表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛龍天翔  作者: 舎弟
2/4

第二話:「龍の目覚め・2」

正直、ここまで遠いとは思わなかった。

姉貴の言った通り、ここまで2時間以上かかった。

やってられん、俺は一応不良だ、2時間以上電車に揺られて馬鹿正直に学校なんざ行けるか!

やはり姉貴の住んでるところじゃダメだ。

俺は転入の手続きや試験、挨拶をするために姉貴と学校へ行った。

一人でいいと言ったが、ぴったりとついてきやがった…。正直ハズい…。

その帰りの途中、とりあえず高校の近くに自分の住む場所を探すことにした。

「ったく、意地張んないであたしのところで通えばいいのに。」

「冗談じゃねぇ、毎日毎日2時間もかかって、学校なんかいけるか?」

俺は学校の通学路である坂を降りながら、いいところはないかと街の辺りを見回した。

坂を降りきると、街中の商店街の真ん中で不良達が睨み合っていた。

不良の一人の

「アフロ」が怒鳴っている。

「ああっ!?その子は俺が声かけたんだよ、てめぇは引っ込んでろや!」

相手の

「歯抜け」が言い返す。

「ざけんな!俺が先だ、俺が!」

二人の取り巻き達もお互いに罵り合う。

どうやら、

「アフロ」と

「歯抜け」が不良達の中心らしい。

奴等にからまれている少女がなにか(猫か?)を抱いて震えている。

まあ、女の子だから仕方ないな。周りの人々は助けに入ろうか入るまいか悩んでいる人もいれば、そのまま通り過ぎる奴もいる。

ま、そんなもんだな。人ってのは。

そして、見兼ねた姉貴が俺の肩を叩いた。

「助けてあげなよ。」

言われずとも行くさ。ただし、助けるためじゃなく、喧嘩するためだが。

「おい、そこの爆発頭と歯抜け、ちょっとこっちむけや。」

馬鹿にされ、不良達がこちらを向いた。

「んだと!?てめぇ、知らねぇ顔だな、誰だ!?」

「ぶっ殺されてぇのか、失せろコラ!」

俺は指を鳴らしてバカどもを挑発する。

「ごたくはいいから、かかってこいよ。」

あとついでに棒読みに

「その女の子からも離れろ、てめぇらの臭い息がかかって苦しいとよ。」

…正直こういう人助けのセリフは苦手だ。

しかし、奴等はその言葉でキレたようだ。

「てめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞ!コラァ!」

「アフロ」が拳を固めて殴りかかってきた。それをかわして、顎にアッパーを見舞ってやる。

「アフロ」が倒れると

「歯抜け」も襲いかかってきた。

こいつら、口だけでてんでたいしたことない奴等だ。…がっかりだな。

「歯抜け」に右をお見舞いするとさらに歯が折れて、

「歯なし」になった。

顔が赤く染まって、

「歯なし」が喚き散らす。

リーダー格がやられると取り巻きはあっさり退散して行った。

奴等が逃げた後、姉貴が少女に駆け寄った。

「さすがね、あっさりやっつけちゃった。」「あんなやつら…つまんねぇよ。」

俺が吐き捨てるように不満をあらわにすると、姉貴は苦笑した。

「大丈夫?怪我はない?」

「あ、ありがとうこざいます。」

震えていた少女が立ち上がって礼を言った。

よく見ると彼女は相当な美少女だった。

髪はショートヘアで、整った顔立ち、着物がよく似合いそうな…。

「すいませんでした。私、ボーッとしてて、そうしたらあの人達にぶつかっちゃって…。」

「よくああいうのがいるの?」

「はい、前はそんなにいなかったんですけど、あの…、この近くに…不良っていうんですか、そういう人達の中で有名な人が来たみたいで、ここ一か月ですごい多くなったみたいで…。」

「へぇ…、そうなんだ?ねぇ、じゃあもしかしてあんたにはちょうどよかったんじゃない?」

「だと…いいけどな。」

もしその有名な奴ってがさっきのみたいだったら、北海道の方がマシだぜ。

頼むからそれだけは勘弁願いたいね。少女が俺の方を見た。(正確には制服の方をだが)

「あの…、もしかして新しく転入してくる人ですか…?」

頭を掻いて答える。

「ああ…。」

姉貴が俺の髪をクシャクシャにして言う。

「それがね、こいつったら、東京にある私の家じゃ遠くていやだっていうのよ〜。あのさ、いきなりで悪いんだけど、この近くにこのバカが住めるとこないかな?アパートとか。ボロボロ潰れかけでいいからさ。」

人事だからってむちゃくちゃ言いやがるな。

少女が考える。

「ボロボロ、潰れかけですかぁ…。」

いや、それは条件の内に入れんなよ。

やがて少女が思い付いたらしく、

「あの、もしよかったら…。」

「えっ、あるの?」

「はい、こちらです。」

俺達は少女の後についていく。

姉貴がニヤッとして俺を見る。

「ねっ、人助けっていいもんでしょ?」

なんか…前にも増してしたたかになったな。

少女の抱いている猫が、俺の思いを肯定するかのように鳴いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ