第2話 初めての依頼
数時間後、息を切らした銭子がロールと一緒に中に来た。
「せ、銭子は、最大MPが100上がった」
「と、いうことで銭子は魔法を完璧に習得した。これでスライムなんかは楽勝だ」
瀬乃華はとても喜んでいる。実はその間忍としての技を極めていた。ちなみにあのトランプのような硬いカードの名前は、魔法の切り札になったらしい。そのまんまである。
「みんな、ありがとな。それじゃ早速だが、この依頼はどうだ」
と言って依頼書を見せてくる。内容はまさに他の世界から来た瀬乃華と銭子に似合ったもの。
この世界のチュートリアル
物理系の方はゴブリン、魔法系の方はドラゴンとの戦闘です。二人で協力も構いません。
報酬は1000G。刈ったのは売ったり持ち帰っても構いません。
「どう?なかなかの報酬だろ?」
「はい、そうですね!」
瀬乃華はこんなにあればいいかな。と思っているのだろう。
「瀬乃華、この世界には1人魔王がいるんだ。お前らなら楽勝だろ?いくつかやってほしいの終わったら魔王討伐依頼だぞ」
そう言ってその討伐依頼書を見せてきた。他にもこんなにやってほしいのがあると見せつける。
「ちょ、ロールさん!瀬乃華ちゃんは威圧に弱いんです!」
瀬乃華は目を回して呆然としている。
「あはは!少しからかっただけだよ!」
他の客も笑っている。
「それじゃ、頼んだよ」
ロールや他の客に見送られながらも依頼主のところに行く。
「やあ、君たちが依頼を引き受けてくれたんだね」
帽子を被った女性。耳がとんがっており長いスカート、そして短い袖。袖は少しふんわりとしている。目は漆黒が輝いている。
「私はサナ。仕事先二つともに魔物がいて困っているんだ。そしたら友人がこの世界に来た人用の依頼として出したらどうだって言ってきたのよ」
銭子は帽子を見ていた。そしてはっと思いつく。
「失礼ながら、サナさんってナイトメアですね!」
「っ!…君、気に入ったよ。それじゃそっちの自己紹介よろしくね」
本当にナイトメアだった。ナイトメアは人間から嫌われる種族、角が2本あればナイトメアということになる。RPGでのナイトメアは帽子で隠すので銭子はわかったのだろう。
「銭子っていいます」
「瀬乃華です」
「そうか。それじゃあ、まずはゴブリン討伐を頼むよ。もう馬車はレンタルしてある。歩くと2日だが馬車だと10時間だ!どうだ?大したものだろ?さっそく荷物を馬車に詰めるんだ。あ、一応着替えは持ってきたか?」
この世界に瀬乃華と銭子が着ているような服は売っていない。あらかじめ持ってきているが。
「はい、あります。あと、これもらったんですけど…」
瀬乃華が取り出したのは何か、水のようなものが入った瓶。酒場までの道を教えてくれた人からもらったもの。
「これは!…間違いない!エクソシストの聖水!魔除け必須アイテムだよ!」
「はあ…それじゃあ、荷物を詰めたので、お願いします」
瀬乃華はまだはてな状態ながらも言う。
「あ、ああ、乗って」
馬が二匹、とりあえず雨風は防げる程の馬車。