……うち、なにもしとらんで?!」


「ボクは水と薬箱持ってきます!」


「オレ、ミノタロウス、ヨクワカラナイ」


「なら黙ってろこのバカ牛が!」


「オレ、オマエ、コロス」


「おちつきな、これはただの薬の副作用だよ!!!」


姉御の一声でようやくパニックになっていた俺たちは正気になった。


「これ、こいつら戦闘前に中毒性の薬品をやってたようだね。

脳に作用する軽微な麻痺毒だよ。使いすぎると呼吸困難や神経損傷を引き起こすやつさ」


「そんなものをどうして吸うんですか?」


「快楽中枢を刺激してくれるし、痛覚や恐怖、苦痛やストレスを和らげてくれる効果がある。 人間の兵士が手っ取り早く戦場へのストレスを和らげるために、よく使う手だね。 ま、ここ最近は違法とされてるがな」


「じゃあ、こいつを助ける方法は?」


「体内に残留してる薬を取り除く。 それだけだよ」


じゃあ速くやらないとじゃん!

こいつにはまだ聞くことが山ほどあるんだ。 死なれたら困る。


「うちがやります。 水の精霊のうちなら血液の毒素を抜き取れますからねぇ」


精霊ちゃん、頼もしい!









基本的にこの話ではあんまりバトルは書かないつもりですので………。

戦闘シーンは武術家エルフの方を拝見お願いします。

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