第一話:「龍の目覚め・1」
初めまして。作者の舎弟です。この小説は一応学園ものとなっておりますが、アクションものでもあります。(まあ、最初は完全に学園ものですが。(笑))拙い文章ですが、最後までお付き合い願えたらうれしい限りです。それではどうぞ。
俺は寝台電車のベッドの振動に揺られながら、東京を目指していた…。
俺は龍岡奨。
自分で言うのも何だがしょうもない名前だと思う。
正直、名前に
「龍」が付いている時点でもう変わっている。
まあ、自分の名前を卑下していても仕方がない、俺はとりあえずバックから柿ピーを取り出し、それを口に放りながら窓を見た。
もうすぐ東京だ。
かなりの長旅だった。何しろ北海道からだからな。
姉貴は元気にしているだろうか…?
今は一人暮らしをしているらしい。
まあ、あんな親と一緒に暮らすぐらいなら、その方がいいだろう。
駅に着くのももうすぐだ。支度をしよう。
俺は支度を済ませ、駅につくのをベッドに横になって姉貴からの手紙を見た。
家族、か…。
俺は望まれて生まれたわけではなかった。
生まれた時からそれがわかった。何故なのかわからない。
しかし、俺は生まれた時から耳や目が使え、両親が何を考えているのかを
「感じる」ことが出来た。
両親は俺など生みたくなかった。姉貴一人で十分だったのだろう。
しかし、彼等は人に尊敬され、慕われる
「いい人」で居たかったのだ。
俺を生んだのも中絶すれば世間体が悪くなる、だから生んだ。
それだけだ。
だから小学校に入学する頃にはもう両親を信用していなかった。
生んだ時から
「愛」がない親をどう信用しろと?
そして俺は荒んだ。
小学校から喧嘩ばかりして、ガキ大将をぶちのめしてガキどものリーダーになって、我が物顔で君臨した。
小、中学とそんなことを繰り返した。
気に食わないやつがいたらぶちのめし、地元の不良のチームも暴走族の頭も叩きのめして地元では最強になっていた。
その時俺は強さだけを信じていたからだ。
でも、そんな糞ガキを最後まで見捨てないでいてくれた人がいた。
姉貴の洋子だ。
姉貴は幼い時から俺をいつも見守ってくれ、時には力強く叱ってもくれた。
彼女はいつも説教の終わりに言った。
「あたしはあんたがどんなバカしても、あんたを信じるよ。でも、自分が間違っていると思うことだけはしちゃダメだよ。」
両親のことがあるせいか、最初は姉貴も信じてはいなかった。しかし、彼女は俺がどんな騒ぎを起こしても、面倒を見てくれた。
俺が殴った奴の家に行って頭を下げたり、知りもしない事件の犯人に俺が疑われた時も庇ってくれた。
喧嘩してボロボロになって帰ってきた時も、黙って服を洗濯してくれた。
姉貴は常に俺を見放さず、愛情をもって接してくれた。
だから、こんな俺が腐らずに生きることが出来るようになった。姉貴には感謝してもしきれない。
だが、
「あの事件」がキッカケで、俺は施設に送られ、両親は東京へと去っていった。
俺は見捨てられたのだ。
後で聞いた話だが、姉貴は俺を見捨てて東京に行くことを拒否してくれたらしい。
しかし、臆病な両親は俺を恐ろしく思い、去っていった。
俺は別に平気だった。
姉貴と別れるのはつらいが、あんな両親より施設の方がマシだ。
こうして、俺は家族と別れ、3年の月日が流れた…。
「東京〜、東京〜。」
どうやら着いたらしい、俺はくそ重いバックを二つ引きずりながら、姉の龍岡洋子の住むマンションへ向かった。
「ここか…。ったく、なんでこんなに駅から離れてるんだよ、かったるいったらありゃしないぜ。ええっと、番号は…っと。225号室か。」
バックを持ち上げ、階段を上り、姉の部屋のチャイムを鳴らした。ピンポ〜ン。
ドタバタする音と、
「は〜い。」という姉の声が聞こえた。
「どちらさま?」
「俺だ、俺。早く開けてくれ。」
「俺?俺じゃわからないよ、ちゃんと名前を言ってくれなきゃ。」このアマ…。絶対わかって言ってるだろ?仕方なく名前を言う。
「奨だよ、龍岡奨。(たつおかしょう)あんたの弟。」
わざとらしく気付いたふりをし、声を高くして姉が扉を開ける。
「あら、奨じゃない〜!ほんとに久し振りだね〜。」
ああ、ほんとに久し振りだ。姉と会うのはもう3年ぶりだ。
「あんた、随分背が伸びたね〜。3年前もデカかったけど、またさらに…。」
背丈はほっとけ…。
俺は姉の出した麦茶を飲みながら呟く。
麦茶を飲み終えて、一息ついた姉貴と俺は本題に移ることにした。
「あんたの行く高校、もう決まってるから。安心していいよ。姉ちゃんの母校。」
「へぇ、準備がいいな、さすが。」
姉貴は鼻を高々と上げた。
「まぁね〜。あ、名前は青林高校。空気の美味しいいい高校よ〜。」
空気が美味しい?どういうことだ?
「言ったとおりの意味よ、山の上にあるの。自然いっぱい、だから空気が美味しいわけよ。」
「山…だと?」
「そうよ。」
「何処にあんだよ、そんな高校。」
「埼玉の秩父あたりにあるわ。ここから二時間以上かかるわね、ファイト〜!」
「ふ、ふざけんな〜!」
こうして、新たな新天地での暮らしに胸を踊らせる?俺であった…。
飛龍天翔をお読みいただき、誠にありがとうございます。いかがだったでしょうか。感想や指摘などありましたら、どうぞよろしくお願いします。