第1話 異世界はこれが常識
2人はある街の人目につかない場所。そこにはなにかの裂け目がある。
長い黒髪、花がついた服とスカート、赤い枠のメガネが特徴的な少女、瀬乃華。
長く黒髪、巫女服を着たカチューシャを付けたのが特徴的な少女、銭子。
「ほらほらー!行こー!」
瀬乃華は銭子を連れ異世界に出発する。
「まってよー!最近走ってないのー!瀬乃華ちゃんは本当に足速いんだから!」
早くもバテる銭子。待ち合わせからも数分遅れたらしい。
「もう!せーっの!」
その掛け声で同時に異世界への歪みに入る。
「ここが異世界かー。ずいぶん変わった場所だなー」
「ここはきっと、RPGの最初の街、かな。まずは、武器、武器買おうよ。と、言ってもお金ないね」
たしかにゴールドがない。
「私達の力じゃなんの役にも立たないと思うしね。酒場に行って依頼を受けようか」
それからも今後の活動のことを話し合う。大体決まったら酒場の場所を聞き、酒場に向かう。
酒場は3分歩いたところ、強そうな人がたくさんいる。
「マスターさーん!いますかー!」
瀬乃華が元気いっぱいにいうと酒場のマスターが出てくる。
「ん?あなた達、もしかして他の世界から来た人?」
マスターはそう言う。外見は長くふんわりした金髪、服装は星を象徴しているかのような長いスカートと水色や青の長袖、金色の瞳の可愛らしくも美人な人だ。
「はい、そうです。よくわかりましたね」
銭子が答える。マスターはクスクスと笑う。
「ここら辺じゃよくあることなの。それじゃあこの世界の常識を教えてあげる。あ、私はロール。ロールケーキとか言ったらぶっ飛ばすよ。星と水の魔法が得意」
簡単な自己紹介。ロールに招待され裏庭に出る。とても広々として街の六分の一は裏庭らしい。
「よくそんな土地代ありましたね」
瀬乃華は言う。
「これでも頑張って稼いだよ」
雑談はここまでと言って説明を始める。
「武器はあるね?」
「はい、私はクナイがあります」
「私は…えっと…これです」
瀬乃華は自信満々にクナイを取り出すが、銭子はお祓い棒。
「しかたがないねえ。そうだね。君、なんて言うの?」
「銭子です」
「それじゃ銭子には、魔法だね」
「え?」
瀬乃華と銭子は同時に言う。魔法なんて、巫女である銭子に覚えられるのだろうか。
「大丈夫だよ。お祓い棒なんてなんも役に立たんし、これプレゼント」
ロールが銭子に差し出したのはトランプのような、不思議なオーラを出す硬いカード。
「それは地、水、炎、草、雷の五つの魔法ができるカード。好きな名前をつけてもいいし、どんなデコレーションをしてもいいよ」
これで魔法ができるのか。 そんな顔をしている銭子。だがそれも出すための練習がいるという。
「それじゃ、そっちの君は中で適当にやってて」
「瀬乃華です。はい」
瀬乃華が中に入ると、銭子の練習が始まった。