第8話 友情の奇跡を邪魔する者
懸命に願った。死んでも構わない、銭子ちゃんが助かれば…!。ねえ、起きて!ダゴンを倒して!。
ついにニャルラトホテプが召喚された。簡単にダゴンを倒し帰る。瀬乃華は水の下にある床に座った。気持ちいい。このまま眠ってしまいたい。
「銭子ちゃん…起きて…!」
必死に願った。手を握り震えながら言う。寒い、水が冷たい。冷たい、邪気も増す。
「…あ…うぐ…」
かすかに聞こえたその声。
「瀬乃華ちゃん…」
ゆっくりと起き上がる銭子。瀬乃華は喜びに震える。嬉し泣きをする瀬乃華。水に濡れながらも銭子は瀬乃華を抱きしめる。暖かいけど水に濡れてほんのり冷たい優しい友情。
「よかった…よかった…」
そこに。
「あっ」
なにかの一本の線を銭子の胸を通る。
「あ…あぐ…せ…か…ちゃ…に…て…」
バシャンと倒れるかと思うと瀬乃華は何かを察し壁に張り付く。
ゆっくりと立ち上がる銭子。なにかに取り憑かれたかのように。
「これは…聞いた、舞歌さん、力の一部を奪われたって」
そう思い出すとすぐさま階段の踊り場に足を下ろす。真剣に、銭子を取り戻すため。
「あなたが元凶ですね!銭子ちゃんを奪った罪、味あわせてあげます!」
壁を蹴り、壁を蹴り、ものすごいスピード。それとともにクナイを投げてくる。銭子はそれを弾き、弾き、そして返す。だが瀬乃華のスピードに追いつけず壁に刺さる。
瀬乃華はどうすればいいか思い出す。今まで教えてもらったこと全部。全部。
「あ"ぁ"!」
悲鳴とともに銭子の力が増す。瀬乃華は見つけた。銭子の背中になにか付いている!
まだ間に合う。すぐにそれにクナイを投げた。みごと的中し取り付いていたなにかは去っていく。ベルゼブブだ。
「…ごめんね瀬乃華ちゃん。私、弱い心に負けちゃった」
「ううん、いいんだよ、帰ろ」
地面が揺れ水が消えてゆく。そして地面はあがり、もとの国に戻った。
城に招待された2人、姫はいなくなり王女だけが座っていた。鎖は無くなっており奥に招かれご馳走を食べる。
「この国をお救いいただき誠にありがとうございます。存分にお楽しみ下さい」
屍から元の生きている人々に戻り、瀬乃華は1つ気になった。
「あの、鞭拾ったんですけど」
沈黙が流れる。王女は目を閉じ説明を始める。
「それは息子が使っていたものです。クトゥルーが恐怖し投げ出したのですね」
息子、ということは王子だろう。瀬乃華と銭子は酒屋のご飯の方が美味しいのであまり食べずに街に帰った。
街に着きエイボンの書をもらい、酒屋に帰る。
「おかえり瀬乃華、銭子。どうだ?」
「友情が深まったきがします!」
早速ご馳走が並ぶ。城よりはあまり豪華ではないものの2人はやはりこちらの方がおいしいらしい。
「それではロールさん!早速魔法の練習お願いします!」
ロールと銭子は裏庭に出て練習をはじめる。